13話 暗闇で
ガタンッガッシャン!
大きな音が続く。
どうしたんだろう、確認すると12時過ぎてる。こんな時間に騒がしくするなんて、今までなかった。
なんだろう、暗いと不安になる。
「…………」
何か話し声が聞こえるわね。
「待てこら”ぁ!!」
ガシャンガシャンと音がまたして、扉が開きあおきが中に入ってきた。
「何があったの?」
「シー」
「怪我してるじゃん」
服に血が、どこを怪我しているのか解らないけれど、血だらけだよ!!
何があったのか、小声で聞くけどあおきは答えない。
「どこだあああぁあ!!」
知らない男の叫び声が聞こえる。
「何してるの、あおき!」
「静かにしてろ」
怪我をしているみたいなのに、あおきは私の入った水槽を、押して動かし始めた。一応キャスターが付いてるとは言え、凄く重いんだよ。
あ、あ、あ早く手当てしないと、水槽の側面にもあおきの血が、手の跡を残していく。
端まで移動させると、映画を見るためにスクリーンを下ろし始めた。何のためにそれをしたのか、私はやっとわかった。
私を隠すためじゃん!
「あっ」
「静かに、お前を巻き込むつもりはない」
ウィーーン……
スクリーンが、下まで下がって、あおきの姿が見えなくなる。
それと少し間を開けて、大きな音をさせて扉が開かれた。強盗なの、何なの!?
怖くて、声なんて出ない。
ドラマや映画みたいに、賢く立ち回るなんてできない。
大きな音がして、ただただ怖い……。
「お前の所為で、死ねっ死ねぇえ!!」
「うっぐっ!!」
え、なに、なに……なんなの……。
また刺された?
あおき、刺されたの!?
「思い知ったか!」
バタンとかガタンとか音がして、それから荒々しい足音が遠ざかって行った。
「……」
あおき死んだ?
また、飼い主が死んだの?
「……ぐっ」
冗談じゃない、また売りに出されるじゃない。
折角この生活にも慣れてきたし、まだ一緒に見てない映画だっていっぱいあるし、ゲームでまだ勝ててない。
私は、水槽の縁に手を掛けて、思いっきり身体を引き上げる。
そのまま、床に向かって落下した。




