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俺の異世界生活サイクル

区切り良く投稿していきたいとは思うのですが中々難しいです

 人から何かを教わるという事は、自分が知らなかった、その人が感じ得た感覚や、身につけた知識などを理解できる様に、少しずつ自らに吸収する事だ。

 人間というのは、出来なかった事を誰かに教えられれば直ぐにできる様になるわけじゃない。十を教われば八まで出来る様になれば良いほうだ。


 人によっては一を教わり二も三もできる様になる奴もいるが、そんなのは天才か変態だけだと思う。


 何が言いたいかというと、一晩寝て特訓を始めた日からもう早いもので、三ヶ月経ってしまったという事だ。



 もう三ヶ月である。三ヶ月もあれば自分が今いる街の門から出た先に広がる山や森などの地理やそこに生息する、魔物の出現頻度や種類。どこの店の武器や防具、野菜が安く状態が良いとか、あと金貨や銀貨、銅貨などの貨幣の価値。


 午前中に冒険者ギルドに顔を出すとクエストを回して貰いやすいとか、俺は苦になる事なく、自然に覚えていった。



 そんな俺のこの三ヶ月で出来上がった一日の行動パターンを紹介していこうと思う。


「っふぁあああっ」

 明け方、まだ寝てる人もいるだろう少し薄暗い時間から目を覚まし、俺の一日は始まる。


 寝間着から動き易い服装に着替えてオリーブを腰の紐に通し、部屋を出て鍵を閉め、隣の部屋の扉をノックする。


「ちょっと待っててー」

 コンコンコン。ノックすると同時にクレアの声が聞こえる。

 治療院から退院すると、俺と入れ替わる前のアレックスは、クレアの泊る宿屋の右隣の部屋を利用していたらしい。

 宿の女将さんもアレックスが戻ってくると思い、空けておいてくれたらしく俺は金を払い、その部屋を現在利用している。


「おはよう、クレア」

「おはよーアレックス」


 クレアが準備を整え、部屋から出てくる。

 お互いに朝の挨拶を交わし、クレアは部屋の鍵を閉め、自分の向いの部屋の鍵を取り出し開ける。


 俺もクレアと一緒にその部屋に入ると、「すーっ、すーっ」規則正しい寝息が聞こえてくる。


 剣を教えるなら側に居たほうが良いと言い出したラミナは、宿の女将さんに頼み込み、この部屋で寝泊まりする事になった。


 ラミナの第一印象はテキパキ動き、真面目そうな美女だったのだが、朝がとにかく弱いらしく、クレアが起こす事になり何日かは起こしていたのだが、それでも起き辛い日があり、今では俺も手伝っている。


「ラミナ、起きてー。朝だよー」

「んぅー」


 クレアはラミナの肩を揺らし声を掛けるが、寝返りを打つだけで起き上がる気配はない。

 ラミナは目を覚ますと直ぐに起き上がり、寝ぼけながら着替え始め、俺が静かに退室するのだが四、五日に一回は必ずこんな日がある。

 こんな日は、アレックス(俺)の出番だ。


「ラミナ。朝だよ、起きて」

 俺は顔を近づけ、耳元で囁き肩を揺らす。

 この時にラミナの胸の方へ視線を移すと、タンクトップを一枚だけ着ている為、素敵な御山が拝めるのだが、一回やったらクレアに凄い速さで殴られたので自重する。


「っは! あ、アレックス⁉︎ い、今すぐに着替えるから部屋から出てくれ‼︎」


 クレアの起こし方と同じ様な気がするが、目を覚ましたラミナは顔を真っ赤にして俺を部屋から追い出す。

 最初の頃は本気で嫌がられているかと思ったけど、何回か繰り返し起こすうちに、ラミナはアレックスを好きな事が判った。



 そうして着替え終わったラミナ、クレアと一緒に朝の特訓は始まる。


 宿を出て街の門を通り、外壁を一周する。

 先頭をラミナ、その後ろにクレアと俺が付いて走る。外壁の上には、見張りの兵が常時待機して魔物が近づくと魔法や弓で牽制しているので外壁に寄ってくる魔物があまりいないからだ。


 最初はクレアの走る速度にも追い付けずに距離が開いていたが、一ヶ月走っている辺りで体の違和感も少なくなり、前よりも動きやすくなったのだ。


 一周して走り終わると組手が始まる。武器を持った組手と持たない状態二つをやって、その後にどうゆう動きが悪かった、この動作は良かったなど戦い方の指導を受ける。


 今はラミナに剣を教わり、オリーブにはその補助を受けている感じだ。ラミナの教え方が下手という訳じゃない。


 オリーブは俺の身体を操れる事もあり、ラミナに言われてからあまり理解出来ていない時に、腕の振り方や脚の運び方の何処が間違っていたか、正しかったかを細かい部分で修正をしてくれるのだ。

 剣の素人の俺でもオリーブの教え方のお陰で徐々に、ラミナとクレアに組手で負けなくなってきている。


 そうして朝の特訓が終わると汗を拭き、宿に戻ってから三人で朝食を摂ってからギルドにクエストを見に行く。

 最近は一日や二日で出来るクエストをよく受けている。


 三ヶ月前、駆け出しの俺が受けられるクエストは殆ど決まってたので、クレアと一緒に近くの森や草原に行き、採取のクエストと街の中での掃除や配達などの雑用を行うクエストと魔物を狩るクエストをコツコツと色々受けていた。


 魔物を狩るクエストを受ける時は心配して、不測の事態が起こった時に対処できる様にラミナが一緒に森や草原まで来てくれた。


 お陰で、特訓を始めてから一ヶ月で俺とクレアは駆け出しのFランクから二つ上がり、Dになった。因みにラミナも、冒険者ギルドに所属していてランクはC+だった。


 ギルドのランクは大まかにするとF、E、D、C、B、A、Sと有り、Fが一番下でSが一番上だ。

 Cから上はC-、C、C+といった感じで少しだけ細かく分けらる。

 冒険者ギルドには所属する事の証明と身分証にもなるカードに、成功したクエストの情報は書き込まれていき、ギルドへの貢献度や強さに応じて試験を受け、ランクが上がる仕組みだ。


 魔物にも純粋な強さと倒し易さで同じFからSのランク分けがされていて無謀なクエストを受け、死亡率が減る様になっている。


 ギルドに所属するとFから始まり、FからEは直ぐに上がれるため、Dになると駆け出しは卒業した事になる。

 そのため、家の反対を押し切って冒険者に憧れ家を出た若者などはDに上がれれば下っ端冒険者として一応は認められるのがこの世界で共通の認識らしい。


 Dから上はランクに関係なく、パーティ登録が出来るようになる。

 ランクが上がったほぼ全ての冒険者は熟練の冒険者とパーティ登録をして行動を共にし、経験を積んでいきランクを上げていったりする。

 クエスト別に随時募集される即席のパーティ制度もあり、それを利用する冒険者も少なくない。



 俺達はギルドに入るとよく利用する受付嬢、アンナさんの所に真っ直ぐ向かい今日受けるクエストを探して貰う。アンナさんは他の受付嬢と違って元冒険者でその経験から人物を見ただけでそいつの強さがある程度分かるという、特殊な能力を持っているらしい。


「おはようございます、アンナさん」

「アレックス君。おはようございます、今日は森でのツインモンキー討伐と孤児院の臨時職員とシェリーさんの家の清掃の三つがお勧めですよ」

「じゃあ、森での討伐やりますよ。あとの二つはまた今度受けます」

「承りました。ギルドカードの提示をお願いします」


 アンナさんはいつも三つほど候補を言うが、最初以外の残りは前回受けて評判が良く指名されているクエストなので今日は森の中に入り、ツインモンキーという魔物を狩るクエストを俺達は受けた。

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