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先が読めない第40話 【占い編ラストエピソード】【『フランシス王国騎士団』の寮編】人気者と妄想~ラブコメ、ハーレム、ギャルゲー、恋愛ドラマ~? 多数決? 提案? 下着泥棒? モンブラン? 深夜の墓地?

 タツヤは、真顔(まがお)で、

「いや、本気だけど」

 と、言った。


 ジェシカは、困惑した様子で、

「タツヤ、気持ちは嬉しいわ。でもね」

 と、前置きをしながら、続けて、

「無理よ……!! 深海五千メートルまで、どうやって、行くつもりなの?」

 と、聞く。


 タツヤは、

「今は、『潜水艦(せんすいかん)』しか、思いつかない」

 と、答えて、続けて、

「『潜水艦』って、どこで、手に入るんだろう?」

 と、(つぶや)く。


 ジェシカは、苦笑(くしょう)しながら、

「仮に、タツヤが『潜水艦』で行って、『海底ポセイドン神殿』で、待つことができたとしても、私は、どうすればいいの?」

 と、聞く。


 タツヤは、

「ジェシカも、『潜水艦』で、くればいいだろ」

 と、答えて、続けて、

「大丈夫。なんとかなるさ」

 と、言った。


 ジェシカは、苦笑しながら、

「無理よ……!! そもそも、『潜水艦』なんて、何処にあるのよ? 話が、飛躍(ひやく)しすぎ」

 と、言った。


 タツヤは、

「とりあえず、この話は、また今度にしよう」

 と、言って、続けて、

禁固刑(きんこけい)は、いつから?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「はっきりとは、わからないわ。もうすぐだと、思うけど」

 と、答えて、続けて、

「ラフレシア女王が、前日になったら、使いの人をよこすから、それまで、任務以外は、じっとしているようにって、言われてるだけなの」

 と、言って、苦笑する。


 タツヤは、

「意外と、大雑把(おおざっぱ)だな」

 と、言って、苦笑する。


 ジェシカは、

「私だけ、特別待遇(とくべつたいぐう)みたい」

 と、言って、タツヤと同じように、苦笑する。


 タツヤは、

「『フランシス王国騎士団』の、メンバーだから?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「たぶん、そうでしょうね」

 と、答えて、苦笑する。


 タツヤは、

「とにかく、『ポセイドン』のことは、一旦(いったん)置いといて」

 と、言って、続けて、

「今は、占いの結果を、みんなに、早く報告しよう」

 と、言った。


 ジェシカは、

「そうね」

 と、(うなず)いて、続けて、

「きっと、待ちくたびれてるわね」

 と、言った。


 タツヤとジェシカは、出入り口の扉を開けて、外へと出た。



 外は、夜になっていた。


 街は、暗い闇の風景へと、変化している。


 カロリーネが、待ちくたびれた様子で、

「ずいぶん、遅かったわね。もう、夜よ。どうだったの?」

 と、声をかける。


 クリス、ホワイトレミ―、マリアレーヌ、エリザオーレも、同じように、待ちくたびれた様子で、結果を早く聞かせろ、という雰囲気(ふんいき)だけが、伝わってくる。


 ジェシカは、前の五人(カロリーネ、クリス、ホワイトレミ―、マリアレーヌ、エリザオーレ)の時と同じように、占いの結果を、この場にいる全員に、報告した。


 カロリーネは、驚いた様子で、

「嘘!? 相性最高で、両方、幸せ!? すごい!!」

 と、言った。


 クリスは、特に驚く様子もなく、

「やっぱりね。予想どおりだわ」

 と、言った。


 ホワイトレミ―は、

「私も、予想どおり」

 と、クリスと同調するように言った後、

「相性は、私も最高だけど、ジェシカの場合は、両方、幸せになれるんだよね……?」

 と、言って、落ち込んで、不思議そうに、

「アホのタツヤには、ジェシカみたいな、真面目な人が、一番いいってことなの? なんか、信じられない」

 と、言った。


 マリアレーヌは、クリスとホワイトレミ―に、

「私も、予想どおり、当たったわ」

 と、告げて、続けて、

「でも、本当に、両方、幸せになれるなんてね……ちょっと、あまりにも、予想どおりすぎて、逆に、驚くわ」

 と、言った。


 エリザオーレは、

「…………」

 と、黙って、考え込んでいる。


 ジェシカは、エリザオーレに、

「……エリザ、どうしたの?」

 と、不思議そうに聞く。


 ジェシカの声につられて、全員が、一斉(いっせい)に、エリザオーレを見る。


 エリザオーレは、

「……私、ちょっと、占い魔女に、聞きたいことが、ある……!!」

 と、言って、『占いの館』の扉を開けて、

「ごめん、ちょっと、待ってて」

 と、言って、中へと入った!!


 ーそういえば、俺って、ジェシカだけじゃなく、エリザオーレとも、相性が良くて、お(たが)い、幸せになれるんだよなー。内緒にしておいて、いいのかな?


 タツヤは、腕を組んで、考え込む。


 ジェシカは、不思議そうに、

「一体どうしたのかな?」

 と、(つぶや)く。


 カロリーネが、全員に、 

「エリザが戻ってきたら、占いの結果発表ね」

 と、告げる。



 『占いの館』に入った、エリザオーレは、『黒い(つぼ)』の所へと急ぐ。


 そして、そのまま、『黒い壺』の、光り輝く水の中に、手を突っ込んで、

「フォーチュン・テリング(占い)」

 と、言った。 


 部屋全体が、真っ白な空間へと変わって、占い魔女が現れる!!


 占い魔女は、驚いた様子で、

「あれ? エリザオーレ? どうかしたの?」

 と、聞く。


 エリザオーレは、強い口調で、

「ジェシカが、引いたカードを見せて!!」

 と、お願いする。


 占い魔女は、両手を叩く!!


 子供のレッドドラゴンが現れて、白いテーブル、白い椅子、お菓子を、セットする。


 占い魔女は、疲れた様子で、

「とにかく、座りなさい」

 と、言った。


 エリザオーレは、椅子に座る。


 占い魔女は、呪文を唱えて、手から、タロットカードを出す!!


 そして、そのまま、ジェシカが、引いて並べた、三枚のカードを、テーブルに置いて、エリザオーレに、めくって、見せた!!


 占い魔女は、

「これが、どうかしたの?」

 と、聞く。


 エリザオーレは、黙ったまま、カードをじっと見る。


 しばらく、沈黙の間が続く。


 エリザオーレは、顔を上げて、

「……占い魔女さん、どうして、嘘をついたんですか?」

 と、口を開く。


 占い魔女は、驚いた様子で、

「エリザオーレ、あなた、まさか……」

 と、言った。


 エリザオーレは、

「はい。そうですよぉー」

 と、言って、続けて、

「私、親が占い師で、占い師になるために、小さい頃から、親がする占いを見たり、勉強をしたり、してきました。だから、占い魔女さんがめくった、カードの意味と、そこから(みちび)き出す答えは、告げられなくても、見れば、わかるんです」

 と、言った。


 占い魔女は、

「こりゃ、たまげたねぇー」

 と、驚く!!


 エリザオーレは、はっきりと、

「それで、このカードで、相性最高で、両方、幸せになれるなんて、ありえないです!!」

 と、言って、続けて、

「占い魔女さん、嘘をついて、大袈裟(おおげさ)に、伝えたでしょ?」

 と、確認する。


 占い魔女は、観念(かんねん)したように、

「……まいったねぇー。そうだよ。よく、わかったねぇー」

 と、言って、感心する。


 エリザオーレは、

「どうして、そんなこと、したんですか?」

 と、聞く。


 占い魔女は、思い出すように、

「……以前、ジェシカが、ここへやって来てね、心から、想ってくれる人が現れて、その人と、恋に落ちるんじゃないかって、夢見る少女みたいに、予感していたのよ。それで、私は、それに思い当たる人を、今度、連れてきなさいって、言ったの」

 と、言って、続けて、

「ジェシカには、幸せになってもらいたいのよ。家族も、親友のクリスティーナも失って、ずっと、一人ぼっちだったから」

 と、言って、続けて、

「それで、ジェシカが、タツヤを連れてきたの。せっかく、ジェシカが、連れてきたんだから、いいことだけを、告げてあげたいと思ってね。その気持ちが強すぎて、つい、大袈裟に、伝えてしまった。反省してるわ」

 と、言った。


 エリザオーレは、

「もう、ジェシカは、一人ぼっちでは、ないですよ」

 と、言って、続けて、

「生き別れた、お兄ちゃんが、現れましたから」

 と、言った。


 占い魔女は、驚いて、

「本当かい? そりゃ、良かった……!!」

 と、嬉しそうに言った。


 エリザオーレは、

「タツヤとジェシカの相性は、最高ではなく、その逆で、最悪ですね? おそらく、全員の中で、一番悪い……!! でも、そこから、両方、幸せになれる……!! ただし、それには、劇的で、強烈(きょうれつ)刺激(しげき)が必要!! 私は、そう読みましたけど、どうですかぁー?」

 と、確認する。


 占い魔女は、

「そうよ。あなたの読みと、一緒よ。本当に、わかるんだねぇー」

 と、感心した様子で、続けて、

「ジェシカに、本当の結果を、伝えるのかい?」

 と、聞く。


 エリザオーレは、

「そのつもりですけどぉー」

 と、答える。


 占い魔女は、

「本当の結果は、秘密にしておいて、くれないかねぇー? あの子、嬉しそうにしていたのよ。私の予感は、間違ってなかったって、感慨深(かんがいぶか)そうに」

 と、言って、続けて、

「だから、お願い……!! そのままに、しておいてあげて……!!」

 と、言って、頭を下げる。

 

 エリザオーレは、考える素振(そぶ)りを見せながら、

「まぁ、いいですけどぉー」

 と、承諾(しょうだく)して、続けて、

「って、ことは、みんなにも秘密に? タツヤにも?」

 と、確認する。


 占い魔女は、頭を上げて、

「タツヤだけになら、伝えてもいいわ。一応、占ったわけだし、片方は、知っておかないとね」

 と、答えて、続けて、

「でも、これは、タツヤが、ジェシカに、秘密にできると、約束できればの話ね」

 と、念を押す。


 エリザオーレは、

「じゃあ、みんなには、秘密で、タツヤだけに、本当の結果を、伝えますよぉー」

 と、言って、席を立ち、

「ちやんと、反省してくださいね。(じょう)に左右されるなんて、占い師として、失格ですから」

 と、言って、部屋から出ようとする。


 占い魔女は、

「そうね。占い師として、失格かもね」

 と、同意して、続けて、

「しばらく、店を閉めて、反省して、出直すわ」

 と、言った。


 占い魔女は、そのまま、両手を叩く!!


 子供のレッドドラゴンが現れて、エリザオーレを、出口へと案内する。


 エリザオーレは、レッドドラゴンに、

「またね、ドラゴンちゃん」

 と、言って、笑みを浮かべて、真っ白な空間の部屋から、出る。


 レッドドラゴンは、「ガォーガォー」と、鳴き声を出しながら、バイバイと手を振る。


 エリザオーレは、そのまま、出入り口の扉を開けて、外へと出た。



 全員が、一斉に、エリザオーレを見る。


 ジェシカが、全員の気持ちを、代弁(だいべん)したかのように、

「エリザ、一体どうしたの?」

 と、聞く。


 エリザオーレは、

「ジェシカの結果が、良すぎるから、嘘だと思って、確認のために、聞いてきたの」

 と、答える。


 ジェシカは、

「で、どうだったの?」

 と、聞く。


 エリザオーレは、

「……本当だった」

 と、答えて、続けて、

「ジェシカ、予感してる相手が現れて、良かったわね。うらやましい」

 と、言った。


 ジェシカは、照れた様子で、

「嬉しいけど、なんか、恥ずかしいわね」

 と、言って、続けて、

「その嬉しさは、その後の占いで、吹っ飛んでしまったけど」

 と、言って、苦笑する。


 エリザオーレは、不思議そうに、

「その後の占い?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「……その話は、後日するわ」

 と、答える。


 エリザオーレは、

「気になって、眠れな~い」

 と、言って、タツヤの元に行き、冷静な様子で、

「タツヤ、占い魔女からの伝言。耳、貸して」

 と、言った。


 タツヤは、

「は? 伝言?」

 と、言って、不思議そうにしながら、右耳を向ける。


 エリザオーレは、タツヤの耳元に口を寄せて、本当の占い結果と、みんなには、秘密にしておくようにと、伝えた!!


 タツヤは、目を見開いて、驚くが、声には出さずに、「マジかよ」という様子で、確認するように、エリザオーレを見る!!


 エリザオーレは、黙ったまま、頷く!!


 ジェシカが、タツヤとエリザオーレを見ながら、

「コソコソと、何を話してるの?」

 と、聞く。


 クリスも、タツヤとエリザオーレを見ながら、

「気になるわ。教えて」

 と、ジェシカと同じ質問をする。


 ホワイトレミ―も、タツヤとエリザオーレを見ながら、

「コソコソと、話すことなの?」

 と、聞く。


 マリアレーヌは、特に気にならない様子で、自分の髪の毛を、いじっている。


 エリザオーレは、

「……別に、大したことじゃ、ないわ。これからの、健康管理とか、そういう、つまんないことよ」

 と、答えて、続けて、

「恋愛とは関係ないし、聞いていても、つまらないでしょ? 場が(しら)けそうだし、こういうのは、直接、耳元で伝えて、さっさと、終わりにした方が、いいかなって」

 と、言った。


 ーよくも、まぁ、こんなに、嘘が、ペラペラと(しゃべ)れるよな。


 タツヤは、エリザオーレを見ながら、感心する。



 カロリーネが、確認するように、全員を見ながら、

「これで、全員、終わったわね?」

 と、言って、続けて、

「それじゃ、結果発表いきまーす!! みんな、いいわね?」

 と、聞く。


 全員、カロリーネに、視線を向ける。


 カロリーネは、コンテストの司会者のように、

「『フランシス王国騎士団』の中で、タツヤは、誰と一番、相性がいいのか? そして、誰と結ばれたら、幸せになれるのか? 私なのか? クリスなのか? ジェシカなのか? ホワイトレミ―なのか? マリアレーヌなのか? それとも、エリザオーレなのか? その結果は、タロットカードが(みちび)くのです!!」

 と、前置きをしながら、

「では、発表します……!!」

 と、もったいぶったように言って、少し間を置きながら、

「相性は、ジェシカとホワイトレミ―が、最高で、どちらも、差がつかず、一位!! そして、誰と結ばれたら、幸せになれるのかは、ジェシカとマリアレーヌ!! ジェシカの場合は、両方幸せ、マリアレーヌの場合は、片方のタツヤのみが幸せであり、よって、ジェシカが一位とします!! 総合結果は、ジェシカが一位!! おめでとうございまーす!!」

 と、告げて、ジェシカに向けて、拍手(はくしゅ)をする。


 カロリーネに、つられるように、全員、同じように、ジェシカに向けて、拍手をする。


 ジェシカは、照れながら、

「やったー!!」

 と、(よろこ)ぶ。


 ー表向きは、そうなるのか。本当の結果をまとめると、俺と、相性が一番いいのは、ホワイトレミ―と、エリザオーレで、どちらも、差がつかず、一位……!! 誰と結ばれたら、幸せになれるのかは、ジェシカと、マリアレーヌと、エリザオーレで、両方、幸せになれるのは、ジェシカと、エリザオーレの二人で、どちらも、差がつかず、一位……!! 総合結果は、エリザオーレが、一位だな……!!


 タツヤは、喜んでいいのか、どうか、わからず、複雑な気持ちのまま、ジェシカに向けて、拍手をする。


 カロリーネは、拍手を()めて、

「これで、占いは、終わり!!」

 と、告げて、続けて、

「もう、夜だし、さっさと帰りましょ」

 と、言った。


 

 クリスが、カロリーネに同意するように、

「そうね。占いに、時間を、かけすぎたわね」

 と、言って、続けて、

「さっさと、(りょう)に戻って、ご飯の支度をしないと」

 と、言って、歩き始める。


 それに、つられるようにして、全員、歩き始める。


 タツヤは、歩きながら、『レッドブラッド教団』の殺人テストの時に、家の前で、出会った時のことを思い出して、カロリーネとクリスに、

「二人とも、今は、家じゃなく、寮に住んでるの?」

 と、聞く。


 カロリーネが、歩きながら、

「そうよ。城のすぐ近くにできた、『フランシス王国騎士団』の寮よ。ラフレシア女王の(はか)らいで、最近、住むことになったのよ」

 と、答える。


 クリスが、歩きながら、

「おかげで、時間をかけずに、すぐに、城へと出勤(しゅっきん)できるわ。まぁ、それが狙いでしょうけど」

 と、言って、苦笑する。


 タツヤは、歩きながら、全員に、

「ってことは、カロリーネや、クリスの他に、ジェシカ、ホワイトレミ―、マリアレーヌ、エリザオーレも、今は、そこに、住んでるのか?」

 と、聞く。


 ジェシカが、歩きながら、

「そうよ」

 と、答える。


 マリアレーヌが、歩きながら、がっかりした様子で、

「せっかく、特別待遇で、城の部屋を、借りれてたのに」

 と、言って、続けて、

「寮生活なんて、やっぱり、嫌だわ」

 と、言う。


 ホワイトレミ―が、歩きながら、

「私は、寮生活、全然、いいんだけど」

 と、言って、続けて、マリアレーヌに、

「慣れの問題よ。マリアは、ずっと、城暮らしだから、最初は、きついかもだけど、慣れれば、どうってことないわ」

 と、言う。


 エリザオーレが、歩きながら、マリアレーヌに、

「寮なら、会いたい時に、すぐに、会えるし、困った時に、助け合えるから、マリアみたいに、城で、一人暮らしするよりも、いいと思うんだけどなぁー」

 と、言う。


 マリアレーヌが、歩きながら、

「そうかな? そう考えると、悪くないかもだけど」

 と、言って、続けて、

「でも、やっぱり、私は、城で、一人暮らしがいい」

 と、言う。


 街の人達の、ヒソヒソと話す声が、聞こえてくる。


「おい、見ろよ。『フランシス王国騎士団』のメンバー、全員、(そろ)っているぞ」

「本当だ。(めずら)しいな」

滅多(めった)に、お目にかかれない光景だ」

「生で見ると、すげぇ美人だな」

「あの男、誰だ? 俺と代われ」

「話しかけてもいいかな?」

「やめといたら? プライベートみたいだし」

「香水、何、使ってるんだろ?」

「マリアレーヌさん、キレイ」

「みんな、キレイよ」

「キレイだけじゃなく、カッコイイ。(あこが)れるわ」

「あの男は、ダサイわね」


 と、こんなふうに、止まることなく、続く。


 ーまるで、アイドルだな……!!


 街の人達の、注目の視線を、一斉に、浴びているせいか、タツヤは、居心地(いごこち)が悪くなる。


 タツヤは、歩きながら、全員に

「『フランシス王国騎士団』って、国民のアイドルなのか?」

 と、聞く。


 ジェシカが、歩きながら、

「アイドルって、なに?」

 と、逆に聞く。

 

 タツヤは、歩きながら、

「えっと……人気者ってことかな」

 と、答える。


 エリザオーレが、歩きながら、笑みを浮かべて、

「そうです。人気者ですよぉー」

 と、言って、続けて、

「かっこいい美女戦士って、いわれていて、声かけられるんです」

 と、言う。


 ホワイトレミ―が、歩きながら、周囲を見回(みまわ)して、

「さっきから、ヒソヒソ話が、すごいわね」

 と、言う。

 

 マリアレーヌが、歩きながら、

「全員、揃っているからでしょ」

 と、答える。


 カロリーネが、歩きながら、

「そういえば、全員、揃って歩くのは、久し振りだよね?」

 と、言う。


 クリスが、歩きながら、予想するように、

「これからは、全員、寮生活だから、こうやって、全員で、歩くこと、多くなるかも」

 と、言う。


 そんな話をしているうちに、『フランシス王国騎士団』の寮に着く!!



 寮の看板と、出入り口に、ランプが(とも)っており、辺り一面にも、街灯(がいとう)が灯っている。


 だが、中世の夜の闇が、暗すぎるせいか、ぼんやりとしか、周囲を確認できず、不気味なほど、静かであった。

 

 ジェシカが、思い出したように、

「そういえば、部屋が一つ、(あま)ってたわね」

 と、言って、続けて、

「せっかくだから、タツヤ、そこに住んでみたら? 今、住むとこ、ないんでしょ?」

 と、提案(ていあん)する。


 全員、一斉に、ジェシカを見る。


 タツヤは、驚きながら、

「えっ!? まぁ、そうだけど……」

 と、言って、続けて、

「この寮に、住んでるのって、ジェシカ、カロリーネ、クリス、ホワイトレミ―、マリアレーヌ、エリザオーレの六人だよな? もう、女子寮みたいなものじゃん!! いいのかよ?」

 と、聞く。


 ーでも、もし、そこに住めたら、この先、よくある、ラブコメみたいな、ハーレムみたいな、ギャルゲーみたいな、恋愛ドラマみたいな、そんな展開が、あるかも……!!


 タツヤは、自分が主役で、『フランシス王国騎士団』の、ジェシカ、カロリーネ、クリス、ホワイトレミ―、マリアレーヌ、エリザオーレ達と、ラブコメ展開、ハーレム展開、ギャルゲー展開、恋愛ドラマ展開などの、妄想(もうそう)を、次から次へとしてしまい、ニヤニヤが止まらないのであった……!!


 タツヤは、ニヤけながら、

「よし!! 決めた!! 俺も、ここに住む!!」

 と、言った。


 ジェシカは、冷静な様子で、

「……とりあえず、多数決してみましょ」

 と、言って、続けて、タツヤ以外の全員に、

「タツヤが、この寮に住むことに、賛成な人?」

 と、聞く。


 誰も手を挙げない!!


 ジェシカは、再び、冷静な様子で、タツヤ以外の全員に、

「タツヤが、この寮に住むことに、反対な人?」

 と、聞く。


 みんな、手を挙げる!!


 タツヤは、悲しそうに、

「なるほどな。これが現実か。夢も希望もないな……」

 と、言って、夜空を眺める。


 満月の月明りが、美しく、思わず、見惚(みほ)れてしまう。


 ジェシカが、さすがに、かわいそうだと同情したのか、タツヤ以外の全員に、

「……じゃあ、条件つきなら、どう?」

 と、聞く。


 ホワイトレミ―が、ジェシカに、

「例えば?」

 と、逆に聞く。


 ジェシカは、

「……最近、噂の、下着泥棒(したぎどろぼう)を、捕まえるとか」

 と、提案して、続けて、マリアレーヌに、

「そういえば、マリア、最近、夜中に、パンツ、盗まれたよね? どう? 寮に住むことを条件に、タツヤに、捕まえてもらわない?」

 と、聞く。


 マリアレーヌは、考える素振りを見せながら、

「……まぁ、『フランシス王国騎士団』の勤務で、忙しくて、捕まえられないし、本当に、捕まえてくれれば」

 と、前置きをして、

「ここに、住むことを、前向きに考えてあげる」

 と、言った。


 タツヤは、ジェシカに、

「で、その噂の、下着泥棒って、何処にいるんだよ?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「わからない」

 と、言って、続けて、タツヤ以外の全員に、

「みんな、わかる? 何処か、心当たりない?」

 と、聞く。


 エリザオーレが、

「街でのパトロールの時に、噂で聞いたんだけど」

 と、言って、続けて、

「深夜に、墓地(ぼち)で、頭に、女性用パンツを(かぶ)って、両手に、ブラジャーを持って、その匂いを()ぎながら、徘徊(はいかい)している男を、見たって」

 と、言って、続けて、

「このブラジャーの匂いは、モンブラン!! とか、よくわかんないこと、言ってたみたいよぉー」

 と、言った。


 ホワイトレミ―が、タツヤに、

「ちょうど、いいわね。今から、墓地に行けば、会えるかもよ。アホのタツヤと下着泥棒、同じアホ同士、引き寄せられて」

 と、言って、「アハハッ」と、笑う。


 タツヤは、ホワイトレミ―に、

「俺と下着泥棒を、アホ同士でまとめるな」

 と、ツッコミを入れて、続けて、

「まぁ、確かに、今から、墓地に行けば、その下着泥棒に会えるかもな」

 と、言って、続けて、ジェシカに、

「墓地は、何処にある?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「えっと……口で説明しても、わからなそうね」

 と、言って、続けて、タツヤ以外の全員に、

「紙、持ってる?」

 と、聞く。


 クリスが、「あるわよ」と言って、(ふところ)から、紙を取り出して、ジェシカに渡す。


 ジェシカは、クリスに礼を言って、紙に、墓地までの道順を、書く。


 ジェシカは、

「これを見ながら、進めば、墓地に、辿(たど)()けると思う」

 と、言って、タツヤに、紙を渡す。

 

 タツヤは、ジェシカに、

「ありがとう」

 と、礼を言って、続けて、

「じゃあ、行ってみるとする」

 と、言って、歩き始める。


 ー『異世界』に来て、ひとりきりの最初の冒険が、やっと、今、始まる!! ワクワクするぜ!!


 タツヤは、楽しそうに、口笛を吹く。


 後ろから、『フランシス王国騎士団』の、女達六人の、視線を感じる。


 ジェシカの「気をつけてね」という言葉が、耳に入る。


 夜が()けていく……!!


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