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追憶の第37話 【ジェシカ編クライマックス】

 夜、再び、マルコの家。


 タツヤは、目が覚める。


 ー仮眠を取るつもりが、ぐっすり眠ってしまった。


 タツヤは起き上がる。


 ーどうする? また、今日も朝から、じっと待つのか? もう、飽きたな。外へ出て、ジェシカを探そう。


 タツヤは、マルコの家から、外へと出た。


 外は、夜の風景であった。


「あれっ? 夜?」

 タツヤは驚く。


 ー次の日の朝まで、眠ってしまったんじゃなくて、次の日の夜まで、一日中眠ってしまった? 逃亡やテストで、相当(そうとう)、疲れていたからな・・・。


 タツヤは、お腹が()いて、再び、マルコの家の中へと戻り、キッチンへ。


 料理などしたことないが、とりあえず、適当に料理したものを、口に入れていく。


 その時!!


 タツヤの胸の、赤い血の色をした『バツ印』が、赤く光り輝き出す!!


 タツヤは、その赤く光り輝く『バツ印』を見た!!


 『バツ印』の下に、『これから、王の暗殺決行。参加したい奴は、王宮広場に集結せよ』という文字が表示される!!


 ー今から!? マジかよ!? っていうか、もう、暗殺するのかよ!?


 タツヤは驚く。


 続けて、『バツ印』の下に、『これから、王女レイプ&王宮の女達レイプを実行。参加したい奴は、廃墟の教会に集結せよ』という文字が表示される!!


 ーおいおい…『王女レイプ&王宮の女達レイプ』って。発想がイカれてるぜ!! この二つのどちらかに、参加しろってか?


 タツヤは、迷うことなく、『王の暗殺決行』を選んだ!!



 夜、『フランシス城』の廊下。



 ジェシカは、警備(けいび)として、城の廊下を見て回る。


 ーいよいよね。一応、襲撃(しゅうげき)(そな)えて、心の準備だけは、しておこう。


 ジェシカは、深呼吸をして、自分を落ち着かせる。


 ーラフレシア王女は、まだ、私のこと、待ってるかな? 途中で、抜け出してしまったし、一応、戻っておいた方が、よさそうね。 


 ジェシカは、城の廊下を警備しながら、また、王女のラフレシアの部屋を、訪れる。


 部屋の扉の前で、警護(けいご)している、ゴンザレスが、

「よく来るな」

 と、言って、前と同じように、部屋へと入って、扉を閉める。


 ジェシカは、苦笑(くしょう)して、待つ。


 扉が開いて、ラフレシアが出て来る。


 ラフレシアは、

「さぁ、入って」

 と、(うなが)す。


 ジェシカは、部屋へと入る。


 ゴンザレスは、ラフレシアに言われる前に、部屋の外へと出る。


 ジェシカは、前と同じように、ラフレシアと共に、椅子に座って、テーブルで向き合う。


 ジェシカは、

「では、再び、制御道具の場所が、バレてしまった場合の、対処(たいしょ)方法を、考えましょう」

 と、言った。


 ラフレシアは、

「それは、もう、いいわ。あの後、よく考えてみたら、『魔法制御道具』の場所が、バレているとは思えないし、バレていたとしても、所有者(しょゆうしゃ)以外、破壊することはできないだろうから、大丈夫よ」

 と、言って、続けて、

「それに、心配事は、それだけじゃないのよ」

 と、言って、()(いき)をつく。


 ジェシカは、

「どんなことですか?」

 と、聞く。


 ラフレシアは、不安そうに、

「今夜、レイプ襲撃をしようと(たくら)んでる、『レッドブラッド教団』のアジトへ、先回りして、城の兵士達を、向かわせたけど、そのせいで、今、この城は、警備が手薄なの。(よう)するに、スカスカになってしまったの」

 と、言って、続けて、

「そこを狙って、『レッドブラッド教団』の、他のグループが、襲撃(しゅうげき)しようと、やって来るかもしれない。むしろ、最初から、そういうふうに、計画を立てていたのかも」

 と、言った。 


 ー当たってるわ……!!


 ジェシカは、(あわ)てず、落ち着いて、話すことを、心掛(こころが)けながら、

「もし、そうだとしたら、狙いはなんでしょうか?」

 と、聞く。


 ラフレシアは、

「おそらく、狙いは、父の命か、私だわ」

 と、答える。


 ー(するど)いわね……!! 正解よ……!!


 ジェシカは、感心しながら、

「それなら、今から、私、王様か、ラフレシア王女、どちらかの警護に、切り替えますか?」

 と、聞く。


 ラフレシアは、

「お願いするわ。できれば、父の方で」

 と、答えて、続けて、

「でも、別に、ジェシカさんじゃなくても、『フランシス王国騎士団』の()いてる人で、いいわよ。ジェシカさん、まだ、城の警備の途中でしょ? 城の中の警備だって、大事なことだと思うわ」

 と、言った。 


 ジェシカは、考える素振(そぶ)りをしながら。

「確かに、城の中の警備も大事ですが、それ以上に、王様やラフレシア王女の方が、大事です。戻って、『フランシス王国騎士団』の誰かを、王様の警護に、向かわせます」

 と、言って、椅子から立ち上がり、

「おそらく、私だと思ってください」

 と、言って、部屋の扉の前に行き、

「では、失礼します」

 と、言って、扉を開けて、部屋を出た。


 部屋の扉の近くで、ゴンザレスが、暇そうに、立っていて、目が合う。


 ゴンザレスが、興味深そうに、

「どんな話をしてたんだ?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「秘密よ」

 と、言って、去って行く。


 ー今、城にいる、『フランシス王国騎士団』は、私とレミ―だけ。レミ―に、ラフレシア王女の襲撃の話を伝えて、どちらが、王様の警護につくか、話をしたら、何か、ボロを出してしまうかも。レミ―には、伝えずに、私がやった方が、無難(ぶなん)だわ。


 ジェシカは、『玉座(ぎょくざ)()』へと向かう。


 ーそれに、お兄ちゃんが、王様を暗殺するところを、妹として、見届けないと、いけない気がする……!!


 ジェシカは、そんなことを考えながら、階段を(のぼ)って行く。 


『玉座の間』がある階へと着き、進んで行く。


『玉座の間』の扉の前で、警護している兵士二人に、「ラフレシアに、お願いされた」と、告げる。


 警護の兵士二人は、「どうぞ、ジェシカさん」と言って、扉を開ける。


 ジェシカは、国民の知名度が高い、『フランシス王国騎士団』のメンバーとして、城の兵士達からは、(あこが)れの存在であり、(した)われていた。


 ジェシカは、中へと入る。


 『玉座』に、中世の王の格好をした、フランシス王と思われる、中年ぐらいの男が座っている。

 

 頭にかぶっている、金色の王冠(おうかん)が目立つ。

 

 服装は、中世ヨーロッパの上流階級が着そうな、高級な白のチュニック(腰から膝ぐらいまでの長さの上着)を着ており、その上を、赤いマントが(おお)っている。


 その王を、屈強(くっきょう)な三人の男騎士が、警護(けいご)している。


 三人とも、(はがね)(かぶと)をかぶり、鋼の(よろい)を装着している。

 

 その三人の内の一人が、カルロスであり、剣を背中に装着している。


 あとの二人は、剣を腰に装着している。


 カルロスは、

「ジェシカか。どうした?」

 と、聞く。


 ジェシカは、フランシス王に、

「ラフレシア王女から、頼まれました。王様を、お守りするようにと」

 と、伝えて、続けて、

「ラフレシア王女は、これから、『レッドブラッド教団』が、襲撃して、王を暗殺するのではないかと、考えているようです」

 と、伝える。


 カルロスが、

「心配ない。こちらは、大丈夫だ。王には、指一本、()れさせん」

 と、反応する。


 ジェシカは、フランシス王に、

「どうでしょうか?」

 と、聞いて、返事を待つ。


 フランシス王は、

「娘が心配してくれるのは、嬉しいが、カルロスの言う通り、こちらは、大丈夫だ」

 と、言って、続けて、

「だが、せっかくだ。扉の前での、警護をお願いする」

 と、言った。


 ジェシカは、

「わかりました」

 と、言って、『玉座の間』の扉を開けて、扉の外へと出て行く。


 ジェシカは、扉の前で、警護している兵士二人に、

「ここは、私がやるから、他をお願いしてもいい?」

 と、指示する。


 警護の兵士二人は、「わかりました」と言って、去って行く。


 ー後は、お兄ちゃんに、制御道具のことを伝えて、王様が暗殺されるのを、見届けるだけ。


 ジェシカは、()(いき)をつく。


 ーこんなこと考えてる、私って、最低ね。


 ジェシカは、再び、自己嫌悪(じこけんお)(おちい)った。



 深夜。



 『フランシス王宮広場』は、静寂な闇に包まれていた。


 中央の大きな噴水(ふんすい)が、街灯(がいとう)に照らされて、目立っている。


 その噴水の前方(ぜんぽう)に目をやると、『フランシス城』への入り口の扉があり、屈強(くっきょう)な門番の兵士が、三人ほど立っている。


 ーここに集合かよっ…!? 目立つだろ……。


 タツヤは、周囲を確認する。


 『レッドブラッド教団』の殺人テストで見かけた連中が、チラホラと、武器を(にぎ)りながら立っていた。


 中世の二十代の男で、(おの)を握っている、大学生。

 中世の二十代の女で、(やり)を握っている、事務の受付嬢。

 中世の三十代の男で、剣を握っている、冒険者ギルドにいそうな戦士男。

 中世の五十代の男で、大鎌(おおがま)を握っている、農作業員。


 緊張した様子で、殺人テスト合格者達が、武器を握りながら、集まって来る。


 武器屋の格好をして、剣を握っている、四十代男がやって来て、

「おっ、新人か?」

 と、タツヤに話し掛ける。


 タツヤは、

「はい」

 と、(うなず)く。


 武器屋の男は、

「王を暗殺するから、新人は、みんな、緊張してるな。新人には、荷が重すぎるか…」

 と、言って、笑った。


 タツヤは、

「緊張しないんですか? これから、王を暗殺するんですよ?」

 と、聞いた。


 武器屋の男は、

「おう。緊張というより、ワクワクしてるな。これから、革命を起こすんだからな」

 と、楽しそうに言った。


 ー革命か。確かに、響きはカッコいいけど…。

 

 タツヤは苦笑する。


 続々(ぞくぞく)と『レッドブラッド教団』のメンバーが、武器を握って、集まって来る!!


 全体の人数は、五十人ほどまでになっていた!!


 城の屈強な門番の兵士三人は、警戒しながら、様子を見ている。


 デルタが、やって来る!!


 デルタは、

「ざっと見て、五十人か。他は、王女レイプの方へ行ったようだな。あっちは、二百人ぐらいと聞いた。どちらにしろ、今夜は楽しくなりそうだ」

 と、言って、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべる。


 タツヤは、デルタの元へと行き、

「ジェシカが戻って来なかった……。殺してないだろうな?」

 と、確認する。


 デルタは、

「ああ。殺してない」

 と、答えた。


 ークソッ!! どうなってるんだよ。


 タツヤは、溜め息をつく。


 デルタは、

「「神の(みちび)きによって集まった、偉大なメンバー達よ!! 今から、移動魔法を唱えるから、私の所へ来い!!」

 と、叫ぶ!!


 『レッドブラッド教団』のメンバー全員が、デルタの所へと集まる!!


 デルタは、最上級移動魔法『スペシャルムーブ』を唱えた!!


 タツヤとデルタと『レッドブラッド教団』のメンバー全員の姿が、消えた……!!


 そのまま、何処かの洞窟(どうくつ)へと移動した、タツヤとデルタと『レッドブラッド教団』のメンバー全員。


 デルタは、

「この洞窟から、一気に進む。この洞窟は、罪人(ざいにん)を閉じ込めてる、城の地下の牢屋(ろうや)へと繋がってる。そこから、城の内部へと潜入する」

 と、言った。


 メンバーの一人が手を上げて、

「さっきの移動魔法で、城の内部へと移動できないんですか?」

 と、聞く。


 デルタは、

「城の内部には、最上級魔法を受け付けない、特殊な制御道具が使われていて、無理だ」

 と、答える。


 メンバーの一人が手を上げて、

「城の入り口から、正面突破っていうのは、やっぱり、無理なんですか?」

 と、聞く。


 デルタは、

「できなくもないが、ほとんどのメンバーは、生きて戻れないだろう。なるべく、メンバーの数を減らすことなく、王を暗殺したい。それには、めんどうだが、(まわ)り道して行くしかない」

 と、答える。


 ーメンバーをゴミのように扱う奴だと、思っていたけど、違うんだな。意外とメンバー思いの奴か?


 タツヤは、少しだけデルタを感心した。


 洞窟には、モンスターが何度も現れて、(おそ)いかかって来たが、デルタやメンバーの実力者達が、あっさりと倒して、奥へと進んで行く!!


 洞窟の奥には、頑丈(がんじょう)な扉があったが、デルタが、扉を開ける呪文を唱えて、その扉を、簡単に開ける。


 その扉の先には、デルタが言っていた通り、城の地下で、牢屋みたいな部屋が、複数あり、罪人達が、閉じ込められていた!!


 罪人達は、デルタ達に気がついて、「ここから、出してくれぇ―」と騒ぐ!!


 デルタは、うるさい罪人達を、最上級即死魔法『デス』を唱えて、殺して行き、皆殺しにした後、

「さぁ、城の内部へと行くぞ」

 と、淡々(たんたん)と言った。


 デルタは、再び、扉を開ける呪文を唱えて、部屋の扉を、簡単に開ける。

 

 タツヤとデルタと『レッドブラッド教団』のメンバー全員は、城の内部へと潜入する!!


 そのまま、城の内部の廊下を進んで行く。


 深夜だからか、(わず)かなロウソクの照明だけで、暗く、静まり返っており、人の気配を感じない。


 階段があり、さらに上の内部へと続いている。


 デルタは、立ち止まって、タツヤに、

「ここからは、別行動だ。おまえに、やってもらいたいことがある」

 と、言った。


 タツヤは、

「何だ?」

 と、聞く。


 デルタは、

「ここから先は、最上級魔法を受け付けない、特殊な制御道具が使われている。それを見つけて、ぶっ(こわ)してこい」

 と、答えた。


 タツヤは、困惑した様子で、

「はぁ? そんなの、わかるかよ。どうやって、探せばいいんだよ? 無理だ」

 と、言った。


 デルタは、

「私の(かん)だが、その特殊な制御道具は、王女が持っていて、使っているのではないかと考えている。王女の部屋は、この階段を(のぼ)って、右の突き当たりの部屋だ」

 と、言った。


 タツヤは、

「何で、俺に頼むんだ? 自分でやればいいだろ?」

 と、聞く。


 デルタは、

「私は、これから、『フランシス王国騎士団』の相手をしなければ、ならないからな」

 と、言って、後ろを振り返る。


 ホワイトレミ―が立っていた!!


 ホワイトレミ―は、

「へぇー。逃げずに、この私と戦う気なんだ。手加減しないけど、いい?」

 と、上から目線的な感じで、言った。


 デルタは、タツヤに、

「さっさと行け。王女の部屋に!! 今は、警備交代の打ち合わせの時間で、部屋の前に、警備がいないはずだ」

 と、言った。


 タツヤは溜め息をついて、

「…わかったよ」

 と、言って、階段を上る。


 ホワイトレミ―は、

「詳しいのね」

 と、感心する。


 デルタは、

「おまえは、『フランシス王国騎士団』のホワイトレミーか?」

 と、確認する。


 ホワイトレミ―は、

「そうよ。名が知られてるとは、光栄(こうえい)だわ」

 と、嬉しそうに答えた。


 デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、

「カロリーネとクリスを、逃がしてしまったからな。おまえは、確実に殺す!!」

 と、最上級即死魔法『デス』を、唱えようとする!!


 ホワイトレミ―は、ムキになった様子で、

「私を殺す? やれるものなら、やってみなさいよ!! 死ぬのは、私ではなくて、あなたの方よっ!! 絶対に、私が勝つわっ!!」

 と、叫んで、戦闘態勢(せんとうたいせい)をとった!!



 ※※※※※※※※※※



 【第17話 いろいろと驚く展開だぜ!! ラフレシアの肖像画とミネイロ・リッチ!? 妖精の村!? 専属警備員!? 秘密の通路!? ジェシカの孤独と、そして再会!? ~ジェシカ編~】



 タツヤは、ラフレシア王女の部屋へと行き、ラフレシア王女と話をして、ラフレシア王女と共に、ジェシカがいる、『玉座の間』へと、向かうことになった。


 ラフレシアは、部屋の壁に飾ってある、『ラフレシアの肖像画(しょうぞうが)』の、下の床へと目をやる。


 ラフレシアは、(かが)んで、その床についてる押しボタンを、押す。


 ガチャッと音が鳴り、床が開き、下へと続く階段が現れる!!

 

 タツヤは、

「おぉ!! こんな仕掛けがあるなんて……!!」

 と、感心する。


 ラフレシアは、

「さぁ、行きましょう」

 と、言って、階段を()りる。


 タツヤは、ラフレシアの後をついていく。


 階段を下りると、ラフレシアが言っていた通り、隠し通路があり、暗く、一直線に、奥へと続いていた。


 壁には、松明(たいまつ)の火が(とも)っている。


 ーこれが、隠し通路か……!!


 ラフレシアの後をついていきながら、タツヤは興奮する。


 ラフレシアは、歩きながら、

「奥へ進むと、階段があるの。その階段を上ると、位置的には、上の階へと出るわ」

 と、説明を始める。

 ラフレシアは、続けて、

「でも、ジェシカさんは、もうひとつ上の階の、『玉座の間』にいるから、階段を上らずに、さらに奥へと進むわ」

 と、説明する。


 タツヤは、

「その『玉座の間』に、ジェシカがいるんですね?」

 と、確認する。

 

 ラフレシアは、

「そうよ。側近と一緒に、父を警護してるわ」

 と、答える。


 ラフレシアとタツヤは、奥へと進む。


 ラフレシアが言っていた通り、階段があったが、上らずに、さらに奥へと進む。



 一方(いっぽう)その頃。



 『玉座の間』の扉の前で、警護しているジェシカは、居ても立っても居られない様子であった。


 ー今、どうなってるんだろう? ちょっと、様子を見てこようかな? 


 ジェシカは、『玉座の間』の扉の前から離れて、廊下を進む。


 そして、そのまま、階段を下りて、下の階へ。


 向こう側から、デルタが、やって来る!!


 ジェシカは、

「お兄ちゃん」

 と、声をかける。


 デルタは、腹に、火傷と流血をしており、左手で、おさえていた。


 ジェシカは、心配そうに、

「大丈夫?」

 と、聞く。


 デルタは、

「大丈夫だ」

 と、言って、左手で、回復液体薬草を、()り続けている。


 デルタは、薬草を塗り続けながら、

「制御道具の場所、わかったか?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「わかったわ」

 と、答える。


 ーええと……、『玉座の間』の下の階だから、ちょうど、この階ね。


 ジェシカは、

「ついてきて」

 と、言って、廊下を進む。


 デルタは、薬草を塗り続けながら、ついていく。


 ジェシカは、そのまま、壁に取り付けてある、(かがみ)の前まで行って、

「ここよ」

 と、指を差す。


 デルタは、薬草を塗り続けながら、

「この鏡の中か?」

 と、確認する。


 ジェシカは、

「そうよ」

 と、答えて、続けて、

「この中に、『魔法制御道具』として、『水晶玉(すいしょうだま)』が仕掛けてあるみたい。でも、所有者(しょゆうしゃ)以外の人が、(さわ)ったら、大ダメージを()うんだって」

 と、言った。


 デルタは、薬草を塗り続けながら、

「そうか。めんどうだな」

 と、言って、右手を、鏡の前に出し、呪文を唱える。


 鏡が、音を立てずに、全部、()れて、『水晶玉』が現れる!!


 ジェシカは、

「どうするの?」

 と、聞く。


 デルタは、薬草を塗り続けながら、

「トランス魔法で、ラフレシア王女の姿に化ける。それで、破壊できるだろう」

 と、答えた。


 ジェシカは、半信半疑(はんしんはんぎ)な様子で、

「本当に大丈夫?」

 と、聞く。


 デルタは、

「大丈夫だ」

 と、言って、トランス魔法を唱える!!


 デルタの姿が、ラフレシアの姿へと、変身する!!


 ジェシカは、

「すごい……!! そっくりだわ……!!」

 と、感心する。


 デルタ(ラフレシア)は、慎重に、『水晶玉』に触る。


 何も起きなかった。


 ジェシカは、

「何も起きない……!? と、いうことは、本人と認識(にんしき)したってこと?」

 と、確認する。


 デルタ(ラフレシア)は、

「そういうこと、だろうな」

 と、言って、『水晶玉』を手に持つ。


 そして、そのまま、床へと叩きつける!!


 ガシャンという音を立てて、『水晶玉』が割れる!!

 

 デルタ(ラフレシア)は、

「これで、強い魔法、最上級魔法が使える」

 と、言って、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべる。


 ジェシカは、

「ちょっと、ラフレシア王女に化けたまま、笑わないで。怖いわよ」

 と、注意する。


 デルタ(ラフレシア)は、

「そうか」

 と、言って、元の姿に戻る呪文を唱える。


 ラフレシアの姿から、デルタの姿へと戻る。


 ジェシカは、

「それで、これから、どうするの?」

 と、聞いて、続けて、下を向きながら、

「……やっぱり、王様を暗殺するの?」

 と、聞く。


 デルタは、再び、薬草を塗り続けながら、

「そうだ。王を暗殺する」

 と、答える。

 

 ジェシカは、

「……約束、覚えてるよね?」

 と、確認する。


 デルタは、

「ああ。覚えてる」

 と、答える。


 ジェシカは、

「協力したんだから、守ってよ」

 と、念を押す。


 デルタは、

「わかってる」

 と、言って、続けて、

「約束は守る。だが、まだ、王を暗殺してない。王を暗殺するまでは、保留(ほりゅう)だ」

 と、言った。


 ジェシカは、

「やっぱり、王様が暗殺するまで、(しゃべ)ったら駄目?」

 と、確認する。


 デルタは、

「駄目だ。めんどうなことに、なるかもしれない」

 と、答えて、続けて、

「ここまで、計画通りだ。イレギュラーなことは、『レッドブラッド教団』のメンバーが、ホワイトレミ―に、多数やられたことと、王女が、部屋にいなかったこと、ぐらいか? これ以上のことは、避けたい」

 と、言った。


 ジェシカは、

「レミ―は、どうなったの?」

 と、聞く。


 デルタは、

「両腕にヒビが入って、剣が、まともに振れない状態のまま、『レッドブラッド教団』のメンバー達を、相手にしてる」

 と、答えた。


 ジェシカは、()けつけようと、動き出す。


 デルタは、

()めておけ。もう、遅い。死んでるだろう」

 と、言って、ジェシカを()()めて、

「それに、ルミナス、おまえには、『玉座の間』の警護があるだろ?」

 と、言った。


 ジェシカは、立ち止まり、不思議そうに、

「どうして、それを?」

 と、聞く。


 デルタは、

「『玉座の間』の扉の前で、警護してる兵士二人がいたろ? あいつらは、『レッドブラッド教団』のメンバーだ。前から、スパイとして、忍び込ませておいた。そいつらから、さっき、聞いた」

 と、答えて、続けて、

「それに、ルミナスは、『玉座の間』がある階から、この下の階に下りてきた。それで、『玉座の間』の警護をしてると、推測もできる」

 と、答えた。


 ジェシカは、

「えっ!? 嘘!? あの二人、『レッドブラッド教団』のスパイだったの?」

 と、驚きながら、続けて、

「さすがね、お兄ちゃん」

 と、感心する。


 デルタも、

「ルミナスこそ、よく、『魔法制御道具』の場所を、聞き出せたな。めんどうな、『フランシス王国騎士団』の、マリアレーヌも、城から離れさせた。さすが、私の妹だ」

 と、感心する。


 ジェシカは、喜んでいいのか、どうか、わからない、複雑な感情で、苦笑しながら、

「レミ―のことは、気になるけど、『玉座の間』に戻るわ。そろそろ戻らないと、怪しまれる」

 と、言って、戻ろうとする。


 デルタは、

「わかった。私も、腹の傷が()えたら、そちらに行く。くれぐれも、喋るなよ。王が暗殺されるまでは」

 と、言って、続けて、

「それまで、私達は、家族ではなく、敵同士という設定だ」

 と、言った。


 ジェシカは、

「わかった」

 と、言って、廊下を進み、階段を上って、『玉座の間』がある階へと行き、再び、『玉座の間』の扉の前で、警護についた。



 深夜、再び、隠し通路。



 ラフレシアは、歩きながら、

「ジェシカさん、嬉しいでしょうね。こんなに、(おも)ってくれる人がいて。いつも一人で、孤独だったから」

 と、言った。


 タツヤは、意外そうに、

「えっ? そうなんですか?」

 と、聞く。


 ラフレシアは、同情するように、

「ジェシカさんは、小さい頃に、両親も兄弟も『レッドブラッド教団』に殺されて、家族がいない中、一人で生きてきたの。親友と呼べる、クリスティーナも、最近、殺さてしまって、気の毒だわ」

 と、言った。


 ーだから、ジェシカは、あんなにも、『レッドブラッド教団』を警戒していたのか……。


 タツヤは、ジェシカに、『レッドブラッド教団』のメンバーと警戒されて、暗殺用ナイフで、刺されたり、斬られたりした時のことを、思い出す。


 ラフレシアは、

「ジェシカさんは、『フランシス王国騎士団』として、たくましくて、一人でいても、平気そうにしてるけど、やっぱり女の子なのよ……。たまにね、寂しくて、悲しそうな表情をするの」

 と、思い出すように言った。

 ラフレシアは、続けて、

「ジェシカさんは、否定するけど、心の奥底では、誰かそばにいて欲しいと、思ってるんじゃないかしら?」

 と、言った。


 タツヤは、

「ジェシカは、彼氏とか、そういうの、いないんですか?」

 と、聞く。


 ラフレシアは、

「さぁね。そういう話、聞かないけど。本人に聞いてみたら?」

 と、答える。


 そんな話をしながら、進んで行くと、また、階段が見えてきた。


 ラフレシアは、

「この階段を上れば、『玉座の間』がある、もうひとつ、上の階へと出るわ」

 と、言って、階段を上る。


 タツヤも後に続く。


 階段を上り、出入り口の扉を開けて、廊下へと出る。


 ここの廊下も、下の階と同じように、深夜だからか、僅かなロウソクの照明だけで、暗く、静まり返っており、人の気配を感じなかった。


 ラフレシアは、床についてる押しボタンを、押す。


 隠し通路の出入り口が、ガチャッと音を立てて閉まる。


 ラフレシアは、

「このまま、まっすぐ行けば、『玉座の間』よ」

 と、言って、先へと進む。


 タツヤも後に続く。


 奥へと進んで行くと、『玉座の間』の扉が見えてきた。


 その『玉座の間』の扉の前に、誰かが立っている。


 タツヤは、目を()らす。


 ジェシカだった!!


 ジェシカは、ラフレシアとタツヤの姿に気がつく。


 ラフレシアとタツヤは、ジェシカの元へ!! 


 ジェシカは、

「ラフレシア王女……それと、えっ、タツヤ!? 何で?」

 と、驚愕(きょうがく)する!!


 ラフレシアは、タツヤの方へ振り返って、

「着いたわよ。どう? 久し振りに見た、ジェシカさんは?」

 と、聞く。


 タツヤは、目に涙を浮かべながら、

「……前と変わってなくて……キレイなままです」

 と、言った。



 ※※※※※※※※※※



 【第18話 さらに驚く展開だぜ!! 堪えきれない涙!? ここで、倒すしかない!? 仕掛け道具 VS 襲撃者!? ジェシカの意味不明な行動と、その表情の意味は!? ~ジェシカ編~】



 ジェシカは、タツヤの心情を察するかのように、目に涙を浮かべている、タツヤの表情を、じっと見る。

 

 ラフレシアは、場の空気を読むかのように、ただ、黙って、様子を見ている。

 

 ジェシカは、

「……私に会いに来たの?」

 と、口を開く。


 タツヤは、

「ああ、そうだよ……!!」

 と、言って、こらえきれずに、涙を流す。


 ジェシカは、優しい声で、

「ありがとね……」

 と、言った。


 タツヤは、泣いてる自分を、恥ずかしく感じて、手で涙を(ぬぐ)う。


 ジェシカは、黙って、タツヤの様子を、じっと見る。


 ラフレシアは、ジェシカに、

「……彼はね、本当に、あなたのことを(おも)って、会いたがってたの。だから、連れて来たわ」

 と、説明した。


 ジェシカは、感動した様子で、

「……ありがとう……!! タツヤ……!!」

 と、言った。


 タツヤは、再び、目に涙を浮かべながら、

「……パトロールから、帰って来なくて、本当に、心配したんだぞ……!!」

 と、言った。


 ジェシカは、

「それは……」

 と、言って、口を閉ざす。


 タツヤは、再び、涙をこらえながら、

「どうしたんだよ……? 言えないことなのかよ……?」

 と、言った。


 ジェシカは、困惑しながら、

「……今は、勤務中だし、話せない。終わってから、ゆっくり話すわ。待ってて」

 と、言った。


 タツヤは、『フランシス王国騎士団』として、ホワイトレミ―と同じように、中世ヨーロッパの剣士が着るような、赤の剣士服と緑のマント姿で、警護(けいご)しているジェシカを、まじまじと見る。


 タツヤは、状況を理解したように、

「……わかった」

 と、了解して、

「あっ、そうだ。俺も話したいことがあるんだ」

 と、思い出す。


 ー今までのことや、現在の状況を話さなきゃ……!! ラフレシアさんに、嘘がバレるけど、もう、いいか。嘘をつき続けるのも、嫌だし。とりあえず、デルタにバレなければ、大丈夫だ。全て話すとしたら、今、このタイミングだ……!! そんな気がする……!!


 タツヤは、ジェシカとラフレシアを、交互(こうご)に見ながら、

「ジェシカ、ラフレシアさん、聞いてくれ……!! 大事な話だ……!! 実はー」

 と、今までのことや、現在の状況を話そうとする。


 その時!!


「おいおい、全部、話す気か? 見損(みそこ)なったぞ」

 と、聞き慣れた声がした。


 タツヤは、後ろを振り向く。

 

 デルタがいた!!


 タツヤは、

「嘘だろっ!? おいっ……!! マジかよ……!!」

 と、驚く!!


 ラフレシアは、驚くと同時に、

「あなた、『レッドブラッド教団』の幹部、『赤魔導士』のデルタね!?」

 と、確認する。


 デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、

「そうだ。おまえは、王女のラフレシアか? 部屋にいなかったから、何処にいるかと思ったら、こんな所にいたのか」

 と、言った。


 ラフレシアは、驚きながら、

「私の部屋に来たの!? 警備のゴンザレスは? 『フランシス王国騎士団』のホワイトレミ―も、警備に当たっていたはず」

 と、言った。


 デルタは、

「ゴンザレス? 誰だ、それ? とりあえず、部屋の前にいた警備員は、殺したぞ。ホワイトレミーは、私と戦って、両腕にヒビが入って、剣が振れない状態だから、今頃、『レッドブラッド教団』のメンバーの手によって、殺されてるだろうな」

と、言った。


 ラフレシアは、

「そんな……!!」

 と、ショックを受けて、落ち込む。


 タツヤは、覚悟を決めて、ラフレシアに視線を送り、

「大丈夫!! 『魔法制御道具』を、仕掛けてあるんですよね!? それなら、デルタは、強い魔法を使えないし、ジェシカもいるし、『玉座の間』には、王を守る、強い側近もいるんでしょ!? その人も呼んで、一緒に戦えば、勝てますよ!!」

 と、言って、鼓舞(こぶ)する!!


 ラフレシアは、(ふる)()ち、

「……そうね!! 王女として、誇り高く、私も戦うわ!! ジェシカさん、『玉座の間』にいる、父の側近のカルロスを呼んで!!」

 と、言って、ジェシカを見る。


 タツヤは、ハッと(ひらめ)いて、

「……そうだ!! ジェシカ、『フランシス王国騎士団』の、カロリーネとクリスも、呼べるか? 今、何処にいるかは、わからないけど、あの二人もいれば、心強いぜ!!」

 と、言って、ジェシカを見る。


 ーそんなこと、できない。


 ジェシカは、下を向いたまま、じっとしている。


 タツヤは、ジェシカに、

「ジェシカ!? どうしたんだよ!? ここで、奴をぶっ倒すぞ!! もう、やるしかない!!」

 と、言って、鼓舞する!!


 ラフレシアも、ジェシカに、

「ジェシカさん!! タツヤの言ってるとおりよ!! もう、戦うしかないわ!! やりましょう!! ここで、デルタを倒しましょう!!」

 と、言って、同じように鼓舞する!!


 ーそんなこと、できない。


 ーだって、私の唯一(ゆいいつ)の家族、お兄ちゃんだもの……!!


 ータツヤ、ラフレシア王女、二人とも、大丈夫よ。殺されることは、ないわ……!!


 ジェシカは、下を向いたまま、じっとしている。


 デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、

「『魔法制御道具』って、あの『水晶玉』のことか? もう、破壊したぞ」

 と、言った。


 ラフレシアは、驚き、半信半疑な様子で、

「嘘よっ……!!」

 と、言った。


 デルタは、

「場所は、この下の階の、廊下に取り付けてある、鏡の中だろ? 『魔法制御道具』って、どんな物かと思っていたが、『水晶玉』だったとは」

 と、言った。


 ラフレシアは、

「嘘!? そんな……当たってる……!! なんで?」

 と、驚愕する!!

 ラフレシアは、続けて、(ふる)える声で、

「で、でも、所有者以外は、破壊できないわ……!! 所有者以外、触ることすらできない……!! 触ると、大ダメージを受けるし」

 と、言った。


 デルタは、

「そうだ。確かに、所有者以外、触ることすらできない。だから、トランス魔法で、所有者の、おまえの姿に化けて、破壊した」

 と、言った。


 ラフレシアは、驚きながら、

「ただのトランス魔法で、化けても、『水晶玉』が、本人と認識しないわ。最上級トランス魔法じゃなきゃ、『水晶玉』が、本人と認識しないわよ……!! でも、最上級トランス魔法は、制御されて、使えないはずよ……!!」

 と、言った。


 デルタは、

「私のような、熟練した魔導士のレベルになれば、ただのトランス魔法でも、一般の魔導士が唱える、最上級トランス魔法と、同じくらいの効果を、発揮(はっき)する。だから、問題なく、『水晶玉』が、本人と認識した」

 と、言った。


 ラフレシアは、

「あぁ、そんな……!! そんな……!! どうして? どうして、場所がわかったの……?」

 と、がっくりと、うなだれる。


 タツヤは、ラフレシアに、かける言葉が見つからず、ただ、黙って、様子を見ることしかできなかった。


 タツヤは、デルタに、

「なんで、場所がわかった?」

 と、ラフレシアと同じ質問をする。


 デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべて、

「その女が教えてくれたのさ」

 と、ジェシカを指差(ゆびさ)した!!


 タツヤとラフレシアは、驚愕しながら、ジェシカを見る!!


 ーそこは、秘密にしておいてよ……!! めんどうなことに、なるわよ? お兄ちゃん……!!


 ジェシカは、まだ、下を向いたまま、じっとしている。


 タツヤは、気が動転しながら、

「う、嘘つくなっ!! ジェシカが、そんなことするかよっ……!!」

 と、言った。


 ラフレシアも、気が動転しながら、

「そ、そうよっ……!! ジェシカさんは、人一倍、『レッドブラッド教団』を恨んでいるのよっ!! 場所を知っていても、教えるわけないじゃないっ!!」

 と、言った。


 ー(つら)いわ。


 ー本当、辛いわ。


 ーこれでも、どういうことなのか、喋っては、いけないの? お兄ちゃん……!!


 ジェシカは、下を向いたまま、申し訳なさそうに、

「ごめんなさい……本当なの……私……『魔法制御道具』の場所、教えちゃった」

 と、言った。


 タツヤとラフレシアは、気が動転したまま、

「は? 嘘だろ……!? なんで……!?」

「ジェシカさん、何、言ってるの?」 

 と、言った。


 デルタは、ジェシカに、

「ご苦労だったな。道を開けろ」

 と、命令する。


 ジェシカは、顔を上げて、デルタに、

「約束は守ってよ」

 と、言って、道を(ゆず)る。


 デルタは、

「ああ、守る」

 と、言って、その道を通ろうとする。


 ラフレシアは、()(ふさ)がって、

「このまま、父の所へは、行かせないわよっ!! タツヤ、急いで『玉座の間』にいる、父の側近のカルロスを呼んで!!」

 と、指示する!!


 タツヤは、

「わかった!!」

 と、言って、ダッシュで『玉座の間』の扉へ!!


 ラフレシアは、(ふところ)から、鍵を取り出し、

「鍵よっ!!」

 と、言って、タツヤへ向けて、鍵を投げた!!


 タツヤは、鍵を受け取り、その鍵で、急いで『玉座の間』の扉を開ける!!


 そのまま、中へと入る瞬間、ジェシカと目が合った!!


 ータツヤ、そんな目で見ないで……!!


 ー私だって、本当は、こんなこと、したくない……!!


 ーでも……!!


 ジェシカは、寂しく、悲しそうな表情を浮かべながら、タツヤへ向けて、何かを言いたそうだった……!!


 タツヤは、『玉座の間』へと入って行く!!

 

 ジェシカは、全身、震えながら、(こぶし)を強く握り締め、流れそうになる涙を、必死で、こらえる!!


 ジェシカは、

「私って、本当に、最低だわ……!!」

 と、言って、我慢できずに、両手で顔を(おお)ってしまった!!


 ラフレシアは、(ただ)ならぬ、ジェシカの様子を見ながら、

「ジェシカさん? 一体、何がどうなってるの?」

 と、混乱する!!


 デルタは、その(すき)に、右手を、ラフレシアの前に出し、最上級眠り魔法『ストロングスリ―プ』を、唱える!!


 ラフレシアは、倒れ込み、まるで、死んでしまったかのように、眠りについた!!


 デルタは、両手で顔を覆って、立ち尽くしてる妹に、

「……すまない。辛い思いばかりさせて」

 と、優しく、(なぐさ)めの言葉をかけた。






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