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俺の親が神さまの敵なんだが  作者: トミー
ロキとの出会い
8/24

精神世界

「...エクスカリバーだと...?」


俺は彼女の口から発せられたその言葉に反応した。


エクスカリバーとは、かの有名なアーサー伝説に登場する聖剣のことだ。


伝説では千の松明を集めたような輝きを放ち、あらゆるものを両断したと言われる最強の剣、


それが今、俺の手に握られているということになってしまう。


「私はあなたに託されたその剣を覚醒させるためにやってきました」


彼女は剣を鞘に収めて、続けて言った。


「いろいろ混乱されているかと思いますが、話を続けさせてもらいます。まず私が神だということを信じられたという前提で説明をさせていただきますね」


「神と人間の関係は離れずくっつきすぎず、仲良くも悪くもないと言った感じです。私たちは人間界に降りる際、パートナーを組みます。私たち神はその強大な力を全開にすることを禁じられており、その監視のためです」


「神と組まされる人間は弘樹さん、あなたのように特別なチカラに目覚めたもので組織された機関から派遣されます。ここまでは大丈夫ですか?」


「え?あ、あぁ...」


「では続けます、私には兄がいて、その兄と組んだのがあなたの父親、大賀魁(おおがかい)さんです」


「彼らは人間界で起きる様々な事件を解決し、神界、人間界ともに名声を上げていきました。

彼らこそ私達、神と人間の関係を深めることができる、そう期待してたものもいました」


「しかし、あるとき私の兄の行方が消失、その直後にエジプト神話の神が惨殺されました。神界は主犯を兄ロキ、その重大参考人としてあなたの父親が指名手配された、というわけです」




「...なるほど、あのクソ親父...帰ってこないと思えば、そんな大層な仕事をしていたのか」


ロキの話によれば、親父はまだ捕まっていないということだ。


だから俺が狙われることになった。


「...クソ親父のせいで神が敵になったってことか、じゃあなんだ...ロキも俺の敵になるのか?」




「いえいえ、私は弘樹さんを殺そうだなんて思ってませんよ、私はあなたの身を守るように魁さんに頼まれただけですから」


あのクソ親父...女に俺の護衛を任せるとは...若干だが俺のプライドが傷ついたぜ...。




「...そうか、あともう一つ。さっきから黒い何かが襲ってくるんだけどあれは何だ」


そうだった。何事もなくスルーしていたが、そもそもあれは一体なんなのか。



「黒い...何かですか?」


「ほらちょうどあんなのが...」


俺は玄関先を指さした。


そこにはもはやお馴染みの黒いボディの何か、




「あぁ....悪魔ですね、弘樹さんはこいつに何度も襲われたんですか?」


「まぁそうだな、二、三回ほど」


そう答えながら、軽く剣を振って再び斬りさこうと思ったのだが、


剣から放たれた斬撃は予想をはるかに超える大きさで玄関を走っていき、辺りを吹き飛ばした。


もちろん悪魔の後ろにあった玄関のドアも木っ端微塵だ。


これを空いた口が塞がらないというのだろう。


思ったよりエクスカリバーの制御は難しそうだった。


「...くっ...玄関まで吹き飛ばしちまった...」


今日だけで家のあらゆるところで破壊活動が行われている、ほとんど俺のせいだが...。


あぁ...修繕費が...。


「ひ、弘樹さん、ドアなら私が直しときますんで、落ち込まないでください」


「お、おう」


何だろう、急に得した気分になった。


美少女に慰められていい気分になっとる場合かこら!!


「それよりですね、弘樹さん。状況は予想以上に混み合っているようですよ。話を聞いた限り...」


「え?」


「悪魔と神は対立関係にあるのですよ、その悪魔が神の標的であるあなたを狙っている。悪魔は最近良からぬことは考えているようですし、もしかしたら弘樹さんたちも巻き込まれる可能性もあります」




...弘樹さんたちって...。


「...それは俺の友人とか知り合いとかに危害が加わる可能性があるってことか...?」


「はい、そういうことです」


それは駄目だ、許せない、許されるはずがない。


俺のせいで罪のない人が傷つくことなど俺は断じて認めない。


「...もはや俺の日常はどこかに行ってしまったみたいだな...あの化け物といい、この町に異変が起きたのも大体俺のせいってことか...」


「...はい、しかしその...化け物が今回あなたの町を襲ったのは私の責任でもあるのです」


「...どういうことだ?」


「あなたの町を襲っていたのは、神獣フェンリルという存在です。フェンリルは元々私の使い魔でして...今回、なぜ彼が私の契約を破り、街を襲いだしたのか、分からないのです」


「...お互い大変だな...俺もこんな力を手に入れてしまったわけだし、嫌でも町の平和のために戦うってことになりそうだな」


柄でもないのだが、もはやそんなことも言ってられない。


俺の手でなんとかできるのなら、動くしかない。




「...今の弘樹さんじゃ、戦わせられません」


ロキは真剣な顔で俺に言った。


「...何故だ」


「あなたは戦い方を知りません、何より私より弱い」



おっとこれは舐められたものだ。


さっきまでの戦いは武器がなかったから、逃げ回っていただけだというのに。


剣を握る手の力が強まっていく。


今の俺にはエクスカリバーがある、まだ制御はできてないがこれで戦える。


学校では武道を嗜んでいたし、喧嘩でも負けたことは無い。


その俺が目の前の美少女より弱いだと...?


「...ふん...」




「どうやら納得されていないようですね...なら試してみます?」



試す...だと。



「どうやって?まさかマジやりあう気じゃないだろうな」


「まさか!私は痛いの嫌いですし。まぁ任せてください」



はい!とロキに何かを手渡された。


それは丸薬のようなものだった。


「これを飲めば、言わば精神世界で戦うことができます。これなら怪我をしませんし、本気で戦えます」


「...毒とかじゃないだろうな...」


「もうーそんな事言わないでー早く飲んでください!」


ロキに無理やり飲まされた。


やばい...意識が遠のいていく。


やっぱり毒薬だったんじゃ...。



そうして俺は精神世界へと飛んだ。









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