49、即座に
「岩屋の魂は、どうなったかね」
「あ、無事に戻りました。肉体のけがはほぼなかったので、すぐに退院できそうです」
「そうか、それはよかった」
一方で、全然よくないこともある。目の前の現状だ。わかっていることは、神秘省へと魔術粒子が流れ込んでいるということだ。おかげで、表世界へと魔術粒子が流れていっているのだろう。
「国の魔術師たちが、それも、高等魔導士たちが、全力で抑えようとしている。確か、神秘大臣がやったと言っていたな」
「はい、あれを引き起こしたのは、彼女であると思います」
「そうか。それは大変だ」
「何が大変なのでしょうか」
素知らぬ顔して眠っているマハラの体を、ゆっくりとシャドウは右手で触った。マハラの体の周りを、緑色のスライムが取り囲む。
「緊急用ポッドだ。平たく言えば、な」
それから俺の体にも、同じように触る。体の中からあふれ出てくるかのような、吐き気と、激しい動悸。そして猛烈なめまいの影響で、俺はベッドから起き上がれなくなった。だが、それが通り過ぎると、目の前が緑色のフィルムを通しているような状況だ。息はできるし、外の感覚もはっきりと伝わってくる。だが、体が動かない。
「ゆっくりと休んでなさい。おそらくは、再び向こうで必要となるだろう。広兼がいるべきところは、ここではない、土は土に、魂は肉体に、あるべきところに還りなさい」
シャドウの言葉は、まるで子守歌のようだ。俺は、それにあらがうことができず、眠ってしまった。




