51、大丈夫
病院から抜けるのは、意外というか、予想通りというべきか。もはや機能していない警備の影響で、簡単だった。道路はアスファルトにひびが入り、自転車はことごとく倒されている。駐車場に整列して止めてあったであろう車は、乱雑な形で止まっていた。駄々っ子が壊したジグソーパズルのようにも思う。
「あそこか」
「うん」
病室の廊下から見えていたのと同じ、それ以上に禍々しい姿を見せている竜巻がある。その地点から動こうとしないのは、そこからあふれ出ているからだ。魔術粒子は今や地球のみならずその周辺にもあふれ出ているようで、その影響でインターネットも、電話も、光ですら使い物にならなくなっている。目の前がまだわかるというのは、俺たちが魔術粒子に対して耐性を持っているからに他ならない。
「行こうか」
身震いがする。足がすくむ。でも、俺らが行かなければ、他の誰もこの状況から救うことができない。俺はそれを分かっている。しかし、足が動かない。
「大丈夫」
岩屋が俺の横に立ってくれる。
「大丈夫だよ」
マハラが反対側に立ってくれる。
「そう、大丈夫だな」
俺が二人に話す。もう、迷いはなかった。あとは進んでいくだけだ。




