追憶の第37話 【ジェシカ編クライマックス】
夜、再び、マルコの家。
タツヤは、目が覚める。
ー仮眠を取るつもりが、ぐっすり眠ってしまった。
タツヤは起き上がる。
ーどうする? また、今日も朝から、じっと待つのか? もう、飽きたな。外へ出て、ジェシカを探そう。
タツヤは、マルコの家から、外へと出た。
外は、夜の風景であった。
「あれっ? 夜?」
タツヤは驚く。
ー次の日の朝まで、眠ってしまったんじゃなくて、次の日の夜まで、一日中眠ってしまった? 逃亡やテストで、相当、疲れていたからな・・・。
タツヤは、お腹が空いて、再び、マルコの家の中へと戻り、キッチンへ。
料理などしたことないが、とりあえず、適当に料理したものを、口に入れていく。
その時!!
タツヤの胸の、赤い血の色をした『バツ印』が、赤く光り輝き出す!!
タツヤは、その赤く光り輝く『バツ印』を見た!!
『バツ印』の下に、『これから、王の暗殺決行。参加したい奴は、王宮広場に集結せよ』という文字が表示される!!
ー今から!? マジかよ!? っていうか、もう、暗殺するのかよ!?
タツヤは驚く。
続けて、『バツ印』の下に、『これから、王女レイプ&王宮の女達レイプを実行。参加したい奴は、廃墟の教会に集結せよ』という文字が表示される!!
ーおいおい…『王女レイプ&王宮の女達レイプ』って。発想がイカれてるぜ!! この二つのどちらかに、参加しろってか?
タツヤは、迷うことなく、『王の暗殺決行』を選んだ!!
夜、『フランシス城』の廊下。
ジェシカは、警備として、城の廊下を見て回る。
ーいよいよね。一応、襲撃に備えて、心の準備だけは、しておこう。
ジェシカは、深呼吸をして、自分を落ち着かせる。
ーラフレシア王女は、まだ、私のこと、待ってるかな? 途中で、抜け出してしまったし、一応、戻っておいた方が、よさそうね。
ジェシカは、城の廊下を警備しながら、また、王女のラフレシアの部屋を、訪れる。
部屋の扉の前で、警護している、ゴンザレスが、
「よく来るな」
と、言って、前と同じように、部屋へと入って、扉を閉める。
ジェシカは、苦笑して、待つ。
扉が開いて、ラフレシアが出て来る。
ラフレシアは、
「さぁ、入って」
と、促す。
ジェシカは、部屋へと入る。
ゴンザレスは、ラフレシアに言われる前に、部屋の外へと出る。
ジェシカは、前と同じように、ラフレシアと共に、椅子に座って、テーブルで向き合う。
ジェシカは、
「では、再び、制御道具の場所が、バレてしまった場合の、対処方法を、考えましょう」
と、言った。
ラフレシアは、
「それは、もう、いいわ。あの後、よく考えてみたら、『魔法制御道具』の場所が、バレているとは思えないし、バレていたとしても、所有者以外、破壊することはできないだろうから、大丈夫よ」
と、言って、続けて、
「それに、心配事は、それだけじゃないのよ」
と、言って、溜め息をつく。
ジェシカは、
「どんなことですか?」
と、聞く。
ラフレシアは、不安そうに、
「今夜、レイプ襲撃をしようと企んでる、『レッドブラッド教団』のアジトへ、先回りして、城の兵士達を、向かわせたけど、そのせいで、今、この城は、警備が手薄なの。要するに、スカスカになってしまったの」
と、言って、続けて、
「そこを狙って、『レッドブラッド教団』の、他のグループが、襲撃しようと、やって来るかもしれない。むしろ、最初から、そういうふうに、計画を立てていたのかも」
と、言った。
ー当たってるわ……!!
ジェシカは、慌てず、落ち着いて、話すことを、心掛けながら、
「もし、そうだとしたら、狙いはなんでしょうか?」
と、聞く。
ラフレシアは、
「おそらく、狙いは、父の命か、私だわ」
と、答える。
ー鋭いわね……!! 正解よ……!!
ジェシカは、感心しながら、
「それなら、今から、私、王様か、ラフレシア王女、どちらかの警護に、切り替えますか?」
と、聞く。
ラフレシアは、
「お願いするわ。できれば、父の方で」
と、答えて、続けて、
「でも、別に、ジェシカさんじゃなくても、『フランシス王国騎士団』の空いてる人で、いいわよ。ジェシカさん、まだ、城の警備の途中でしょ? 城の中の警備だって、大事なことだと思うわ」
と、言った。
ジェシカは、考える素振りをしながら。
「確かに、城の中の警備も大事ですが、それ以上に、王様やラフレシア王女の方が、大事です。戻って、『フランシス王国騎士団』の誰かを、王様の警護に、向かわせます」
と、言って、椅子から立ち上がり、
「おそらく、私だと思ってください」
と、言って、部屋の扉の前に行き、
「では、失礼します」
と、言って、扉を開けて、部屋を出た。
部屋の扉の近くで、ゴンザレスが、暇そうに、立っていて、目が合う。
ゴンザレスが、興味深そうに、
「どんな話をしてたんだ?」
と、聞く。
ジェシカは、
「秘密よ」
と、言って、去って行く。
ー今、城にいる、『フランシス王国騎士団』は、私とレミ―だけ。レミ―に、ラフレシア王女の襲撃の話を伝えて、どちらが、王様の警護につくか、話をしたら、何か、ボロを出してしまうかも。レミ―には、伝えずに、私がやった方が、無難だわ。
ジェシカは、『玉座の間』へと向かう。
ーそれに、お兄ちゃんが、王様を暗殺するところを、妹として、見届けないと、いけない気がする……!!
ジェシカは、そんなことを考えながら、階段を上って行く。
『玉座の間』がある階へと着き、進んで行く。
『玉座の間』の扉の前で、警護している兵士二人に、「ラフレシアに、お願いされた」と、告げる。
警護の兵士二人は、「どうぞ、ジェシカさん」と言って、扉を開ける。
ジェシカは、国民の知名度が高い、『フランシス王国騎士団』のメンバーとして、城の兵士達からは、憧れの存在であり、慕われていた。
ジェシカは、中へと入る。
『玉座』に、中世の王の格好をした、フランシス王と思われる、中年ぐらいの男が座っている。
頭にかぶっている、金色の王冠が目立つ。
服装は、中世ヨーロッパの上流階級が着そうな、高級な白のチュニック(腰から膝ぐらいまでの長さの上着)を着ており、その上を、赤いマントが覆っている。
その王を、屈強な三人の男騎士が、警護している。
三人とも、鋼の兜をかぶり、鋼の鎧を装着している。
その三人の内の一人が、カルロスであり、剣を背中に装着している。
あとの二人は、剣を腰に装着している。
カルロスは、
「ジェシカか。どうした?」
と、聞く。
ジェシカは、フランシス王に、
「ラフレシア王女から、頼まれました。王様を、お守りするようにと」
と、伝えて、続けて、
「ラフレシア王女は、これから、『レッドブラッド教団』が、襲撃して、王を暗殺するのではないかと、考えているようです」
と、伝える。
カルロスが、
「心配ない。こちらは、大丈夫だ。王には、指一本、触れさせん」
と、反応する。
ジェシカは、フランシス王に、
「どうでしょうか?」
と、聞いて、返事を待つ。
フランシス王は、
「娘が心配してくれるのは、嬉しいが、カルロスの言う通り、こちらは、大丈夫だ」
と、言って、続けて、
「だが、せっかくだ。扉の前での、警護をお願いする」
と、言った。
ジェシカは、
「わかりました」
と、言って、『玉座の間』の扉を開けて、扉の外へと出て行く。
ジェシカは、扉の前で、警護している兵士二人に、
「ここは、私がやるから、他をお願いしてもいい?」
と、指示する。
警護の兵士二人は、「わかりました」と言って、去って行く。
ー後は、お兄ちゃんに、制御道具のことを伝えて、王様が暗殺されるのを、見届けるだけ。
ジェシカは、溜め息をつく。
ーこんなこと考えてる、私って、最低ね。
ジェシカは、再び、自己嫌悪に陥った。
深夜。
『フランシス王宮広場』は、静寂な闇に包まれていた。
中央の大きな噴水が、街灯に照らされて、目立っている。
その噴水の前方に目をやると、『フランシス城』への入り口の扉があり、屈強な門番の兵士が、三人ほど立っている。
ーここに集合かよっ…!? 目立つだろ……。
タツヤは、周囲を確認する。
『レッドブラッド教団』の殺人テストで見かけた連中が、チラホラと、武器を握りながら立っていた。
中世の二十代の男で、斧を握っている、大学生。
中世の二十代の女で、槍を握っている、事務の受付嬢。
中世の三十代の男で、剣を握っている、冒険者ギルドにいそうな戦士男。
中世の五十代の男で、大鎌を握っている、農作業員。
緊張した様子で、殺人テスト合格者達が、武器を握りながら、集まって来る。
武器屋の格好をして、剣を握っている、四十代男がやって来て、
「おっ、新人か?」
と、タツヤに話し掛ける。
タツヤは、
「はい」
と、頷く。
武器屋の男は、
「王を暗殺するから、新人は、みんな、緊張してるな。新人には、荷が重すぎるか…」
と、言って、笑った。
タツヤは、
「緊張しないんですか? これから、王を暗殺するんですよ?」
と、聞いた。
武器屋の男は、
「おう。緊張というより、ワクワクしてるな。これから、革命を起こすんだからな」
と、楽しそうに言った。
ー革命か。確かに、響きはカッコいいけど…。
タツヤは苦笑する。
続々と『レッドブラッド教団』のメンバーが、武器を握って、集まって来る!!
全体の人数は、五十人ほどまでになっていた!!
城の屈強な門番の兵士三人は、警戒しながら、様子を見ている。
デルタが、やって来る!!
デルタは、
「ざっと見て、五十人か。他は、王女レイプの方へ行ったようだな。あっちは、二百人ぐらいと聞いた。どちらにしろ、今夜は楽しくなりそうだ」
と、言って、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべる。
タツヤは、デルタの元へと行き、
「ジェシカが戻って来なかった……。殺してないだろうな?」
と、確認する。
デルタは、
「ああ。殺してない」
と、答えた。
ークソッ!! どうなってるんだよ。
タツヤは、溜め息をつく。
デルタは、
「「神の導きによって集まった、偉大なメンバー達よ!! 今から、移動魔法を唱えるから、私の所へ来い!!」
と、叫ぶ!!
『レッドブラッド教団』のメンバー全員が、デルタの所へと集まる!!
デルタは、最上級移動魔法『スペシャルムーブ』を唱えた!!
タツヤとデルタと『レッドブラッド教団』のメンバー全員の姿が、消えた……!!
そのまま、何処かの洞窟へと移動した、タツヤとデルタと『レッドブラッド教団』のメンバー全員。
デルタは、
「この洞窟から、一気に進む。この洞窟は、罪人を閉じ込めてる、城の地下の牢屋へと繋がってる。そこから、城の内部へと潜入する」
と、言った。
メンバーの一人が手を上げて、
「さっきの移動魔法で、城の内部へと移動できないんですか?」
と、聞く。
デルタは、
「城の内部には、最上級魔法を受け付けない、特殊な制御道具が使われていて、無理だ」
と、答える。
メンバーの一人が手を上げて、
「城の入り口から、正面突破っていうのは、やっぱり、無理なんですか?」
と、聞く。
デルタは、
「できなくもないが、ほとんどのメンバーは、生きて戻れないだろう。なるべく、メンバーの数を減らすことなく、王を暗殺したい。それには、めんどうだが、回り道して行くしかない」
と、答える。
ーメンバーをゴミのように扱う奴だと、思っていたけど、違うんだな。意外とメンバー思いの奴か?
タツヤは、少しだけデルタを感心した。
洞窟には、モンスターが何度も現れて、襲いかかって来たが、デルタやメンバーの実力者達が、あっさりと倒して、奥へと進んで行く!!
洞窟の奥には、頑丈な扉があったが、デルタが、扉を開ける呪文を唱えて、その扉を、簡単に開ける。
その扉の先には、デルタが言っていた通り、城の地下で、牢屋みたいな部屋が、複数あり、罪人達が、閉じ込められていた!!
罪人達は、デルタ達に気がついて、「ここから、出してくれぇ―」と騒ぐ!!
デルタは、うるさい罪人達を、最上級即死魔法『デス』を唱えて、殺して行き、皆殺しにした後、
「さぁ、城の内部へと行くぞ」
と、淡々と言った。
デルタは、再び、扉を開ける呪文を唱えて、部屋の扉を、簡単に開ける。
タツヤとデルタと『レッドブラッド教団』のメンバー全員は、城の内部へと潜入する!!
そのまま、城の内部の廊下を進んで行く。
深夜だからか、僅かなロウソクの照明だけで、暗く、静まり返っており、人の気配を感じない。
階段があり、さらに上の内部へと続いている。
デルタは、立ち止まって、タツヤに、
「ここからは、別行動だ。おまえに、やってもらいたいことがある」
と、言った。
タツヤは、
「何だ?」
と、聞く。
デルタは、
「ここから先は、最上級魔法を受け付けない、特殊な制御道具が使われている。それを見つけて、ぶっ壊してこい」
と、答えた。
タツヤは、困惑した様子で、
「はぁ? そんなの、わかるかよ。どうやって、探せばいいんだよ? 無理だ」
と、言った。
デルタは、
「私の勘だが、その特殊な制御道具は、王女が持っていて、使っているのではないかと考えている。王女の部屋は、この階段を上って、右の突き当たりの部屋だ」
と、言った。
タツヤは、
「何で、俺に頼むんだ? 自分でやればいいだろ?」
と、聞く。
デルタは、
「私は、これから、『フランシス王国騎士団』の相手をしなければ、ならないからな」
と、言って、後ろを振り返る。
ホワイトレミ―が立っていた!!
ホワイトレミ―は、
「へぇー。逃げずに、この私と戦う気なんだ。手加減しないけど、いい?」
と、上から目線的な感じで、言った。
デルタは、タツヤに、
「さっさと行け。王女の部屋に!! 今は、警備交代の打ち合わせの時間で、部屋の前に、警備がいないはずだ」
と、言った。
タツヤは溜め息をついて、
「…わかったよ」
と、言って、階段を上る。
ホワイトレミ―は、
「詳しいのね」
と、感心する。
デルタは、
「おまえは、『フランシス王国騎士団』のホワイトレミーか?」
と、確認する。
ホワイトレミ―は、
「そうよ。名が知られてるとは、光栄だわ」
と、嬉しそうに答えた。
デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、
「カロリーネとクリスを、逃がしてしまったからな。おまえは、確実に殺す!!」
と、最上級即死魔法『デス』を、唱えようとする!!
ホワイトレミ―は、ムキになった様子で、
「私を殺す? やれるものなら、やってみなさいよ!! 死ぬのは、私ではなくて、あなたの方よっ!! 絶対に、私が勝つわっ!!」
と、叫んで、戦闘態勢をとった!!
※※※※※※※※※※
【第17話 いろいろと驚く展開だぜ!! ラフレシアの肖像画とミネイロ・リッチ!? 妖精の村!? 専属警備員!? 秘密の通路!? ジェシカの孤独と、そして再会!? ~ジェシカ編~】
タツヤは、ラフレシア王女の部屋へと行き、ラフレシア王女と話をして、ラフレシア王女と共に、ジェシカがいる、『玉座の間』へと、向かうことになった。
ラフレシアは、部屋の壁に飾ってある、『ラフレシアの肖像画』の、下の床へと目をやる。
ラフレシアは、屈んで、その床についてる押しボタンを、押す。
ガチャッと音が鳴り、床が開き、下へと続く階段が現れる!!
タツヤは、
「おぉ!! こんな仕掛けがあるなんて……!!」
と、感心する。
ラフレシアは、
「さぁ、行きましょう」
と、言って、階段を下りる。
タツヤは、ラフレシアの後をついていく。
階段を下りると、ラフレシアが言っていた通り、隠し通路があり、暗く、一直線に、奥へと続いていた。
壁には、松明の火が灯っている。
ーこれが、隠し通路か……!!
ラフレシアの後をついていきながら、タツヤは興奮する。
ラフレシアは、歩きながら、
「奥へ進むと、階段があるの。その階段を上ると、位置的には、上の階へと出るわ」
と、説明を始める。
ラフレシアは、続けて、
「でも、ジェシカさんは、もうひとつ上の階の、『玉座の間』にいるから、階段を上らずに、さらに奥へと進むわ」
と、説明する。
タツヤは、
「その『玉座の間』に、ジェシカがいるんですね?」
と、確認する。
ラフレシアは、
「そうよ。側近と一緒に、父を警護してるわ」
と、答える。
ラフレシアとタツヤは、奥へと進む。
ラフレシアが言っていた通り、階段があったが、上らずに、さらに奥へと進む。
一方その頃。
『玉座の間』の扉の前で、警護しているジェシカは、居ても立っても居られない様子であった。
ー今、どうなってるんだろう? ちょっと、様子を見てこようかな?
ジェシカは、『玉座の間』の扉の前から離れて、廊下を進む。
そして、そのまま、階段を下りて、下の階へ。
向こう側から、デルタが、やって来る!!
ジェシカは、
「お兄ちゃん」
と、声をかける。
デルタは、腹に、火傷と流血をしており、左手で、おさえていた。
ジェシカは、心配そうに、
「大丈夫?」
と、聞く。
デルタは、
「大丈夫だ」
と、言って、左手で、回復液体薬草を、塗り続けている。
デルタは、薬草を塗り続けながら、
「制御道具の場所、わかったか?」
と、聞く。
ジェシカは、
「わかったわ」
と、答える。
ーええと……、『玉座の間』の下の階だから、ちょうど、この階ね。
ジェシカは、
「ついてきて」
と、言って、廊下を進む。
デルタは、薬草を塗り続けながら、ついていく。
ジェシカは、そのまま、壁に取り付けてある、鏡の前まで行って、
「ここよ」
と、指を差す。
デルタは、薬草を塗り続けながら、
「この鏡の中か?」
と、確認する。
ジェシカは、
「そうよ」
と、答えて、続けて、
「この中に、『魔法制御道具』として、『水晶玉』が仕掛けてあるみたい。でも、所有者以外の人が、触ったら、大ダメージを負うんだって」
と、言った。
デルタは、薬草を塗り続けながら、
「そうか。めんどうだな」
と、言って、右手を、鏡の前に出し、呪文を唱える。
鏡が、音を立てずに、全部、割れて、『水晶玉』が現れる!!
ジェシカは、
「どうするの?」
と、聞く。
デルタは、薬草を塗り続けながら、
「トランス魔法で、ラフレシア王女の姿に化ける。それで、破壊できるだろう」
と、答えた。
ジェシカは、半信半疑な様子で、
「本当に大丈夫?」
と、聞く。
デルタは、
「大丈夫だ」
と、言って、トランス魔法を唱える!!
デルタの姿が、ラフレシアの姿へと、変身する!!
ジェシカは、
「すごい……!! そっくりだわ……!!」
と、感心する。
デルタ(ラフレシア)は、慎重に、『水晶玉』に触る。
何も起きなかった。
ジェシカは、
「何も起きない……!? と、いうことは、本人と認識したってこと?」
と、確認する。
デルタ(ラフレシア)は、
「そういうこと、だろうな」
と、言って、『水晶玉』を手に持つ。
そして、そのまま、床へと叩きつける!!
ガシャンという音を立てて、『水晶玉』が割れる!!
デルタ(ラフレシア)は、
「これで、強い魔法、最上級魔法が使える」
と、言って、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべる。
ジェシカは、
「ちょっと、ラフレシア王女に化けたまま、笑わないで。怖いわよ」
と、注意する。
デルタ(ラフレシア)は、
「そうか」
と、言って、元の姿に戻る呪文を唱える。
ラフレシアの姿から、デルタの姿へと戻る。
ジェシカは、
「それで、これから、どうするの?」
と、聞いて、続けて、下を向きながら、
「……やっぱり、王様を暗殺するの?」
と、聞く。
デルタは、再び、薬草を塗り続けながら、
「そうだ。王を暗殺する」
と、答える。
ジェシカは、
「……約束、覚えてるよね?」
と、確認する。
デルタは、
「ああ。覚えてる」
と、答える。
ジェシカは、
「協力したんだから、守ってよ」
と、念を押す。
デルタは、
「わかってる」
と、言って、続けて、
「約束は守る。だが、まだ、王を暗殺してない。王を暗殺するまでは、保留だ」
と、言った。
ジェシカは、
「やっぱり、王様が暗殺するまで、喋ったら駄目?」
と、確認する。
デルタは、
「駄目だ。めんどうなことに、なるかもしれない」
と、答えて、続けて、
「ここまで、計画通りだ。イレギュラーなことは、『レッドブラッド教団』のメンバーが、ホワイトレミ―に、多数やられたことと、王女が、部屋にいなかったこと、ぐらいか? これ以上のことは、避けたい」
と、言った。
ジェシカは、
「レミ―は、どうなったの?」
と、聞く。
デルタは、
「両腕にヒビが入って、剣が、まともに振れない状態のまま、『レッドブラッド教団』のメンバー達を、相手にしてる」
と、答えた。
ジェシカは、駆けつけようと、動き出す。
デルタは、
「止めておけ。もう、遅い。死んでるだろう」
と、言って、ジェシカを引き留めて、
「それに、ルミナス、おまえには、『玉座の間』の警護があるだろ?」
と、言った。
ジェシカは、立ち止まり、不思議そうに、
「どうして、それを?」
と、聞く。
デルタは、
「『玉座の間』の扉の前で、警護してる兵士二人がいたろ? あいつらは、『レッドブラッド教団』のメンバーだ。前から、スパイとして、忍び込ませておいた。そいつらから、さっき、聞いた」
と、答えて、続けて、
「それに、ルミナスは、『玉座の間』がある階から、この下の階に下りてきた。それで、『玉座の間』の警護をしてると、推測もできる」
と、答えた。
ジェシカは、
「えっ!? 嘘!? あの二人、『レッドブラッド教団』のスパイだったの?」
と、驚きながら、続けて、
「さすがね、お兄ちゃん」
と、感心する。
デルタも、
「ルミナスこそ、よく、『魔法制御道具』の場所を、聞き出せたな。めんどうな、『フランシス王国騎士団』の、マリアレーヌも、城から離れさせた。さすが、私の妹だ」
と、感心する。
ジェシカは、喜んでいいのか、どうか、わからない、複雑な感情で、苦笑しながら、
「レミ―のことは、気になるけど、『玉座の間』に戻るわ。そろそろ戻らないと、怪しまれる」
と、言って、戻ろうとする。
デルタは、
「わかった。私も、腹の傷が癒えたら、そちらに行く。くれぐれも、喋るなよ。王が暗殺されるまでは」
と、言って、続けて、
「それまで、私達は、家族ではなく、敵同士という設定だ」
と、言った。
ジェシカは、
「わかった」
と、言って、廊下を進み、階段を上って、『玉座の間』がある階へと行き、再び、『玉座の間』の扉の前で、警護についた。
深夜、再び、隠し通路。
ラフレシアは、歩きながら、
「ジェシカさん、嬉しいでしょうね。こんなに、想ってくれる人がいて。いつも一人で、孤独だったから」
と、言った。
タツヤは、意外そうに、
「えっ? そうなんですか?」
と、聞く。
ラフレシアは、同情するように、
「ジェシカさんは、小さい頃に、両親も兄弟も『レッドブラッド教団』に殺されて、家族がいない中、一人で生きてきたの。親友と呼べる、クリスティーナも、最近、殺さてしまって、気の毒だわ」
と、言った。
ーだから、ジェシカは、あんなにも、『レッドブラッド教団』を警戒していたのか……。
タツヤは、ジェシカに、『レッドブラッド教団』のメンバーと警戒されて、暗殺用ナイフで、刺されたり、斬られたりした時のことを、思い出す。
ラフレシアは、
「ジェシカさんは、『フランシス王国騎士団』として、たくましくて、一人でいても、平気そうにしてるけど、やっぱり女の子なのよ……。たまにね、寂しくて、悲しそうな表情をするの」
と、思い出すように言った。
ラフレシアは、続けて、
「ジェシカさんは、否定するけど、心の奥底では、誰かそばにいて欲しいと、思ってるんじゃないかしら?」
と、言った。
タツヤは、
「ジェシカは、彼氏とか、そういうの、いないんですか?」
と、聞く。
ラフレシアは、
「さぁね。そういう話、聞かないけど。本人に聞いてみたら?」
と、答える。
そんな話をしながら、進んで行くと、また、階段が見えてきた。
ラフレシアは、
「この階段を上れば、『玉座の間』がある、もうひとつ、上の階へと出るわ」
と、言って、階段を上る。
タツヤも後に続く。
階段を上り、出入り口の扉を開けて、廊下へと出る。
ここの廊下も、下の階と同じように、深夜だからか、僅かなロウソクの照明だけで、暗く、静まり返っており、人の気配を感じなかった。
ラフレシアは、床についてる押しボタンを、押す。
隠し通路の出入り口が、ガチャッと音を立てて閉まる。
ラフレシアは、
「このまま、まっすぐ行けば、『玉座の間』よ」
と、言って、先へと進む。
タツヤも後に続く。
奥へと進んで行くと、『玉座の間』の扉が見えてきた。
その『玉座の間』の扉の前に、誰かが立っている。
タツヤは、目を凝らす。
ジェシカだった!!
ジェシカは、ラフレシアとタツヤの姿に気がつく。
ラフレシアとタツヤは、ジェシカの元へ!!
ジェシカは、
「ラフレシア王女……それと、えっ、タツヤ!? 何で?」
と、驚愕する!!
ラフレシアは、タツヤの方へ振り返って、
「着いたわよ。どう? 久し振りに見た、ジェシカさんは?」
と、聞く。
タツヤは、目に涙を浮かべながら、
「……前と変わってなくて……キレイなままです」
と、言った。
※※※※※※※※※※
【第18話 さらに驚く展開だぜ!! 堪えきれない涙!? ここで、倒すしかない!? 仕掛け道具 VS 襲撃者!? ジェシカの意味不明な行動と、その表情の意味は!? ~ジェシカ編~】
ジェシカは、タツヤの心情を察するかのように、目に涙を浮かべている、タツヤの表情を、じっと見る。
ラフレシアは、場の空気を読むかのように、ただ、黙って、様子を見ている。
ジェシカは、
「……私に会いに来たの?」
と、口を開く。
タツヤは、
「ああ、そうだよ……!!」
と、言って、こらえきれずに、涙を流す。
ジェシカは、優しい声で、
「ありがとね……」
と、言った。
タツヤは、泣いてる自分を、恥ずかしく感じて、手で涙を拭う。
ジェシカは、黙って、タツヤの様子を、じっと見る。
ラフレシアは、ジェシカに、
「……彼はね、本当に、あなたのことを想って、会いたがってたの。だから、連れて来たわ」
と、説明した。
ジェシカは、感動した様子で、
「……ありがとう……!! タツヤ……!!」
と、言った。
タツヤは、再び、目に涙を浮かべながら、
「……パトロールから、帰って来なくて、本当に、心配したんだぞ……!!」
と、言った。
ジェシカは、
「それは……」
と、言って、口を閉ざす。
タツヤは、再び、涙をこらえながら、
「どうしたんだよ……? 言えないことなのかよ……?」
と、言った。
ジェシカは、困惑しながら、
「……今は、勤務中だし、話せない。終わってから、ゆっくり話すわ。待ってて」
と、言った。
タツヤは、『フランシス王国騎士団』として、ホワイトレミ―と同じように、中世ヨーロッパの剣士が着るような、赤の剣士服と緑のマント姿で、警護しているジェシカを、まじまじと見る。
タツヤは、状況を理解したように、
「……わかった」
と、了解して、
「あっ、そうだ。俺も話したいことがあるんだ」
と、思い出す。
ー今までのことや、現在の状況を話さなきゃ……!! ラフレシアさんに、嘘がバレるけど、もう、いいか。嘘をつき続けるのも、嫌だし。とりあえず、デルタにバレなければ、大丈夫だ。全て話すとしたら、今、このタイミングだ……!! そんな気がする……!!
タツヤは、ジェシカとラフレシアを、交互に見ながら、
「ジェシカ、ラフレシアさん、聞いてくれ……!! 大事な話だ……!! 実はー」
と、今までのことや、現在の状況を話そうとする。
その時!!
「おいおい、全部、話す気か? 見損なったぞ」
と、聞き慣れた声がした。
タツヤは、後ろを振り向く。
デルタがいた!!
タツヤは、
「嘘だろっ!? おいっ……!! マジかよ……!!」
と、驚く!!
ラフレシアは、驚くと同時に、
「あなた、『レッドブラッド教団』の幹部、『赤魔導士』のデルタね!?」
と、確認する。
デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、
「そうだ。おまえは、王女のラフレシアか? 部屋にいなかったから、何処にいるかと思ったら、こんな所にいたのか」
と、言った。
ラフレシアは、驚きながら、
「私の部屋に来たの!? 警備のゴンザレスは? 『フランシス王国騎士団』のホワイトレミ―も、警備に当たっていたはず」
と、言った。
デルタは、
「ゴンザレス? 誰だ、それ? とりあえず、部屋の前にいた警備員は、殺したぞ。ホワイトレミーは、私と戦って、両腕にヒビが入って、剣が振れない状態だから、今頃、『レッドブラッド教団』のメンバーの手によって、殺されてるだろうな」
と、言った。
ラフレシアは、
「そんな……!!」
と、ショックを受けて、落ち込む。
タツヤは、覚悟を決めて、ラフレシアに視線を送り、
「大丈夫!! 『魔法制御道具』を、仕掛けてあるんですよね!? それなら、デルタは、強い魔法を使えないし、ジェシカもいるし、『玉座の間』には、王を守る、強い側近もいるんでしょ!? その人も呼んで、一緒に戦えば、勝てますよ!!」
と、言って、鼓舞する!!
ラフレシアは、奮い立ち、
「……そうね!! 王女として、誇り高く、私も戦うわ!! ジェシカさん、『玉座の間』にいる、父の側近のカルロスを呼んで!!」
と、言って、ジェシカを見る。
タツヤは、ハッと閃いて、
「……そうだ!! ジェシカ、『フランシス王国騎士団』の、カロリーネとクリスも、呼べるか? 今、何処にいるかは、わからないけど、あの二人もいれば、心強いぜ!!」
と、言って、ジェシカを見る。
ーそんなこと、できない。
ジェシカは、下を向いたまま、じっとしている。
タツヤは、ジェシカに、
「ジェシカ!? どうしたんだよ!? ここで、奴をぶっ倒すぞ!! もう、やるしかない!!」
と、言って、鼓舞する!!
ラフレシアも、ジェシカに、
「ジェシカさん!! タツヤの言ってるとおりよ!! もう、戦うしかないわ!! やりましょう!! ここで、デルタを倒しましょう!!」
と、言って、同じように鼓舞する!!
ーそんなこと、できない。
ーだって、私の唯一の家族、お兄ちゃんだもの……!!
ータツヤ、ラフレシア王女、二人とも、大丈夫よ。殺されることは、ないわ……!!
ジェシカは、下を向いたまま、じっとしている。
デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、
「『魔法制御道具』って、あの『水晶玉』のことか? もう、破壊したぞ」
と、言った。
ラフレシアは、驚き、半信半疑な様子で、
「嘘よっ……!!」
と、言った。
デルタは、
「場所は、この下の階の、廊下に取り付けてある、鏡の中だろ? 『魔法制御道具』って、どんな物かと思っていたが、『水晶玉』だったとは」
と、言った。
ラフレシアは、
「嘘!? そんな……当たってる……!! なんで?」
と、驚愕する!!
ラフレシアは、続けて、震える声で、
「で、でも、所有者以外は、破壊できないわ……!! 所有者以外、触ることすらできない……!! 触ると、大ダメージを受けるし」
と、言った。
デルタは、
「そうだ。確かに、所有者以外、触ることすらできない。だから、トランス魔法で、所有者の、おまえの姿に化けて、破壊した」
と、言った。
ラフレシアは、驚きながら、
「ただのトランス魔法で、化けても、『水晶玉』が、本人と認識しないわ。最上級トランス魔法じゃなきゃ、『水晶玉』が、本人と認識しないわよ……!! でも、最上級トランス魔法は、制御されて、使えないはずよ……!!」
と、言った。
デルタは、
「私のような、熟練した魔導士のレベルになれば、ただのトランス魔法でも、一般の魔導士が唱える、最上級トランス魔法と、同じくらいの効果を、発揮する。だから、問題なく、『水晶玉』が、本人と認識した」
と、言った。
ラフレシアは、
「あぁ、そんな……!! そんな……!! どうして? どうして、場所がわかったの……?」
と、がっくりと、うなだれる。
タツヤは、ラフレシアに、かける言葉が見つからず、ただ、黙って、様子を見ることしかできなかった。
タツヤは、デルタに、
「なんで、場所がわかった?」
と、ラフレシアと同じ質問をする。
デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、
「その女が教えてくれたのさ」
と、ジェシカを指差した!!
タツヤとラフレシアは、驚愕しながら、ジェシカを見る!!
ーそこは、秘密にしておいてよ……!! めんどうなことに、なるわよ? お兄ちゃん……!!
ジェシカは、まだ、下を向いたまま、じっとしている。
タツヤは、気が動転しながら、
「う、嘘つくなっ!! ジェシカが、そんなことするかよっ……!!」
と、言った。
ラフレシアも、気が動転しながら、
「そ、そうよっ……!! ジェシカさんは、人一倍、『レッドブラッド教団』を恨んでいるのよっ!! 場所を知っていても、教えるわけないじゃないっ!!」
と、言った。
ー辛いわ。
ー本当、辛いわ。
ーこれでも、どういうことなのか、喋っては、いけないの? お兄ちゃん……!!
ジェシカは、下を向いたまま、申し訳なさそうに、
「ごめんなさい……本当なの……私……『魔法制御道具』の場所、教えちゃった」
と、言った。
タツヤとラフレシアは、気が動転したまま、
「は? 嘘だろ……!? なんで……!?」
「ジェシカさん、何、言ってるの?」
と、言った。
デルタは、ジェシカに、
「ご苦労だったな。道を開けろ」
と、命令する。
ジェシカは、顔を上げて、デルタに、
「約束は守ってよ」
と、言って、道を譲る。
デルタは、
「ああ、守る」
と、言って、その道を通ろうとする。
ラフレシアは、立ち塞がって、
「このまま、父の所へは、行かせないわよっ!! タツヤ、急いで『玉座の間』にいる、父の側近のカルロスを呼んで!!」
と、指示する!!
タツヤは、
「わかった!!」
と、言って、ダッシュで『玉座の間』の扉へ!!
ラフレシアは、懐から、鍵を取り出し、
「鍵よっ!!」
と、言って、タツヤへ向けて、鍵を投げた!!
タツヤは、鍵を受け取り、その鍵で、急いで『玉座の間』の扉を開ける!!
そのまま、中へと入る瞬間、ジェシカと目が合った!!
ータツヤ、そんな目で見ないで……!!
ー私だって、本当は、こんなこと、したくない……!!
ーでも……!!
ジェシカは、寂しく、悲しそうな表情を浮かべながら、タツヤへ向けて、何かを言いたそうだった……!!
タツヤは、『玉座の間』へと入って行く!!
ジェシカは、全身、震えながら、拳を強く握り締め、流れそうになる涙を、必死で、こらえる!!
ジェシカは、
「私って、本当に、最低だわ……!!」
と、言って、我慢できずに、両手で顔を覆ってしまった!!
ラフレシアは、只ならぬ、ジェシカの様子を見ながら、
「ジェシカさん? 一体、何がどうなってるの?」
と、混乱する!!
デルタは、その隙に、右手を、ラフレシアの前に出し、最上級眠り魔法『ストロングスリ―プ』を、唱える!!
ラフレシアは、倒れ込み、まるで、死んでしまったかのように、眠りについた!!
デルタは、両手で顔を覆って、立ち尽くしてる妹に、
「……すまない。辛い思いばかりさせて」
と、優しく、慰めの言葉をかけた。




