人差し指姫
携帯で書いたのですごく短いですが……楽しんでもらえれば幸いです。
〈王子様に恋する小さなお姫様、ただしかなりアグレッシブ〉みたいなっ!
昔々あるところに、成人男性の人差し指くらいのお姫様がおりました、彼女はその体の大きさから【人差し指姫】と呼ばれバカにされていました……が、このお姫様は自分に都合が悪くなるとハンマーで粉砕するという悪い癖を持っていました……その威力は人を粉々にするほど。
「むぅ~」
そんな小さなお姫様には悩みがありました。身長や自分に対する誹謗中傷など下らないことではありません。それは全ての女性の悩み……【恋】でした。
実はお姫様はとなりの国にいる、身長180cmの王子様に夢中なのです。
一目みたときからお姫様はメロメロ、つまりは一目惚れというやつです。
「はぁ、素敵な方……私の物にしたい。虐めたいわ」
口を開き出るのは、王子様の事ばかり少し不穏なキーワードがありましたが……しかし、お姫様は自分の身長を考えます。
「こんな体では……無理よね」
人差し指程度の大きさでは【色んな意味】で王子を満足させることができないと思い、ため息をつき、こんな体に産んだ両親を恨みます。
ちなみにお姫様の両親は普通の身長です、お姫様だけが小さいのです。「……身長が大きければ城に殴りこめるのに」
随分とアグレッシブなお姫様ですが、時代は肉食系、戦って雄を勝ち取るのが流行です。
「フッフッフ、お困りのようだな、ミニマ……小さき姫よ」
「あなたは? 後、ミニマムって言おうとしたでしょ、粉砕するわよ」
物騒なことを言うお姫様の前に居たのは仮面をつけ和服を着た【魔法使い】でした。
はたから見ると変人にしか見えません。
「気にするな……こほん。そなたの願いを叶えてやろう、暇出し」
「大きくなれるの?」
「【超越の魔法使い】と呼ばれているしな……できなくはないさ」
姫は目を輝かせ、まるで神に祈るようにせがみました。
「どうすればいいの魔法使い?」「俺の名前はえび――エービスだ。方法は」
「方法は?」
言葉を反復するお姫様を見て、エービスは仮面の下で笑いながら言いました。
「僕と契約して……大きなお姫様になってよ!」
お姫様はその言葉に首を縦に振りました。
ところ変わって王子様です。
この王子は民から愛され、政治もでき、さらには自ら剣を持つ非常に優秀な王子です。まさに王子の鏡、その為お見合いなどが多く、少しめんどくさくなっていました。
「ふう、とりあえずは……うん?」
何やら外が騒がしいと思い、窓から外を見むと――
「ダッシャァアアアア!」
身長190cmの女が振りかぶったハンマーで城壁を突き破っている姿でした。兵士たちはなす術がなく星になっています……悪夢のようですが現実です
「嘘だろ」
あまりの現実に目を背けたい王子は、カーテンを閉め、目を閉じて精神統一をし始めました。
しかし、部屋の壁が吹き飛び、その音で王子は目を開け、その光景を見ました。
ぐちゃぐちゃになっている本棚、壁の一部が散乱している床、笑いながら自分を見る美女。
「見ました……王子様」
王子はその美女を見て驚きます。なぜならその美女の顔には見覚えがありました。
そう彼女は――
「小さなお姫様!?」
「そうです! 魔法使いのおかげでこんなに大きくなりました」
身長が小さかったので気にしなかったのですか。大きくなったお姫様は絶世の美人、スタイル良し、顔も良し……手のハンマーは愛嬌というやつです。お姫様はニッコリ笑いながら言います……手にハンマーがなければ最高の笑顔です。
王子は口をだらしなく開けながら言います。
「なんでこんなことを?」
「あなたが欲しいからです、王子様」
「私を?」
「そう……あなたに恋しました。ですから拉致します」
狂気に似た感情を感じた王子は逃げようとしますが、お姫様のハンマーの一撃を受け、気絶してしまいました。
お姫様は恍惚な表情をしながら王子を抱きしめます。「これであなたは私の物……一生、一緒に暮らしましょうね」
そのまま王子を抱え、去って行くお姫様。
その後、お姫様は王子様と共に暮らし、お姫様の強引さに惚れた王子と結婚し末長く、そして砂糖無しでは語れないほど甘く暮らしましたとさ、めでたしめでたし。
「……たまにはこういう脇役もいいな」
魔法使いは仮面を外しながら楽しそうに、お姫様と王子様を見守っていました。
「アグレッシブなお姫様……まぁ二人とも不老にしたしな」
とんでもない事を口ばしるエービス。その後、エービスは飽きるまで二人を守り続け、迫りくる軍隊を追い払ったそうな……くしゃみで。
〈終わり〉
本当はパソコンでやりたかったんですが……前日に壊れるという悲劇。
もっと書きたかったなと思っていますので、もしかしたらリメイクするかも?
では読んでいただきありがとうございました。
読んだ方々にこの言葉を送ります……【ちぇりお!】