表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

4話 観賞用だから

じゃあねっとペット屋が手を振って、出て行った。

これでお別れだけど、軽いもんだね~。ま、売り物に一々感情移入もしていないか、これで三千万とかぼろい商売なのかもね。


「お前を……買ったぞ?」


「うん、そうだね。今日から貴方が私のご主人様だよ」

確認する事もないと思うけど。

ん? もしかして私の態度が悪いから、立場を弁えろ的な事言われてる?


カッと目を見開いたと思うと、何故か其奴はメンテナンス用の梯子を急いで登ってくる。なに、なになに!?

本格的に怒ったの?


「ちょ、何するの! 触らないでっ!」

信じられない、掴み掛かってきやがった!


「離して、離して! 嫌!!」


私が暴れると、水槽から水が大量に溢れる。もー噛みついてやろうかしら!

すると流石に拙いと思ったのか、びしょ濡れになって頭が冷えたのか、手が離れる。私は急いで水槽の反対側に移動した。


「あんた、どういうつもりだ変態!」


「へんっ」


「買ったからって、何してもいいと思ってるの!? あんたみたいな成り上がりは、私みたいなのは初めてかもしれないけど、私は観賞用だから!」


「観賞用……」


「そうよ、必要ない時に触るな!」

大人しく飼われてるけどね、人魚だって本当は人一人ぐらい噛み殺す事も、溺れさせる事も、出来るんだからね。

それをすると、暮らす環境が悪くなるからしないだけ。

最悪処分されちゃうだろうし、私だってばかじゃない。気分良くご機嫌に世話されて暮らしたいもの。


「ふーー!」


「そうか……」


新しいご主人様は、それだけ言って、ムッとしてそっぽを向いた。

それって、困った時の癖なのかしらね。実業家とか偉ぶってて、ガキっぽーい。

私もそっぽ向いてやろ。

「ふんっだ!」


それから、少し気まずそうに黙っていたけれど、暫くすると服を着替えると言って、新しいご主人様は部屋を出て行った。


「はぁ~こんなんで大丈夫なんだろうか、私の新生活は……」


あー若い男だって聞いて、嫌な予感はしてたのよ。

好きでもない奴に、そういう対象にされても困るのよね。だいたい幻獣だよ私、人魚。

買っていきなりそういう事しようとするとか、どうなってんでしょうね!


ペットにだって愛護法があるんだから!

闇取引されてる幻獣には適用されてないって? 知るかー!


私にだって選ぶ権利ぐらいあるんだから、いや、厳密には無いのかもしれないけれど、私には指輪をくれたこが居るんだもの。


次に襲って来たら、尊厳を掛けて噛み殺してやる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ