3、肉体と魂と精神
「あの、師匠……?」
マハラがおずおずといった雰囲気で、師匠に尋ねる。
その表情から察するに、マハラも分かっていないのだろう。
「おお、済まない。しゃべり過ぎてしまったようだ」
全くだよと思いつつも、俺は目の前の師匠の話を聞くことにした。
「召喚魔法は、通常であるならば向こうの世界、君が生きている世界だ、の魂は呼ぶことができない。だが、どういうことか、魂を固着させることができる魔法使いがいるというのは事実。だれもが憧れる能力だ」
後は、もうあっちに話が脱線し、こっちに話が逸れてだったので、要約しよう。
この世界は、俺からみると裏世界というべきところだそうだ。
ちなみに向こうは表世界と教えてくれた。二つ合わせて対世界という。
魔術粒子という素粒子を、意識して集めたり散らしたりすることによって、魔術を行うことができるシステムらしい。
肉体はそれぞれの世界にあり、魂もそれぞれあるのだが、精神は共有しているわけだ。
そして、肉体と魂と対世界を結び付けているのが、精神である。
魔術を行うためには、精神によって魔術粒子を集め、魂によって魔術粒子を精製し、肉体によって魔術粒子を執行すると言うことだ。
執行というのが、魔術を行うと言うことらしい。
しかし、俺の場合は少し違うらしいのだ。
まずは、対世界に肉体があるのは変わらない。
だが、魂は1つしかないらしいのだ。
そのため、裏世界へと召喚された際、肉体に入るはずの魂の代わりに、表世界の魂が入ったということらしい。
「……そこまでは、よく分かった」
分からなくても、ここはそういうべきだろう。
もともと、魔法とか魔術粒子とか、云々カンヌンと言われても全く理解できない。
「で、俺はここでどうすればいいんだ?」
当面の課題は、そのことであろう。
そう思って俺は師匠こと、リンゲルハム・シャドウ・トルエスニトに尋ねた。