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追憶の第36話 本当なの? いつもの食堂風景? 対処? 逸材? 暗殺実行? 囮? 私が殺る? 眠り魔法? パトロールの確認? 胸騒ぎ? ラフレシアから聞き出せ2? 城から離れさせろ? 自己嫌悪?

 ジェシカは、目が覚める。


 仮眠用のベットから、起き上がる。


 ホワイトレミーは、任務に戻ったようで、いなかった。


 ー任務に戻らなきゃ。


 ジェシカは、『フランシス王国騎士団』の、控え室から出る。


 深夜ということもあり、(わず)かなロウソクの照明だけで、暗く、就寝時間だからか、静かで、人の気配を感じない。


 ジェシカは、再び、警備(けいび)として、城の廊下を見て回る。


 特に、何か起きる様子は、なかった。


 ー今のところ、襲撃(しゅうげき)はなく、王様の暗殺は、なさそうね。


 ジェシカは、それを喜んでいいのか、どうか、わからない、複雑な気持ちのまま、警備を続けた。


 夜が明けて、早朝、朝へと変化する。


 廊下の窓から、太陽の光が差し込み始める。


 ジェシカは、警備の交代のため、再び、『フランシス王国騎士団』の、控え室へと戻ろうとする。


 同じく、ホワイトレミーも、警備の交代のため、控え室へと戻ろうと、やって来る。


 ジェシカは歩きながら、ホワイトレミ―に、

「どう? 特に何もなかった?」

 と、警備の確認をする。


 ホワイトレミ―は、歩きながら、

「何もなかったわ」

 と、答える。


 ジェシカは、歩きながら、

「これで、今日の任務は終了ね」

 と、言った。


 ホワイトレミ―は、歩きながら、

「そうね」

 と、答える。


 ジェシカとホワイトレミ―は、そのまま無言で、『フランシス王国騎士団』の、控え室の扉の前へ。


 ジェシカが、扉を開けようとした時、ホワイトレミーが、

「あのさ、ちょっと、聞きたいんだけど」

 と、口を開く。


 ジェシカは、不思議そうに、

「何? どうしたの?」

 と、言った。


 ホワイトレミ―は、

「仮眠室で、(ひと)(ごと)を、言ってたよね? もうすぐ、ここが襲撃されて、王様が暗殺されるって。本当なの?」

 と、聞く。


 ー嘘!? 聞かれてた!?


 ジェシカは、驚いて、戸惑(とまど)いを隠しながら、

「ただの(うわさ)よ。デマだと思うから、気にしなくていいわ」

 と、答える。


 ホワイトレミ―は、

「それならいいけど……」

 と、言って、続けて、

「でも、デマとは思えないくらい、本当に起きそうな感じで、言ってたわよ」

 と、言った。


 ジェシカは、

「えっと、それは……」

 と、言って、言葉に()まる。


 その時、カロリーネとクリスが、プライベートの格好で、やって来る。


 カロリーネは、中世ヨーロッパの庶民が着るような、白のワンピースドレス姿で。


 クリスは、中世ヨーロッパの庶民が着るような、黒のワンピースドレス姿で。


 カロリーネは、不思議そうに、

「あれ? どうしたの?」

 と、聞く。


 クリスも、不思議そうに、

「もう、交代の時間よ。何してるの?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「なんでもない。さぁ、交代の引き継ぎをしましょ」

 と、言って、控え室の扉を開けて、中へと入る。


 ホワイトレミーは、ジェシカの様子を観察しながら、後へと続く。


 ジェシカとホワイトレミ―は、カロリーネとクリスへ、交代の引き継ぎをする。


 ジェシカは、マリアレーヌに借りた服へと、着替える。


 ジェシカは、中世ヨーロッパの上流階級が着るような、緑色のブラウス(女性用シャツ)と、白のドレス姿になった。


 ホワイトレミ―は、中世ヨーロッパの上流階級が着るような、黒色のブラウス(女性用シャツ)と、オレンジ色のスカート姿になる。


 ジェシカは、

「じゃあ、後は頼むわね」

 と、言って、控え室から出る。


 ホワイトレミ―も、ジェシカの後に続いて、控え室から出る。


 ジェシカは、『食堂』へと向かう。


 後を追うように、ホワイトレミ―も『食堂』へ。


 ジェシカは、後ろからついてくる、ホワイトレミ―に向かって、

「レミ―も、これから、『食堂』へ行くの?」

 と、聞く。


 ホワイトレミ―は、

「そうよ」

 と、返事をする。


 ジェシカとホワイトレミーは、『食堂』の中へと入る。


 長い木のテーブルが置かれており、それを(はさ)んで、向かい合うように、複数の木の椅子が置かれている。


 そこで、カルロスと数人の客が、食事をしていた。

 

 カルロスは、(はがね)(かぶと)をかぶり、鋼の(よろい)姿で、剣を背中に装着している。


 ジェシカとホワイトレミ―は、カルロスに軽く挨拶(あいさつ)をして、一緒に席に着いて、料理を注文する。


 カルロスは、無愛想(ぶあいそう)に反応するだけで、黙々(もくもく)と食事を続ける。


 ホワイトレミ―は、

「さっき、話してたことなんだけど……」

 と、口を開く。


 ジェシカは、

「ただのデマよ。気にしすぎよ」

 と、言った。


 ホワイトレミ―は、

「……そうね。私、気にしすぎかな?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「うん。気にしすぎよ。レミ―らしくないわ」

 と、答える。


 料理が運ばれてくる。


 魚料理中心で、飲み物はワイン。


 ジェシカとホワイトレミ―は、ワインに口をつける。


 ホワイトレミ―は、

「でも、もし、それが本当だったとしても、私やジェシカやマリアレーヌもいるし、城の兵士もたくさんいるし、特殊な制御道具も仕掛けてあるし、王様には、カルロスもついてるし、対処(たいしょ)できそうね」

 と、言った。


 ジェシカは、

「そ、そうね」

 と、相槌(あいづち)を打つ。


 ーこの状況だと、暗殺、失敗するかもしれない。


 ジェシカは、それを喜んでいいのか、どうか、わからない、複雑な気持ちのまま、食べ始める。


 ホワイトレミ―も、食べ始める。


 ジェシカとホワイトレミーは、特に会話をせずに、黙々と食事を続ける。


 ホワイトレミーは、食事を終えて、立ち上がり。

「それじゃ、また、次の勤務で」

 と、言って、さっさと『食堂』から出て行く。


 ーまた、カジノね。あんなの、何が、おもしろいのかしら?

 

 ジェシカも、食事を終えて、立ち上がり、『食堂』から出て行く。


 ジェシカは、いつものように、城の『図書館』で、何冊か、本を読んだ後、城から出て、マルコの家へと戻ることにした。


 ーそういえば、お兄ちゃん、タツヤに会いに行くって、言ってたけど、どうなったかな? パトロールから、なかなか戻って来なくて、タツヤは、心配してたかな?


 ジェシカは、マルコの家に着く。


 家の出入り口の扉を開けようとした時、後ろから、

「どうだ? 調子は?」

 と、聞き慣れた声がした。


 ジェシカは、振り向く。


 デルタがいた。


 ジェシカは、特に驚きもせず、

「お兄ちゃん……」

 と、言って、続けて、

「タツヤは、どうだった?」

 と、聞く。


 デルタは、

「ルミナスが、選別しただけのことは、あるな。私の側近に、ふさわしい逸材(いつざい)だ。今は、役に立ちそうにないが」

 と、答える。


 ジェシカは、

「そうなんだ」

 と、言って、続けて、心配そうに、

「本当に、暗殺するの? 状況的に難しいわよ」

 と、言った。


 デルタは、

「大丈夫だ。心配しなくていい」

 と、言って、続けて、

「ラフレシアから、制御道具の場所、聞き出せたか?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「まだよ。考えてみるとは、言ってたけど」

 と、答える。


 デルタは、

「今日の夜、暗殺を実行する」

 と、言って、続けて、

「それを伝えにきた」

 と、言った。


 ジェシカは、

「えっ!? もう、やるの?」

 と、戸惑う。


 デルタは、

「ああ。こういうのは、早い方がいい。神を、待たせたくない。神は、早く、王が死ぬのを、見たがってる」

 と、言って、続けて、

「もう、すでに、情報を流した」

 と、言った。


 ジェシカは、

「どんな情報?」

 と、聞く。


 デルタは、

「今夜、『レッドブラッド教団』が、王女や、城の女性達を、レイプしようと襲いに来るって、情報だ」

 と、言った。


 ジェシカは、

「それって、本当なの?」

 と、聞く。


 デルタは、

「嘘の情報だ。(おとり)として使う。王女は、そいつらを()らえようと考え、先回りして、城の兵士達を、そいつらのアジトへと、向かわせるだろう」

 と、答えて、続けて、

「だが、そのせいで、城の警備が手薄になる。そこを襲撃して、王を暗殺する」

 と、言った。


 ジェシカは、

「『フランシス王国騎士団』の、ホワイトレミ―と、マリアがいるわ。マリアは、城の部屋を借りて、そこに住んでるし。カロリーネ、クリス、エリザは、街へのパトロールに出てると、思うけど」

 と、言って、続けて、()(くわ)えるように、

「王様の側近の、カルロスもいるわよ」

 と、言った。


 デルタは、

「『フランシス王国騎士団』は、殺すことはできるが、めんどうだな。時間をかけたくない。城の警備から、街へのパトロールに、変更させることは、可能か?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「難しいわ。マリアとレミーには、これ以上、私らしくない行動を、見せたくない。問い詰められたら、ボロを出してしまいそう」

 と、答えて、

「特に、レミ―には、これ以上、変な行動を起こすと、まずい」

 と、言った。


 デルタは、

「そうか。なら、ホワイトレミ―は、私が片付ける」

 と、言って、続けて、

「マリアレーヌを、どうにか、城から離せないか?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「やってみるけど、期待はしないで」

 と、答える。


 デルタは、

「では、今度は、城で」 

 と、言って、続けて、

「それまでに、ラフレシアから、制御道具の場所を聞き出せ。ルミナス、おまえなら、できる。なぜならー」

 と、言いかける。


 ジェシカは、その先の言葉を(さえぎ)るように、

「妹だからって、言うんでしょ? 難しいけど、聞き出してみせるわ」

 と、言った。


 デルタは、

「頼んだぞ」

 と、言って、去ろうとする。


 ジェシカは、

「あっ、待って」

 と、デルタを()()めて、

「タツヤは、中にいるの?」

 と、聞く。

 

 デルタは、

「いるぞ」

 と、答えて、続けて、

「寝ていたから、そのまま、眠りの魔法をかけた。夜には、体力全快(たいりょくぜんかい)で、起きるだろう。私の側近として、全力で動いてもらいたいからな」

 と、言った。


 ジェシカは、

「それなら、起こさない方がいいわね。城に戻るわ」

 と、言って、家の中へは入らずに、引き返す。


 ジェシカは、城へと戻る。


 時間は、夕方へと変化していた。


 夕日の光が、城を照らす。


 ジェシカは、『フランシス王国騎士団』の控え室に行き、『フランシス王国騎士団』の制服へと着替えて、同じく、一足先(ひとあしさき)にいた、ホワイトレミーと一緒に、警備の交代の準備をする。


 カロリーネとクリスが、制服姿で、控え室の中へと入ってくる。


 ジェシカは、カロリーネとクリスに、

「ご苦労さま」

 と、ねぎらいの言葉をかけて、

「今日は、夜のパトロールも、入ってるんだよね?」

 と、確認する。


 カロリーネは、

「うん」

 と、(うなず)く。


 クリスは、

「疲れるわ」

 と、言って、続けて、

「でも、明日はオフだから、嬉しい」

 と、言って、笑みを浮かべる。


 ジェシカは、カロリーネとクリスに、

「エリザも、夜のパトロールが、入ってるんだよね?」

 と、確認する。


 カロリーネは、

「そうよ」

 と、答える。


 クリスは、カロリーネに、

「そういえば、エリザ、おいしいクレープの店、見つけたとか言ってたわね。パトロール休憩に、行ってみましょ」

 と、言って、笑みを浮かべる。


 ーやっぱり、街へのパトロールが入ってるわね。これで、残りの問題は、マリアか。


 ジェシカは、考える素振(そぶ)りをする。


 ホワイトレミ―は、様子をうかがうように、ジェシカを見ていた。


 ジェシカとホワイトレミ―は、交代の引き継ぎをして、控え室から出る。


 ホワイトレミ―は、

「ジェシカ、今日は、いつも以上に、しっかりと警備しましょ」

 と、言った。


 ジェシカは、不思議そうに、

「急にどうしたの?」

 と、聞く。

 

 ホワイトレミ―は、

「なんか、胸騒(むなさわ)ぎがするの」

 と、答えた。


 ジェシカとホワイトレミ―は、それぞれの担当の警備エリアへと、向かう。


 ジェシカは、早足(はやあし)で、城の廊下を警備しながら、再び、王女のラフレシアの部屋を、訪れる。


 部屋の扉の前で、警護(けいご)している、ゴンザレスが、

「またか? ちょっと、待ってろ」

 と、言って、前と同じように、部屋へと入って、扉を閉める。


 ー夜には、襲撃が始まる……!! 今、ラフレシア王女から、特殊な制御道具の場所を、聞き出さないと……!!


 ジェシカは、(あせ)りながら、待つ。


 扉が開いて、ラフレシアが出て来る。


 前と同じ、中世ヨーロッパの上流階級が着そうな、優雅(ゆうが)な白のロングドレス姿のままで。


 ラフレシアは、

「ちょっと、入って」

 と、言った。


 ジェシカは、部屋へと入る。


 部屋の中は、中世ヨーロッパの優雅な雰囲気を、(かも)し出していた。

 

 白の大きなベッド。

 

 天井には、白のシャンデリア。

 

 茶色のテーブルと茶色の椅子。

 

 その茶色のテーブルの上に紅茶。

 

 白い壁。

 

 その白い壁に飾ってある、複数の絵画。

 

 隅には、茶色のオルガン。


 ラフレシアは、そばにいるゴンザレスに、「下がって」と言って、部屋から出るように(うなが)す。


 ゴンザレスは、部屋から出て行く。


 ラフレシアは、椅子に座り、「座って」と言って、ジェシカにも、椅子に座るように促す。


 ジェシカは、椅子に座って、ラフレシアと、テーブルで向き合う。


 ラフレシアは、

「ジェシカさんの情報、本当だったわ」

 と、言った。


 ジェシカは、

「この城が、襲撃されるという情報ですか?」

 と、確認する。


 ラフレシアは、

「そうよ。正確には、今夜、『レッドブラッド教団』が、私や、この城の女性達を、レイプしようと襲いに来るって、情報よ」

 と、答えて、続けて、

「だから、先回りして、城の兵士達を、その『レッドブラッド教団』が集結している、アジトへと向かわせるわ」

と、言った。


 ーお兄ちゃんの読み通りね。


 ジェシカは、兄の読みに感心する。


 ラフレシアは、不安そうな様子で、

「それで、言ってたじゃない? 仕掛けてある場所が、バレているかもしれないって」

 と、言った。


 ジェシカは、

「はい。言いました」

 と、相槌を打って、

「バレている場合の対処(たいしょ)を、考えておいた方がいいです。私に、制御道具の場所を、教えてください」

 と、お願いをする。


 ラフレシアは、不安そうな様子で、

「ジェシカさんなら、大丈夫だと思うけど、絶対に、誰にも言わないで……!!」

 と、言って、続けて、

「いいわね?」

 と、念を押す。


 ジェシカは、

「はい。わかりました」

 と、返事する。


 ラフレシアは、

「場所は、『玉座(ぎょくざ)()』の下の階の、廊下に取り付けてある、(かがみ)の中よ」

 と、言って、続けて、

「その中に、『魔法制御道具』として効果がある、『水晶玉(すいしょうだま)』を仕掛けてあるわ」

 と、言った。


 ーやった!! 聞けた!!


 ジェシカは、喜びの感情を、(さと)らせないようにしながら、

「……そうですか。今も、そこに、あるんですね? 確認はしましたか?」

と、聞く。


 ラフレシアは、

「ええ。あるわよ。ちゃんと、確認したわ」

 と、答える。


 ジェシカは、

「では、バレていた場合の、対処方法を、考えましょう」

 と、言って、続けて、

「まず、思いつくのは、場所を変えることだと、思うんですが、できますか?」

 と、聞く。


 ラフレシアは、

「やろうとしたけど、いい場所がないのよ。所有者(しょゆうしゃ)以外の人が(さわ)ると、大ダメージを()うから、誰かが、見つけてしまって、うっかり、触ることがないように、場所には、本当に気を使うわ」

 と、言って、()(いき)をつく。


 ジェシカは、

「そうですか。本当に、所有者以外の人が、触ると、大ダメージを負うんですか?」

 と、確認する。


 ラフレシアは、

(ため)してないけど、本当だと思うわ。私が、父から、(ゆず)り受ける前の話だけど、うっかり触って、死んでしまった人の記録が、書物(しょもつ)に、残されていたわ」

 と、答える。


 ー場所だけでなく、この情報も、お兄ちゃんに、知らせておかないと……!!


 ジェシカは、(あわ)てず、落ち着いて、話すことを、心掛(こころが)けながら、

「そうですか。では、移動することは、考えないで、他の対処方法を、考えましょう」

 と、言った。


 だが、他の対処方法なんて、まったく思いつかなかった。


 ー場所もわかったし、これ以上、ここにいても、意味ないわね。


 ジェシカは、申し訳なさそうに、

「すみません。一旦(いったん)、警備へと、戻っても、いいですか? また、(うかが)いますので」

 と、言った。


 ラフレシアは、

「いいわよ。でも、なるべく早く、戻ってきて」

 と、言って、続けて、

「やっぱり、専属警備員(せんぞくけいびいん)が、欲しいわね」

 と、言った。


 ジェシカは、

「ゴンザレスは?」

 と、聞く。


 ラフレシアは、

「私が、求めている人ではないわ」

 と、答えて、続けて、

「この人だ!! と、思える人がいないのよね」

 と、言った。 


 ジェシカは、

「いつか、現れるといいですね」

 と、言って、部屋から出た。


 ーあと、私が、しなければならないのは、マリアを城から、離れさせること……!! そろそろ、夜になる……!! 早くしないと……!!


 ジェシカは、早足で、マリアレーヌの部屋へと行く。


 そのまま、扉をノックする。


 扉が開いて、マリアレーヌが出てくる。


 前と同じ、中世ヨーロッパの上流階級が着るような、水色のブラウス(女性用シャツ)と、青色のドレス姿のままで。


 マリアレーヌは、ジェシカの格好を見ながら、不思議そうに、

「まだ、勤務中だよね? 一体どうしたの?」

 と、聞く。


 ジェシカは、

「マリア、これから、街のパトロール、行ける? 今日は、『レッドブラッド教団』の動きが、活発なの。気になるから、パトロールついでに、(さぐ)ってもらいたいの」

 と、お願いをする。


 マリアレーヌは、

「確か、今日は、カロリーネやクリスやエリザが、パトロールする予定だよね? その三人に、頼めば?」

 と、言った。


 ジェシカは、

「三人だけじゃ、不安なの。マリアも、お願い」

 と、再び、お願いをする。


 マリアレーヌは、

「いいけど、次の日、オフにしてよ」

 と、要求(ようきゅう)する。


 ジェシカは、

「いいわよ。マリアは、次の日、オフね。私が変わりとして、勤務するわ」

 と、承諾(しょうだく)して、

「次の日って、何処を警備する予定なの?」

 と、聞く。


 マリアレーヌは、

「『カジノ』よ」

 と、答える。


 ジェシカは、

「じゃあ、私が、変わりとして、『カジノ』の警備をするわね」

 と、言った。


 マリアレーヌは、観念(かんねん)した様子で、

「……しょうがない。突然で、あまり、やる気がでないけど、やるわ」

 と、承諾する。


 マリアレーヌは、そのまま、制服に着替えるために、『フランシス王国騎士団』の控え室へと、向かった。


 ーこれで、マリアも、城から離れる。とりあえず、これで、私の役目は終わりね。


 ジェシカは、廊下の窓を眺める。


 夜の風景へと、変わっていた。


 ーこんなことしてる自分が、情けない……。自分のこと、嫌いになりそう……!!


 ジェシカは、自己嫌悪(じこけんお)(おちい)って、溜め息をついた。

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