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学校での出来事

 テストの成績が悪かった。


 高校生になってかなり浮かれていた俺は、今まで碌に勉強せずとも授業さえちゃんと受ければ、そこそこ良い点をとれていたのもあり調子に乗っていた。

 そのせいで全教科赤点という、今までとったことのない点をテストで出してしまい補習を受ける事になった。


 うちの高校ではテストの成績が悪かった者は補習を受け、それから再テストをして八割の点数をとれなければ、とれるまで補習、再テストを繰り返すという優しい学校だ。

 そして今日、一つだけ残った教科も問題なく満点をとった。


「一回補習受ければ百点を取れるなら、最初からちゃんと勉強しなさいよ!」

「今度からは気をつけます、ちょっと用事があるんで俺帰りますね」

「ちょっと、人の話は最後まで」

 メガネをかけたヒステリック気味の先生が言い終わる前に俺は一言で済ませ足早に教室を出た。


 用事があるというのは早く帰るための嘘だけど、あの女教師は教え方が上手いとか誰かが言ってたが、すぐキレるからあんまり勉強を教わりたくは無いなぁ。

 と名前すら覚えてない先生の事を考えながら、廊下を通り、右に曲がり階段を下りている途中から突然、事件は起こった。



 いくら下りても階段が続ているのだ。


 何を言ってるのか分からないかもしれないが、下りても下りても1階に着けず、階段とその踊り場をぐるぐる回っているような奇妙な感覚になってきたので、下りるのを繰り返した後に今度は階段を上ってみた。

 だが、下りる時と同じで一向に状況は変わらなかった。


「どういう事だ?……」

 口にした言葉は静まり返った校舎に消えていく。


 俺は冷静になる為に、階段の踊り場で立ち止まった。

 よく辺りを見回すと一階も二階も切り取られて、階段の踊り場と踊り場がくっついてるみたいだ。


 そのお陰で普段は意識して見る事が無い、踊り場についている全身が映る大きな鏡が視界に入った。

 この北側の階段には、窓がなく陽の光が当たらない。そんなところで見る鏡は、一段と存在感がある。


 鏡の枠の模様は蔦が絡まった模様と、なんかよく分からない犬なのか猫なのかよく分からない生き物たちの模様が描かれていて、コレも芸術の一つなのか?と知識の無い俺は自分で納得してしまいそうになる。

 それからやっぱり不気味だと感じるそんな変な模様を見ているとこの前の変な会話を思い出した。


『踊り場の姿見は異世界に繋がっている』


 噂好きな奴から聞いたこの学校での七不思議の一つだ。

 なんか、ある条件を満たすと異世界に引きずり込まれるらしい。

『七不思議にしては設定が甘いな』

 呆れながら馬鹿にしていたあの時の俺を殴りたい……


 恐らくある条件とは、今起こってる不思議状態だろう。


 もう一度、階段を上ったり下りたりを繰り返してみたが、階段が何処までも続くのでこれ以上は体力の無駄と思い、踊り場の鏡を覗き込みながら七不思議なんて、これっぽっちも怖くは無いが連れて行けるなら、異世界に連れて行ってみろと鏡に映る俺を睨んでみた。

「……」

 端から見ると頭のおかしい奴だと思うが次の瞬間、鏡の前に立つ俺の姿は映らずに、姿見が白く輝きだす。



「うおぉっ⁉︎」

 焦った俺は全力で鏡に引きずり込まれないように、階段を駆け下りた。

 

 だが階段が続いているのだ、当然踊り場も続き鏡も続く、その全ての鏡が光り輝いている。


 俺は冷静になれなかった。

 階段を駆け下りる事に疲れてきた俺は足を滑らせ転げ落ち、それから俺は光り輝く鏡にぶち当たる事無く吸い込まれ、その時に意識を刈り取られた。



 と、まぁこんな間抜けな感じで本当に異世界にいく事になるなんて思いもしなかった……

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