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4、旅立ち
「広兼くんは、ここでマハラと一緒に行動をしてもらうことになるね」
「はぁ」
そんな抜けた返事しかすることができない。
当然だ。今まで住んでいた、慣れ親しんだ世界を捨てて、勝手に召喚されたこの世界で暮らさなければならないというのは、腹立たしい。
だが、マハラの顔をみると、なぜだか落ち着いてくる。
「君たちは一心同体と行っても過言ではない組み合わせだ。おそらくは、向こうの世界でも、一緒にいる、一番身近な人だと思うよ」
シャドウがそう言うと、椅子に座ったままで俺らにそれぞれ指を向けた。
「一旦、お休み。世界を旅してごらん」
そう言うのが聞こえたような気がした。