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⑨ 特番収録

収録の日

全国にばれる・・・

「こんばんわー!『アスリート達の夢の共演。あしたへ』の時間がやってきました。司会のぉ 君を食べたい☆笑わせ隊のぉ アナですホリです。じゃやないほう とか言わないで~必ず覚えて穴掘り(アナホリ)です。」

ち言いながら二人の決めポーズ。つるはしとショベルで、穴を掘る格好をする。


パチパチパチパチ・・・


「アナ 今日はスゴイ人達が来てますね~」

「ですなぁ。老若男女とわずトリコにしてるのにぃーー。嘘かほんとか週刊誌をにぎわしたぁ。海 フンガ フガフガ・・くるしい!」


「ホリ大事なとこで、口ふさぐな!くるしやろが・・。ま ええわ。と、バスケ界のプリンス久々の日本メディアに出てくれるそうですし・・。美人トランポリンナーも来てますよ。ジュルジュルル」

ニターッ

「こら!きもいねん。なんやねん。その顔とよだれは! 人変わってるやんけぇおまえ!」


私と凛はこの番組の企画に携わったという事で、舞台の袖で色々裏方の仕事を手伝ったりしながら、番組を見守っていた。


「ねぇねぇ。この番組。この時間帯ひとり勝ちじゃない?だって。ゴルフ界の若大将三人衆でしょ?それに日本でメディアに露出したの四年振りのプリンス愁月君!美人のトランポリン選手ミホっち。その他・・・・。ね?」

「そうね。お金かけたよね~。部長なんて社運をかけた番組だぁ! なんて言ってたもんね。」


バタバタ休憩時の飲み物の準備したり、メイクさんに挨拶したり、見学に来られた副社長の相手をしていた部長に呼ばれて凛と二人挨拶に行ったりしながら、それなりの時間をすごして後、番組も残すところ、30分となった時、笑わせ隊の二人が恋バナトークに移っていた。

アナホリの好きなタイプを言って、アスリート達にタイプや意中の人がいるか?どうやってアタックするのか?どうやって射止めたのか?など、巧みなトークでうまく聞き出している。

かと思えば逆に非常にうまい切り替えしにアタフタさせらりして、ナカナカたいしたもんで、大盛り上がりの終盤を迎えていた。


「さーここでぇ。みなさんお待ちかねのバスケ界のプリンス山村愁月選手・ゴルフ界の涼風王子海藤怜勇さん・みんなの萌え~王女富永美帆ちゃんに聞いてみましょう!」


わーー キャー キャー

抽選で番組見学に訪れた100人の歓声につつまれた。


「まずは、やはり初スクープの海藤さん。週刊誌の事、この際正直に言っちゃってください。あなたの心を穴掘り隊。気持ち聞かせてぇーー。ほんとの気持ちをぉーーー。い わ せ たぁぁぁぁぁい!と」

派手なジェスチャーで怜勇にマイクを振った。たぶん・・・今日の一番の見せ場だろう


「ハハハ・・。そうきましたかぁ? なかなか僕に質問が来ないな?と思ってたんです。こないだの週刊誌の事絶対どこかで聞かれると思っていたので・・。最後の最後とは・・・参りました。」

怜勇はそう言ってしばらく間をおいてから

「全くこの間の週刊誌の事は事実無根です。実際本当にたまたまあっちで偶然会って・・・。食事しただけなんです。ま、こう言っても証明するもんがないので信じてもらえるかどうかわかりませんが・・・。

とにかく僕はマスターズに優勝するまでは色恋沙汰は封印しています。マスターズ優勝が僕の夢ですが、それは僕の最大の夢を叶える為に絶対必要条件なんです。ていうか、僕が最大の夢を叶える為に架した夢なんです。なので、マスターズ優勝!という夢が叶うまで皆さん。暖かな目で応援お願いします。」


「海ちゃん!またまた優等生な答えをしてーー。ホリはそんなんで許せないよーー。ぜったい!何かを言わせ隊!」

と、ズキューンと撃つまねをしている。

すると怜勇が

「分りました。それでは、一つ僕の秘密を教えましょう。愁!こいよ」


「へ?山村愁月くんと 何? どういう関係ですか?」


ザワ ザワ ザワ

放送時間も残り少なくなって、見学者達も何が起こるのかソワソワしている。


「OK!怜勇。」

愁はさっと柵を飛び越え怜勇の横に立った・・・と、思ったとたん、怜勇が舞台袖に向かって歩き出している。

『何?なんで?もしかしてこっち来る? 何?え? え?』

と、思っているうちに、私の腕をつかまれて

「笑。おいで」

とにっこり微笑まれた・・・・

隣の凛は目がもうこれ以上開ける事は出来ませんぐらいのびっくり眼で、私の顔をみつめている。

もちろん部長も。メイクさんも。ディレクターさんも。他多数の人も。


怜勇と愁の間に立たされた私は二人に肩を組まれ

「僕と愁。そしてここにいる月星TV社員の笑は、家が近所で小さい時からの幼馴染です。三人で約束しました。それぞれの夢を叶えようぜ。絶対に!って。叶えるまではどんな努力も惜しみなくしよう!と。そして、この三人だけは応援し合おう!と。この写真覚えてませんか?この写真が僕の今の支えなんです。この写真を見ると昔三人で誓った事を思い出せてがんばれるんです。だから、僕に今恋はありえないんです。恋はもう少し先ですね。信じてもらえますか?」


「怜勇の言ってる事に偽りはないと思います。僕も一人アメリカで戦ってます。僕もNBAでエースポインターになる為に。心の支えは欲しいですが、相手に辛い思いをさせてしまうなら、もっと自分に自信がついたその時に、一緒にいたいと思う子を迎えに行きたいと思います。と言う事で僕もまだまだ恋はさきですね」


「はーー。そうですかぁ。社員の笑さん?でしたっけ?今までスター二人と幼馴染と言うのと、あの有名な高校生カップルの女の方は私です って言うのは内緒だったんですかぁ?」


「は はい。 ごめんなさい。騙したり内緒にしたりしようと思ったわけではないんですが、二人とも有名で。夢に向かってがんばってて。なんか、言いにくいのと邪魔したくない!っていう思いなどが色々まじって・・・。すみません」

「でも、これですっきりしました。二人の応援にどうどうと行ける気がします。」

と、なんだか私まで巻き込まれてTVに映っちゃうわで。テンヤワンヤのエンディングとなりました。


収録後どっと疲れて座り込んでいたところへ、部長がやってきて

「いやー。エンディング前の視聴率が最高を叩きだしたよ。24・8%だったそうだ。」

とニコニコしながら握手をされて

「星野君は結構TV映りが良くてびっくりしたよ。」

と、言って副社長の元へ頭をさげながら向かっていった。


「笑・・・。ごめんよ。」

怜勇の声が後ろから聞こえた。

「俺、笑に疑われるのが一番いやだったじから。それにここでTVで幼馴染って顔見せてたら、どうどうと会ってもしゃべっててもいいじゃん。笑との関係を知らないと、笑と一緒にいるところ見られると、また写真にとられて・・。笑にも迷惑かかるだろ?だから強行手段だったけど・・ごめん。愁も。おまえと普通に今まで通りいたいからって。この作戦に乗ってくれたんだ」


「う  ん。 わかった。 ありがと。もう普通にしていいんだね。」

「おう」

と、怜勇は、あの時写真のようなやさしい微笑みで頭をなでてくれた。

とうとう全国ネットで怜勇との関係が暴露された。

ただの幼馴染として。

笑は、少し肩の荷が下りてホッとしたのでした。

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