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追憶の第34話 ー雨、ジェシカ、最大の選択ー 死刑? 家族? 親しい人達? 二択? 言葉が出てこない? 二名? 離れて、繋がりが、切れてしまっても? 神に祈る? 協力? ガンテ? ルミナス?

 ジェシカは、驚きながら、

「本当に? 嘘はやめてよ……!?」

 と、確認する。


 デルタは、流血している首をおさえながら、

「本当だ。王を暗殺できたのなら、『レッドブラッド教団』を辞めて、仲間になってやる」

 と、同じことを繰り返し言った。


 ジェシカは、警戒心を強めて、

「信じられない……!! きっと、裏切るわ……!!」

 と、言った。


 デルタは、流血している首をおさえながら、

「大事な妹の、一生に一度のお願いだ。兄として、裏切るつもりはない」

 と、言った。


 雨が、ポツリ、ポツリ、と、降り始める。

 

 ジェシカは、困惑しながら、

「……こんなことに、なるなんてね。絶対、断ると思ってたから、ちょっと、混乱してる」

 と、言って、続けて、

「考える時間をちょうだい。今すぐ答えは、出せないわ」

 と、お願いをする。


 デルタは、流血している首をおさえながら、

「今、答えを出してもらいたい。王の暗殺は、近い日に(おこな)われる。イエスならいいが、ノ―だった場合に(そな)えて、早めに、準備しておきたい」

 と、言った。


 雨が、ザァーと、本降りとなる。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「本当にする気なんだ……」

 と、(つぶや)き、

「もし、それに協力したら、私、死刑になるかも。兄として、それでいいの?」

 と、聞く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「心配するな」

 と、言って、流血している首をおさえるのを止めて、強い口調で、

「兄として、たとえ、妹が死刑になったとしても、必ず助けに行く!! 必ずだ!! 判決を(くだ)した奴も、刑を実行する奴も、みんな、殺してやる!!」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「……殺しは駄目よ。でも、その気持ちは、妹して、嬉しいわ」

 と、言って、続けて、

「もし、私が協力したら、約束してほしいの。この先、私の親しい人は、絶対に殺さない、と」

 と、お願いをする。


 デルタは、雨に打たれながら、

「……それも、妹としてのお願いか?」

 と、聞く。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「ええ、そうよ」

 と、答える。


 デルタは、雨に打たれながら、

「お願いは、ひとつだけだ。いくら、兄とはいえ、二つも、聞くことはできない」

 と、言って、続けて、

「どちらか選べ。兄である私を、『レッドブラッド教団』から、辞めさせて、仲間にするか? 親しい人達を、この先、殺させないか?」

 と、聞く。


 ジェシカは、雨に打たれながら、考えを(めぐ)らせる。


 ー生き残ってる、唯一(ゆいいつ)の家族である兄か? それとも、親しい人達か? どちらを、選べばいいんだろう?


 頭の中で、思い浮かんだのは、親しい人達だった。


 『フランシス王国騎士団』のみんな、ラフレシア王女、そして、この先の恋愛を予感してる相手、タツヤ。


 ー迷う必要なんてない。親しい人達に決まってる。


 ーでも。


 ーでも……!!


 ーでも、私の、唯一の家族である兄、お兄ちゃんと呼べる相手、憧れていた家族を、手放(てばな)しにして、いいの? 今、選ばなければ、この先、また、殺し合うことに、なるかもしれない……!!


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「私は……私は……」

 と、言いかけるが、次の言葉が、出てこない。


 デルタは、雨に打たれながら、

「迷いが強いな。おまえにとって、家族とは、なんだ? その親しい人達よりも、下の存在か? 私は、家族こそ、一番大事な存在だと思うが」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「……私にとって、家族も、親しい人達も、同じぐらい、大事な存在よ……!!」

 と、言った。


 デルタは、雨に打たれながら、

「そうか。ならば、親しい人達の中から、殺さないでほしい人を、選別しろ。二名だけなら、この先、殺さないことを、約束する」

 と、提案(ていあん)する。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「お願いが、二つになってしまうけど、いいの?」

 と、聞く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「しょうがない。このままだと、答えが()そうにないからな」

 と、言って、続けて、

「妹のお願いとして、聞いてやれるのは、私が、『レッドブラッド教団』を辞めて、仲間になるのと、この先、親しい二名だけは、殺さないことだ。いいか?」

 と、聞く。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「いいわ」

 と、(うなず)く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「それで、その二名は誰だ?」

 と、聞く。


 ジェシカは、再び、考えを巡らせる。


 ー『フランシス王国騎士団』のみんなは、そう簡単に殺されないはず。今、この場で、お願いをしておかないと、殺されてしまう可能性が、高い人を選ばないと。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「……ラフレシア王女とタツヤ」

 と、答える。


 デルタは、雨に打たれながら、

「ラフレシア王女は、わかるが、タツヤって何者だ?」

 と、聞く。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「『異世界召喚』されて、日本という国から、この国に、やってきた人よ」

 と、答える。


 デルタは、雨に打たれながら、

「ほぅ。興味深いな。会ってみたい。何処にいる?」

 と、聞く。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「マルコの家よ。今は、寝ていると思うけど」

 と、答える。


 デルタは、雨に打たれながら、

「おまえが、選別した人間だ。私の側近に、ふさわしいか、どうか、見てみたい。この後、会いに行ってみるとしよう」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「ラフレシア王女と、タツヤは、この先、本当に、大丈夫なのね?」

 と、確認する。


 デルタは、雨に打たれながら、

「ああ。殺さない。心配しなくていいぞ」

 と、答える。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「良かった」

 と、安心する。


 デルタは、雨に打たれながら、

「王の暗殺に、協力すればの話だ。協力すれば、兄として、お願いを聞くが、協力しなければ、なしだ」

 と、言って、続けて、

「協力するんだな?」

 と、確認する。 


 ジェシカは、雨に打たれながら、考える素振(そぶ)りをして、

「……迷ってる。とても、今、この場で、答えられそうもない」

 と、言って、続けて、

「もし、協力するとしたら、私は、何をするの? 具体的に教えて」

 と、聞く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「ラフレシア王女から、城の内部に仕掛けてある、特殊な制御道具の場所を、聞き出してほしい」

 と、答える。


 ジェシカは、雨に打たれながら、不安そうに、

「難しいわ。聞き出せないかも」

 と、言った。


 デルタは、雨に打たれながら、

「それなら、願いごとは、聞けないな」

 と、言って、続けて、

「難しいことだが、必ず聞き出せ。おまえなら、できるはずだ。私の妹だからな」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「まだ、協力するとは、言ってないわ」

 と、言って、続けて、不安そうに、

「王様の暗殺に、協力したなんてことが、みんなに知られたら、私はー」

 と、言いかけて、黙る。


 デルタは、雨に打たれながら、代弁(だいべん)するかのように、

「すべてを失うとでも、言いたいのか?」

 と、言って、続けて、(さと)すように、

「それがどうした? その変わりに、おまえには、家族が手に入る。家族と言っても、兄の私だけだが。それでも、唯一の血を分けた、家族だ……!! たとえ、おまえの親しい者達が、離れて、繋がりが切れてしまっても、家族の繋がりが、切れることはない……!! 永遠にな。それが、家族だ!!」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、黙って、デルタをじっと見る。


 デルタは、雨に打たれながら、()(くわ)えるように、

「それに、親しい二名の命は、この先、ずっと、守られる。他の者は、殺されるかもしれないが、ラフレシア王女とタツヤが、殺されることはない」

 と、言って、続けて、

「さぁ、決めろ!! 協力するのか? 協力しないのか? どっちだ?」

 と、決断を迫る。


 ジェシカは、雨に打たれながら、天を見上げる。


 そして、両膝をつき、両手を合わせて、神に祈るような姿勢をとり、

慈悲深(じひぶか)き神よ、どうか、(あわ)れな私を、お救いください」

 と、祈った。


 デルタは、ジェシカを、じっと見る。


 ジェシカは、雨に打たれたまま、立ち上がる。


 そして、下を向いたまま、小さな声で、

「……協力する」

 と、言った。


 デルタは、雨に打たれながら、同情した様子で、

「辛い決断だが、おまえのその決断が、この先、必ず、(むく)われるように、私も、神に祈ろう」

 と、言って、続けて、

「本当にいいんだな? もう、後戻りは、できないぞ」

 と、最終確認をする。


 ジェシカは、雨に打たれながら、下を向いたままの状態で、

「……うん」

 と、頷く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「それでこそ、()が妹だ」

 と、(ほこ)るように言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「ねぇ、ふと、思ったんだけど、生き別れる前の、私の名前って、なんだったの?」

 と、聞く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「ルミナスだ。デルタ・ルミナス。おまえの本当の名だ」

 と、答える。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「あなたは? いや、お兄ちゃんは、なんていう名前なの?」

 と、聞く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「ガンテだ。デルタ・ガンテ」

 と、答える。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「私のこと、おまえではなく、ジェシカって呼ぶか、それか、そのルミナスっていう名前で、呼んで」

 と、お願いをする。


 デルタは、雨に打たれながら、

「では、本当の名である、ルミナスって呼ぶことにする。私のことは、デルタでも、ガンテでも、お兄ちゃんでも、好きに呼べ」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「じゃあ、お兄ちゃんで」

 と、言った。


 デルタは、雨に打たれながら、

「これからは、ジェシカって名乗らずに、ルミナスって、名乗れ。おまえの本当の名だから」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「みんな、混乱するわ」

 と、言った。


 デルタは、雨に打たれながら、

「それがどうした? デルタ一族の最後の名だ。堂々(どうどう)と、誇りを持って、名乗れ!!」

 と、言って、続けて、

「それに、暗殺の協力が知られたら、みんな、離れて、繋がりが切れると、考えてるんだろ? だったら、そんなこと、気にする必要が、あるか?」

と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「……そう言われても、今まで、ジェシカって、呼ばれてきたし。いきなり、ルミナスって言われても、慣れてなくて、気持ち悪いわ」

 と、言った。


 デルタは、雨に打たれながら、

「最初だけだ。徐々(じょじょ)に慣れてくる。これから、おまえは、ジェシカではなく、ルミナスだ……!!」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「じゃあ、お兄ちゃんが、『レッドブラッド教団』を辞めて、私の兄として、仲間になって、私が生きてたら、ルミナスって、名乗るわ」

 と、言って、付け加えるように、

「その時には、私、死刑になって、この世に、いないかもだから」

 と、言って、苦笑(くしょう)する。


 デルタは、雨に打たれながら、

「そんなことは、考えなくていい」

 と、言って、続けて、

「そろそろ、話を終わりにしよう。これまで、話したことは、誰にも言うな。話すと、めんどうなことを、引き寄せそうだから」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「ずっとじゃないよね? いつまで、黙ってればいいの?」

 と、聞く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「王の暗殺が実行されるまでだ。その後なら、話してもいいだろう」

 と、答えて、続けて、

「では、これで、話は終わりだ。次、会う時は、暗殺の当日(とうじつ)だ。それまでに、ラフレシア王女から、制御道具の場所を、聞き出してほしい」

 と、お願いをする。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「わかった」

 と、頷いて、続けて、

「首の怪我、大丈夫なの? たぶん、首の内側を斬ったと、思うんだけど」

 と、聞く。


 デルタは、雨に打たれながら、

「左手で、回復液体薬草を、()り続けていたから、大丈夫だ」

 と、言った。


 ジェシカは、雨に打たれながら、

「流血した首を、おさえながら、回復液体薬草を、塗り続けていたってことね?」

 と、確認する。


 デルタは、雨に打たれながら、

「そうだ」

 と、答えて、

「では、当日に会おう」

 と、言って、去って行く。


 ーなんか、もう、いろいろ衝撃的すぎて、飲まないと、やってられないわね。


 ジェシカは、雨に打たれたまま、びしょ()れの姿で、深夜営業している、酒場へと向かった。


 タツヤが待っている、マルコの家には、戻る気が起きなかった。


 ジェシカは、酒場に入って、客席に座り、酔い潰れるまで、ワインを飲み続けた。


 その頃、タツヤは、デルタに(おど)され、ジェシカを守るために、『レッドブラッド教団』に入ろうと、深夜の殺人テストに参加する、なんてことは、知る(よし)もなかった……!!

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