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40、理由

 俺の目線に気付いたのか、東は狂気な笑顔のまま、俺に話す。そして、坩堝の中を見ようともせずに、俺に話した。

「その目からみるに、彼女の魂が中に落ちたようだね」

 俺はあえて回答を避ける。だが、すっかりと見抜かれているらしく、笑顔が張り付いた東は、さらに話の続きを聞かせてきた。

「私はねぇ、君と同じなんだよ。向こうでは酒田一子と名乗っていた。不可逆的な脳の疾患でね、もう昏睡になって何年も経つ。神秘大臣となったのはね、私の魔術の力量が認められたからだよ。無論、神の贈り物と思ったよ。調べてみると、私の症状と全く同一の症状、病気で魔術を使って助かった人がいたのさ。その時から私はね、こちらの技術を向こうに運ぼうと考えたのさ。でも、失敗し続けた」

「魔術が表世界では使えないから、か」

「そうだよ。まさしくそれが最大の問題であり、最後の関門だったんだ。だったらどうすればいいか。君も見てきたろ、あの地下5階にある膨大な蔵書を。あれは全て禁忌術、一般人、一般魔術師たちには使わせられない、禁忌官と呼ばれる国家公務員のみがアクセスできる書物なのさ。私は神秘大臣職権でアクセス可能。だから読み漁ったのだ。そして、一つの方法を見出した」

「人々の魂を使う方法、か」

「そうさ。魂はこちらとあちら、同数いる。だが、同じであるとは限らない。そこで、それらを束ねるための魂がいる。双方に共通して、なおかつ私以外の魂がね」

「それが俺っていうわけか」

「その通り。まさに天の助けだったよ。統合魂を持つ人が現れるとはね。この100年間で公式に認められているのは、私と君だけだ。あと一人いたんだが、死んでしまってね」

「……それで、俺をどうしようというんだ。それに、彼女の魂は」

「しばらくは安心しなよ。完全に混ざり合いエネルギー体となるのは、魔術が発動しないといけない。きっと痛みもないさ」

 俺は足を動かそうと思っていなかった。だが、自然と足が動く。何も考えていないようなのに、なぜだ。考えていると答えがわかった。

「どうだい、他の人に体を動かされるのは」

「あんたの仕業か」

「そうだよ。魔術を使えるのと使いこなせるのとでは、これほどに大きな差がある」

 サヨナラと東が言葉を発する。ビーコンはもう光の洪水で見当たらない。あおんな坩堝の中に、俺は落とされた。

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