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俺の親が神さまの敵なんだが  作者: トミー
ロキとの出会い
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フェンリル

俺、唐沢或斗と弘樹は高校で出会った友達である、


というのは彼が思っているだけで実際は幼なじみであったりする。


あいつが覚えてないのはまぁいろいろあるんだけど・・・。


高校入学してすぐわかった、なんせあの不満気な顔はとても印象的だったからな。


だが中身は大分変わってた、いい意味で、正直なやつでいじると反応が面白くて絡むと楽しいやつだった。


そんなこんなで数日しただけで仲良くなり五月の終わり、


あの事件が起こり、俺は動き始めた。



親友とも言える弘樹にも内緒にしていること、



それは俺が社会的にはこちらの世界の人間ではないということ。



だから俺は普通の人より秀でてる能力をひとつ持っている。


俺はその力を人を守るために使うことで自己満足に浸っていたのかもしれない。




そしてある日、任務が下る。


弘樹を連れてこの事件の犯人を抹殺せよと。



俺は今まで失敗もしなかったし、犠牲者も出さなかった。


だからなんの心配もない、弘樹一人守れる。



だが結末は・・・。








□■□■□■□■□■□






「ひろきぃいい!!」


動いた時には遅かった。


やつは既に弘樹の腹を貫き、その部位を消滅させた。


弘樹は血を吐き、その場に倒れる。


そこには急速に血だまりが広がっていく。






叫んだ。


俺はただ叫んだ。



半ば狂乱した状態でも手の動きはなめらかに動く。


俺の腕にはさっきまでなかった腕輪、そこから展開されたパソコンのキーボードのようなものを指で操作する。



すると俺の後ろで魔方陣が展開し、そこから現れ出たのは人形、全身鋼鉄でできた、いわばロボットである。




連結(コネクト)


俺はその術式の起句を唱え、全身を魔力で覆う。


体の隅々に青白い光のラインが走っている、


連結、この術式のよって俺と、正しくいえばこの俺のキーボードと機械人形との通信は最高値に達している。


その性能は人間の持つ技術力をもってしても追いつくことのできないほどの演算を可能にする・・・・・!




俺は高速で入力を始めた。


機械人形は目に青い光を宿し、高速でヤツに接近する。


ヤツ・・・・・という表現には理由がある。


ヤツを覆う黒い靄、そのせいで姿がはっきりしない。


果たしてそれがやつの能力(・・・)なのか、ただの魔力なのか・・・・・。




機械人形の腕に取り付けられた剣が攻撃範囲に入る。


上体を逸らし、かわされるが、

その瞬間右足に仕込まれた銃弾が撃ち出され、やつの足を貫き・・・・・





「なっ!?」


貫かれず、銃弾は空を切る。


それは人間にはできない動き、人間にはないもの、



尻尾だ。



やつは上体を逸らすとともに両足を地面から離した。


その際バランスを取るのはその尻尾、


ヤツは何事もなくその場に立っている。




尻尾があるとわかった以上、迂闊な攻撃はできなくなった。


想定していた攻撃パターンの外側からくる攻撃、



こちらとら一撃くらったら終わる。



まぁ少し驚かされたがまだ終わるつもりはない。



「魔力放出・・・・・加速」


機械人形の動きが変わる、


残像が残るほどのスピードで相手をかく乱し、急所を射抜く、


まともにやり合えば、いくら魔力を通した鎧であろうと砕かれ、機能障害が出てもおかしくない。


俺はこの策が最善だと思った。


だが予想と反してやつは動かない。


かく乱されているというより、見ている。


まさか・・・・・。


「グァアァア!!」


おぞましい雄叫びとともに破裂音、そしてその瞬間に何かが砕ける音、


俺の目の前には無残に破壊された機械人形が落ちてきた。



ありえない・・・・・信じられない・・・・・。



確かに俺は普通の人間であり、特殊な力は持ってない、強いていうならば、機械の操作に長けているそれだけだが、


今まで戦ってきた相手にはこの動きについてこれるものはいなかった。



こいつは・・・・・なんだ・・・・・?


「一変してピンチか・・・・・いや・・・・・」


元から勝ち目はなかったのだろうか・・・・・。


「・・・・・でもまだ・・・・・」


諦める気はない。


腰に忍ばせてある短剣に手を伸ばした。


勝ち目はない、だが諦めない。


ここで逃げるのは弘樹に対する侮辱だと思った。


たとえ逃げ出してもヤツからは逃げられない、ならば最後まで戦って死ぬ。



「ちょいと相手不足かもしんねぇけど、簡単には殺されない・・・てめぇのご自慢の尻尾ぐらいは奪ってやらァ」


短剣を勢い良く引き抜き、俺は走り出した。


同時に…いや少し早くヤツもその場から消えるように動き出した。


意識が一点に集中され、俺の中の世界が加速していった。














□■□■□■□■□■□■□


フェンリルと言う名を聞いたことがあるだろうか?


神狼と呼ばれるその化物はかつて世界に災いをもたらすとされ、魔法の鎖、グレイプニールで拘束された。



だが現在は道化神ロキの使い魔として、存在していた。




その際、力の大部分を奪われ、脅威を収まったかと思われた。




しかし、現在は主人の元を離れ、人間から生命力たる魔力を奪い、その力を増幅させている。


まだ本来の力に遠く及ばないが、それでもその力は人間界に大きく影響を与え始めた。



世界のバランスが崩れ、「聖獣」と呼ばれる妖怪、怪物という類が頻繁に発生し、その数を増やしている。




人間にはそれらと戦う手段はほぼない。


生命力たる魔力は生きていく上での最低限の量であり高密度なものであるが、それを少しでも失えば死ぬ可能性を持つ。


それ以前に人間には魔力を扱えない。


感覚的に魔力を捉えることができず、魔法陣を構成することができないためである。


さらには人間界には魔力がほぼないと言っていい。


それは人間には支障はないのだが、神や悪魔、天使などには大きな弊害だ。


常に魔力供給を必要とする彼らは人間界では、本来の力を出せないのだ。



ではなぜ人間は今日の今まで生きているのか、


それはもちろん特別な力を持った人間がその存在を消してきたからである。


人間には戦う手段はほぼないと言ったが、僅かな人間は対抗できる。


特殊な力を有する人間、


彼らが集まり、協力しそれらの怪異から人間を守る、それが「バインダー」である。







「見つけた・・・」



夜の闇にきらめく銀髪と目、





バインダー序列500番


時操剣 思出(しで) (まもる)である。





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