⑱ 土産話
付き合ってないのに、告ってないのに、なぜかどんどんラブラブモードになって行く二人。それはお互いすこしずつ大人になっているから。
飛行機の中
「楽しかったね~。笑は愁君に会えたし、いっぱいしゃべった?」
「ふふふ。そうね。お土産もたくさん買ったし・・・」
「ね。笑!日本帰ったら・・・レポーターデビューだね・・・」
「うん!もうふっきたから。楽しもうと思ってる」
等と凛とアメリカでの楽しかった旅行の話をしながら笑は考えていた。
『愁なんか変わったな。すごく楽しそうで充実した日々を送ってるみたい。日本に居た頃も楽しそうで元気だったけど、なんか心を許してない感があった。アメリカ生活はそうじゃなく心から楽しんでいて、裏表のない愁がいる気がする。小さい頃から一緒の私が愁の違和感に気付いたのいつだろう。明るさに嘘があるように思った事があった。怜勇にも話したら怜勇もなんか変わったなって言ってたっけ。私達と居るときは昔のままの愁だったけど・・・。キャロルが変えたのかな。うまくいけばいいのに。お互いが気持ちに気付いて進展すればいいのに・・・』
「ねぇ。笑聞いてる?」
「え?ああ えと。なんの話だったっけ?」
「もう!やっぱりね。途中から全く聞いてなかったでしょ?もう いいわ。まだまだ到着まで時間あるし寝るわ!おやすみ」
「・・・ごめん・・・おやすみ」
☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~
「うーーーん。ついたぁ。楽しかったけど、やっぱりちょっと疲れたね。笑 お迎えは?」
「来ないよ。凛は?誰かくるの?」
ニッコリ笑って指差しながら
「ほら あそこ」
「うん?あれ 藤見くん。」
「そ。休みだから迎えいくって言ってくれたから。笑も乗ってきなよ」
「ええ?いいよ。タク拾うから。じゃね。バイバイ。藤見くんによろしく」
「そうう?笑も乗ればいいのに。新喜ぶのに。新、笑のファンだから」
『凛?何言ってんの。藤見くんの一番のファン。ううん。思い人はあんた。凛だから!藤見くん可愛そう・・・凛にはまだまだ気持ち伝わってないわね』
「ハハハ。じゃまた。明日はゆっくり家でくつろぐわ」
と、お互い手を振って別れた。
『さて、タクシー乗り場は?と』
キョロキョロして見つけたタクシー乗り場へ向かった。
『げ!結構並んでるな・・・しかたない。並ぶとしよ』
並んでる間にスーツケースに腰掛、母親に空港に付いたからタクシーで今から帰る事を伝える為携帯メールを打っていたら
《パーーン》
と、ホーンの音がした。タクシー乗り場に並んでいた数人が一斉に乗車口に乗りつけた真っ赤なスポーツカーを見た。もちろん私もそっちを見た。
『へ?なんか見覚えある車だなーー』
「笑!お帰り!帰るぞ!乗れよ」
『怜勇ぉーーー。目立ちすぎぃ・・・。ここにいる女子達が貴方の事を見る目がハートですからぁ』
女子全てが
「誰?笑ってどのこ?」
とキョロキョロしてますからーーー。
今ここで、うんって出て行けませんからぁーーー。
と下向き挙動不審行動をして、
『タクシーで帰るから気付くな!早く去れ シッシッ』
「おい!笑!そこの後ろのほうにいる。シャネルのサングラス掛けてシャネルのミュールを履いた。真っ赤なミニスカっ娘。早くこいよ。タクシーが困ってるだろ」
またまた女子が今度は男子も一斉に。そう後ろに並んでて俯いている笑を見た。
『おーーい。やめてーー。皆の目がキョワイーーー』
「ちょっと。あんたの事じゃないの?」
『って。そうです。私が笑です。う う』
「あ。そうみたいですね・・・。ちょっと必死でメール打ってたもんで聞こえませんでしたぁ。アハ アハ」
って。急いで荷物を持って怜勇の車に駆け込んだ。痛い 痛い みなさんの目が痛い。
「笑 おかえりーー」
って怜勇は自分のサングラスをはずそうとして手を掛けた・・・
「ダメー!早く出して。サングラスはずすなーーー!」
と背中をポカポカたたいた。
「はやく はやく はやく」
「え?ああ わかった」
ブロロロロロ・・・
キッ笑は怜勇を睨んだ
「どうして来たの?」
「笑ママから聞いた。到着時間・・・」
「あのさ・・・。怜勇。あんた有名人て知ってる?よね」
「来てくれるなら、早くにメールしてよ。場所、目立たないところに設定するのに・・・」
「笑。びっくりさせてやろうと思って」
「普通に目立たなく来て!しかもサングラスはずそうとするし・・・」
「あー。あれはボーっとしてて」
「嘘!わざとでしょ!わかってまんまと罠にのった私。何回もひっかかる・・・落ち込むわ」
「アハハ。いいじゃん。笑らしくって」
「ふんっ!」
ニコニコすながらまっすぐ前を見て運転してる怜勇が口を開いた。
「えみ。改めて・・・おかえり」
「ふん。何よたかが一週間よ」
「俺、今回ツアーなかったから家にずっといたんだ。待ってるのって長く感じるな・・・」
「ふん。そうう?」
「ハハハ。で、楽しかった?愁 元気だったか?」
「うん。元気だったよ。それでね。愁ったらね。かくかくシカジカ・・・・・」
「へー。今度 俺もそのキャロルちゃんに会ってみたいな。今度は俺と二人で一緒に行くか?愁んとこ。な 笑!」
「うん。うん。行こう!行こう!いい子なんだよ キャロル。それでね・・あーーでね・・」
笑は
『なんだ?なんか、また怜勇ペースに嵌って普通にしゃべってる?しかも、一緒に愁のいるアメリカに行く?私、返事しちゃった?もしかして。?????ま いいか。二人きりじゃないよね』
と怜勇と会話しながら ふと思い、
怜勇は
『さすが、笑。話に夢中で、俺が何気にアメリカに二人で行こうって言ったのに、軽々しく返事しやがった。きっと今頃頭の中で、あれ?って思い直してるんだろうな。クックックッ』
『ま、その前に来年のマスターズに付いてきてもらって・・・・の事だけど。俺がんばらねば。』
車で、笑はしゃべりっぱなしであった。怜勇はそんな笑の話を楽しげに聞いていた。
星野家に到着したら、笑ママが怜勇にお礼を言い、
「お茶でも飲んで怜勇君。笑の部屋に運ぶから」
と言ってくれたので笑の顔を見ると、コクコク頷いている。まだまだ土産話をしたいようだ。そんな時間も大好きな怜勇は笑の荷物を部屋に運んでやりながら一緒に家にあがった。
「怜勇。お土産話もまだまだあるけど・・・。ハイこれ。」
「ディオールの店で見つけたの。トーナメント中でもつけれるかな って思って・・・。スポンサーの制約があるからダメかな・・・」
「イヤ!大丈夫だよ。ありがと。大事にするよ」
「うん。怜勇がはじめて海外ツアー行って買って来てくれたのディオールだったんだよ。覚えてる?だから私も初めての海外旅行のお土産はディオールにしたの ふふふ」
『スポンサー なんか言うだろうか。でもこれは絶対つけて出る!承知させるよに話をしよう』
笑にもらったネックレスを拳で強く握り心に誓う怜勇であった。
ペアのネックレスを笑が持っている事をこの時はまだ知らない怜勇である。
笑も、女性用のネックレスを自分につけるのはまだ先の事。それまでは、怜勇にもらったキーホルダーと一緒にオルゴールの中に大切にしまっておくのであった。
怜勇のマスターズに秘めた決意とは・・
いつになったらわかるのか・・・。