52/61
52、目の前
竜巻に近寄るにつれて、初動がどうなっていたのかがわかってきた。
まずは、警察が出たようだ。もはや無意味となったバリケードが、あちらこちらで通行止めをしている。その次は消防のようだ。すでに避難を完了したか、それとも諦めたのか。救急車が音を立てて竜巻へと吸い込まれていくのが目の前で起こった。
その中を俺たちは歩いていく。救急車が飛んでいくような竜巻の中、俺たち3人は、なぜか歩いていた。ただ、ジャンプをすれば間違いなく吸い込まれていくだろう。片足ずつであれば、どうにか踏みとどまっていられる。これも、魔術粒子が関係しているのだろう。
「……どうやら、自衛隊も勝てなかったようだな」
俺が最後の角を曲がった時、目の前を戦車が引きずられていた。見えない何かに引っ張れるようにして、地面をえぐりながら進んでいた。誰もいないのか、履帯が動くことはない。命が優先ということだろう。そして、この先はもはや遮るものは何もなかった。




