星
小さな田舎町に住む8歳のさくらは、星を見るのが大好きでした。
夜空に広がる無数の星を眺めるたびに、「星って話しかけてきたら楽しいのになぁ」と思っていました。
隣の家に住むさとしくんは、さくらの幼なじみで同い年です。
明るくて好奇心旺盛な彼は、さくらといつも一緒に冒険をしていました。
ある日の帰り道、二人は学校の裏手にある小さな畑の近くで奇妙な光を見つけました。
「ねえ、さとしくん!あれ見て!」
「なんだろう、これ……?」
二人で近づくと、そこには小さな光る石が転がっていました。
それは、手のひらにすっぽり収まるくらいの大きさで、まるで夜空の星を切り取ったようにキラキラと輝いています。
「これ、星のかけらじゃない?」
「うそだろ、さくら。でも……すごく綺麗だね。」
さくらは恐る恐るその石を拾い上げました。
不思議な温かさが手のひらに伝わってきます。
その夜、さくらはその石を持って眠りました。
そして、不思議な夢を見たのです。
星の国へ
夢の中で、さくらはさとしくんと一緒に星の国にいました。
そこは光る道や星の花で満ちた美しい場所です。
「さくら、ここ……どこだろう?」
「星の国だよ!きっとあの石が教えてくれたんだ!」
ふと、二人の前に金色の星が現れました。
「君たちが星の子を助けてくれたんだね。」
金色の星は静かに語り始めました。
二人が拾ったのは迷子になった星の子だったこと、そしてその星の子が再び星の国に帰れるのは、二人のおかげだということを。
「本当にありがとう。これからも夜空を見上げていて。僕たちは君たちをいつも見守っているから。」
星の子はふわりと光を放ち、夜空に戻っていきました。
忘れられない夜
目を覚ますと、二人は星の石を持っていませんでした。
しかし、窓の外には一つの星がひときわ明るく輝いていました。
「さとしくん、あの星……きっと星の子だよ!」
「うん。これからもあの星が見えるときは、星の国を思い出そうな。」
それ以来、さくらとさとしくんは夜空を見上げるたびに秘密の冒険を思い出し、二人の絆はさらに強くなりました。
そして、いつまでも忘れられない「星を拾う日」を胸に秘めていたのです。