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変化  作者: かさのきず
1/5

プロローグ side 彼女

◆1

「もしもし」

 通話開始。私はすぐに口を開いた。

「…………」

「えっと、聞こえてる?」

「……ああ」

 しぶしぶと、だけど彼は返事をしてくれた。

 良かった。切られなくて。

「で、なんだよ。急に電話なんかしてきて」

 そうだ。安心している場合じゃない。私は彼に、伝えたいことが

あるんだ。

「あのさ、今外に出れる?」

「無理」

 あ、なんか普通にグサリときたかも。

「わかったよ。どこ行けばいいんだ?」

 でも、そこは優しい彼のこと。私が黙っているとすぐに私のこと

を安心させてくれる。

 そういうところが、彼は上手だった。

「駅の近くのマンションの脇。そこの公園で待ってる」

 だけど、私は今日

「じゃあね。また」

 彼と別れるんだ。

 通話終了。一分四十七秒。

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