社会人編 ④
怜勇と練習場で再会
『さーっ、今日も練習がんばるぞぉ』
と、まずは、7アイアンから・・・。
『後、二日かぁ・・・。楽しくまわれるかなぁ・・。ま、ゴルフをしに行くんだ。深く考えるな!うんうん』
スコーン スコーン
いい感じぃ ニコニコ
次は・・・5アイアン? うーーんドライバーにしよ っと。
ガヤガヤ ヒソヒソ・・・・
『うん?なんだぁ?』
笑は、クラブを探しながら入り口から入ってくる背の高い青年に目が行く。
帽子を目深にかぶってる為、よく顔は見えないけど、雰囲気は爽やか素敵系に見える。
『へーっ。かっこいいじゃん。そりゃ目を引くわね と、ささ私は練習 練習』
『あの、こんばんわ 隣いいですか?』その青年が笑に声をかけてきた。
笑は、振りむいて返事をしようとすると、その青年が帽子をクッと上に上げニッと笑を下から見上げ笑っていた。それは、笑が良く知る・・・・
「れ・怜勇ーーーっ」と叫ぶが先か
「しーーーーっ!」と言うが先か声がかさなって。笑は慌てて口を押さえた。
「あ、あ どうぞ って どうしたの?こんな時間に」笑は最後の方を小さい声で聞いた
「笑の匂いをかぎつけて来た て言うやつ?」
「は?何それ」
「うそ うそ。たまたま近所にジョギングに行こうとしてたら、おばさんにたまたま会ってさ。笑、最近また、ゴルフの練習場に夜,毎日行ってるわ。今日もいるんじゃないかしら。って教えてくれたからさ。ランニングを止めて、練習にした。そしたらすぐ笑は見つかるわ。隣空いてるわ。ラッキー!てな」
「てな。って・・・。怜勇さぁ。スターなんだからもう特別待遇VIP席なんじゃぁないの?目立ちすぎ!」
「だから、変装してんだけど?髪も黒染めスプレーしてきたし。伊達眼鏡だし。服装だっていつもは絶対着ないのきてきたし・・・」
私はため息交じりで、ジロっと睨んでみたけど、当の本人は鼻歌交じりで隣の打席に行き、準備をし始めた
「ちょ、ちょっと れ そこの隣の子! ちょっと」
と手をあげ、おいでおいでして、怜勇を呼んだ。
「うん?」
「あのさ、受付の人にはばれなかったの?」
「うん?海藤怜勇です って帽子脱いで挨拶したよ。もちろん。VIP対応で! だから絶対のトップシークレットだから大丈夫!」
「あそ。でもさ。怜勇のスウィング見たら わかる人は分かるんじゃないの?」
「アハハ。 大丈夫!」
と、片手を挙げて打席に戻って行った怜勇。しばらくボーッと怜勇をみていると、練習を始めた。
『え?ええ? 何?あの振りは・・・』「アハハハハ」
声を出して笑ってしまった。『そりゃ、ばれないわ、でもへんな癖つかないのかな?』
そう思いながら私も練習を開始した。
すると、しばらくして隣の怜勇から
「君、上手だね。どう?休憩しない?」って缶コーヒーを差し出してくれた。
「あ、ありがと」と言って受け取ると、
怜勇が、打席後ろの籐の椅子に座っておいでおいでをして、呼んでいる。
私は、素直に隣の籐の椅子に座った。
「怜勇、役者だね。笑ったよ。でもあんな振りしても飛ぶんだ。私なら空振りね。アハハ」
「たまに、遊びで愁とあんな打ち方してたんだ。だいぶ昔だけどな。愁と二人でいるとどうしても目だって、注目されるだろ?あいつもバスケ界では有名だし。で、二人でわざと、どんくさくするわけ。すると、女の子たちは、なぁーんだ。かっこ悪い! ってすぐどっか行くわけ。 懐かしいな。あの頃が」
なんだか、怜勇が少しさみしそうな目をしたような気がした。
『疲れているんだろうか・・・。着実に夢に近づいているのに。やはりたまには、普通の青年として居たい時もあるんだろうな。』と、私はコーヒーを口にしながら怜勇の横顔を見ていた。
3時間ほどを 二人でどっちがピンの近くにのせるか?とか。あそこまで飛ばせるか?とか昔のように二人でワイワイ騒ぎながら過ごしていたが、時間もすでに結構な時間になったので、
「そろそろ、帰ろっかな」と私が口にすると
「俺も。帰るとするか。笑。駐車場でちょっと待ってて。車だよな?」
「うん。車だよ。何?」
「いいから。俺、ここの人に挨拶して帰るから、待ってて」
「わかった。じゃ、後で」
と別れた。怜勇は普通の人が帰る方向じゃなくて関係者以外立入禁止の札の掛かってある部屋へと消えていった。
駐車場でしばらく待ってると、怜勇がやってきた。
「笑。はい。これ、アメリカの土産。」
「うわ。ありがと。何かな。今開けていい?」
「いいよ。たいしたもんじゃなけど」
「うわ。ブレスレット。いいの?しかも、五番街のマルファニィーの・・・。いいのかなこんな高価なお土産貰っても。」
「いいの。」
「・・・・ありがと。大事にするね」
笑はすごく嬉しかった。
『うれし・・。ありがと。ずっとつけておこう』と思った。
「それと、今日少しだけ時間ある?焼き鳥で、一杯どう?お互い車置いて、徒歩で。昔よく家族で行った太郎庵!で。」
「わー。懐かしい!いいよ。タロおじ|(太郎庵のオーナーで幼馴染の3人はこう呼んでいる)。歓迎してくれるかなぁ。じゃ、現地集合で」
「おま。夜も遅いから迎え行ってやるよ」
「えー大丈夫だよ。じゃ後で。現地でいいからねぇ。バイバイ」
ガラガラ~
懐かしい 太郎庵と書かれた赤いちょうちんの横の引き戸を開けて中に入ると
「よっ!いらっしゃい! 笑嬢。久しぶりだな。きれいになりやがって。さ、さ、入んな。いつもの奥の部屋にクルオが待ってるぜ」
クルオ・・・怜勇にタロおじがつけた呼び名だ。ちなみに私の事はさっきの通、笑嬢と呼び、愁のことはチャラ愁!とつけている。
「ありがと。タロおじ。元気してた? いつものお願いね」
「おう。まかしときねーー」
「お待たせ。変装してないんだね。」
「ここは、俺達の店だろ?ここでは昔からの海藤怜勇でいたいから。タロおじもわかってるし。」
「だね。ここはほんと、昔のままで。落ち着くもんね」
練習場での笑と怜勇が長くなってしまいました。
もう少し二人の時間を書かせてください
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