⑲ お互い楽しいね
凛と笑 アメリカから帰って三ヵ月後。仕事が二人ともいい感じで・・・
アメリカ旅行を終え、2日程ゆっくりしレポーター一日目として出勤してから早や三ヶ月が経っていた。
笑は、はじめこそドキドキして
『こんな私できるのかしら・・・』
と思いながらこなしていた仕事が、今まさに楽しくてしようがない。
笑を企画室から引っ張り出し大抜擢したプロデューサーも、笑の人気レポーター度に大満足していて、さすが鬼の天眼!神前プロデューサーと名を派していた。
凛もイキイキしている笑を見て
『もともと持って生まれた天性ね!なのに何故今まで裏方がよかったんだろ・・・』
と思っていた。今日は久々に笑が局勤めの日で一日局にいるという事で、二人はランチの約束をしていた。
「笑!こっちよーーーー」
と、凛が大きく手を振って呼んでいる。
「ごめん。まった?」
「ううん。さっき来たとこよ。それより毎日充実してそうね。レポーター役も板についてきたし。」
「まあね。楽しいわ。いろんな物見れて。いろんな人に会えて。なんか新鮮」
「表舞台、あんなに嫌がってたのに嘘みたい」
「ほんとに嫌だったのよ。恨んだわよ。神前さんを。でも今は感謝してる。怜勇と愁を昔からみてたでしょ?いつも誰かに見られてて、息苦しいだろうなって。私は嫌だなって。怜勇とゴルフの大会出て優勝して、しばらく色々言われたり追いかけられたりしたの。たった一回でよ。だから・・・」
「そっかぁ。でもそれが何故?」
「アメリカで愁に会ってかな。愁も結構日本では無理してる感があったのよ。たまに。私には本音でウゼーッ って言ってたし。でも。アメリカの愁はつき物が落ちたみたいに、根っから明るく笑ってた。キャロルとも本当に普通に付き合っていて。変わったな って。何がそうしたのかわかんないけど、きっと何かを吹っ切ったのね。だから私も。笑で居ようって。TVに出ても私は私で笑として居ようって思ったらなんか、肩の荷が降りた?って感じかな」
「ふーーん。ま、何よりイキイキしてて嬉しいよ」
「うん。ありがと。 って 凛こそ おめでとう!ドラマ企画通ったって?」
「うふふ。ありがと。やっとって感じ!」
「凛はずっとドラマがしたい!って言ってたもんね。夢叶ったね」
「サンキュ。今日はゆっくり昼から乾杯しよ!笑も今日は時間いいんだよね?」
「いいけど。凛は忙しくないの?」
「いいの。今日はホラ笑と会うの言ったら。部長がゆっくりしてこい!見逃してやるよ!って」
「わーーい。さっすが部長。じゃ昼から乾杯 行きますか?」
二人はほんの少し贅沢にHOTELLのランチに向かったのでした。
『凛 良かったね。夢に近づいて・・・。私の夢はいつ叶うんだろ・・・。』
『怜勇は何ヶ月後かのマスターズで夢を叶えるんだろうか・・・』
凛の話を楽しく聞きながらも そんな思いがこみ上げる笑であった。
次回、いよいよ怜勇についてマスターズへ出発です