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28、異変

「ふぅ」

 表世界に帰ってくると、なんだかいつもよりも頭がすっきりしているような気がする。向こうで魔術が使えるということが関係しているのかはわからない。けど、今までないほどにすっきりした目覚めだ。

 顔を洗いご飯を食べ、歯も磨いていざ学校へ行く。いってきますと親に声をかけて、玄関から出た。一戸建てだから、目の前は道路だ。

「あれ?」

 そこに、たまたまだろうが、岩屋の姿を見つけた。おーいと声をかけて呼び止める。岩屋は、俺に気付くとこちらに振り返った。

「あれ、鈴木くんてここに住んでたんだ」

「昔からな。それよりも岩屋はなんでここ通っているんだ。家全然違う方向だったろ?」

 岩屋に聞いたが、それについては答えてくれない。逆に、俺に聞いてきた。

「ねえ、魔法ってあるのかな」

「この世界にはないんじゃないかな」

 俺は岩屋の横に立ち、一緒にゆっくりと歩き出す。学校はまだまだ遠いが、時間はたっぷりとある。

「そっか、そうだよね」

 岩屋が何か悲しい顔をしているのが、とても印象的だ。

「何かあったら、相談に乗るけど」

 俺が岩屋に聞く。しかし、岩屋は首を横に振る。

「大丈夫。これは自分の問題だから……」

 そう言って、岩屋はやはり悲しんでいるように見えた。だが、なぜ悲しんでいるか、それについては、この時はとうとう聞くことができなかった。

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