追憶の第33話 ジェシカ VS デルタ? 戦争? デルタ一族? 魔王側と勇者側? 子供時代? 火あぶりの刑? 伝統のナイフ? 忠誠? 環境? 協力? ひとつの願い? 一生に一度? 驚愕の展開?
ジェシカは、デルタの胸目掛けて、ナイフを、横から水平に素早く振る!!
デルタは、それを、ギリギリのところで、かわす。
だが、完全には、かわせず、ジェシカのナイフが、デルタの胸をかすめて、血が、地面に飛び散る。
デルタは、
「ぐっ」
と、言って、後ろに下がる。
ジェシカは、追い打ちをかけるように、素早く前進して、今度は、デルタの首目掛けて、ナイフを、横から水平に素早く振る!!
デルタは、かわそうとするが、間に合わず、ジェシカのナイフが、スパッという音を立てて、デルタの首の内側部分を斬った!!
血が、地面に飛び散って、デルタの首の内側部分は、流血する!!
デルタは、再び、後ろへ下がり、
「クソッ!!」
と、言って、流血した首の内側を、左手でおさえて、右手をジェシカの前に出し、素早く衝撃魔法を唱える!!
ジェシカは、素早く両手を交差して、防御の姿勢をとりながら、中央の大きな噴水がある所まで、吹き飛ぶ!!
キキィィィィィという靴底と地面の摩擦音が鳴り続け、噴水にぶつかって、背中を強打してしまう寸前に、ジェシカの体は、ピタリと止まる!!
ー危なかった……!! 防御して正解だった……!!
ジェシカは、再び、攻撃の構えをとる!!
デルタは、左手で、流血している首をおさえながら、
「……さすが、我がデルタ一族のナイフだ。そして、さすが、我が妹。致命傷には、なっていないが、首を斬られたのは、初めてだ……!!」
と、感心する。
ジェシカは、否定するように、
「私のこと、妹呼ばわりしないでくれる? あんたの妹になんて、なりたくないから」
と、言った。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「事実を受け入れろ。おまえは、私の妹だ!! 生き別れた妹との再会を、神に感謝しなければ」
と、感慨深そうに言った。
ジェシカは、
「なんで、生き別れたの?」
と、聞く。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「大雑把に言えば、戦争だ。知ってるだろ? 昔、『異世界召喚』された勇者と、魔王との戦いを。我がデルタ一族は、魔王側に協力して、共に戦った。その後、魔王側は滅び、我がデルタ一族は、勇者側に追われ、私とおまえ以外は、殺された」
と、言って、続けて、
「私とおまえは、子供ながらも、身を隠して、なんとか、生き長らえてきたが、ある日、勇者側に捕まり、おまえは、勇者側に引き取られ、私は、『火あぶりの刑』にされた。その時、私は、おまえに、デルタ一族の伝統のナイフを渡した。私が死んでも、デルタ一族の血を、絶やさぬように」
と、言った。
ジェシカは、
「……それが事実だとして、どうして、あなたは、『火あぶりの刑』になって、生きてるの?」
と、聞く。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「『火あぶりの刑』が実行される直前、『レッドブラッド教団』が乱入してきて、勇者側の人間を皆殺しにして、私は助けられた。その時、私は、助けられた恩として、『レッドブラッド教団』に、忠誠を誓った」
と、言って、続けて、
「その後のことは、知ってるだろ? 『レッドブラッド教団』の手によって、魔王を倒した勇者は殺され、新たな勇者として、『異世界召喚』された人間も、みんな殺された。『レッドブラッド教団』が、この国を、掌握することになった」
と、言った。
ジェシカは、否定するように、
「……一応、話の筋は通ってるけど、それでも、私は、あなたのことを、兄とは呼びたくない。兄だなんて、思いたくもない」
と、言った。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「昔は、もっと、聞き分けがいい子だったんだが、変わってしまったな。環境のせいか?」
と、言って、続けて、
「どうやら、環境を変える必要があるな。『フランシス王国騎士団』とかいうママゴトは辞めて、『レッドブラッド教団』に入れ!! 私の妹として、私の側近として、そばにいろ!!」
と、誘う。
ジェシカは、否定するように、
「嫌よ。断る。それに、『フランシス王国騎士団』は、ママゴトじゃないわ。あなたの方こそ、私の兄と名乗るなら、頭がおかしい『レッドブラッド教団』なんか、さっさと辞めてよ」
と、言って、続けて、
「さっさと辞めれば、お兄ちゃんって、呼んであげる」
と、言った。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「どうやら、おまえには、時間をかけて、いろいろと話をする必要があるな。殺し合いをしてる場合ではない。何もしないから、ナイフをしまえ」
と、言って、続けて、
「とりあえず、妹として、協力しろ。協力すれば、兄として、ひとつ、お願いを聞いてやる」
と、言った。
ジェシカは、ナイフをしまわずに、握ったまま、困惑した様子で、
「あなたの言うこと、どこまで、信じていいの?」
と、聞く。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「全部だ。おまえは、大事な妹だ。兄として、嘘はつかないことを、今、この場で約束する……!!」
と、言った。
ジェシカは、考える素振りをして、
「……いいわ。とりあえず、ナイフは、しまってあげる」
と、言って、デルタ一族の伝統ナイフをしまう。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「よし。次は、妹として、協力しろ。協力すれば、兄として、ひとつ、お願いを聞いてやる」
と、先程と同じことを言った。
ジェシカは、
「協力って、何を?」
と、聞く。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「王を暗殺するための協力だ。城の内部に仕掛けてある、特殊な制御道具を破壊したい。おまえには、その協力をしてほしい」
と、答える。
ジェシカは、驚きながら、強い口調で、
「そんなこと、できるわけないでしょ!! 私は、『フランシス王国騎士団』のメンバーなのよ!! そういうことを、阻止することが、任務なの!!」
と、言った。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「さっきから言っているが、協力すれば、兄として、ひとつ、お願いを聞いてやるぞ」
と、また、先程と同じことを言った。
ジェシカは、困惑しながら、
「本当に? 嘘じゃない? なんでもいいの?」
と、確認する。
デルタは、
「さっき、約束したろ? 嘘ではない。本当だ。なんでもいいぞ」
と、答える。
ジェシカは、考える素振りをして、
「……じゃあ、『レッドブラッド教団』を辞めて、これからは、『フランシス王国騎士団』の私の兄として、協力して……!!」
と、お願いをする。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「つまり、『レッドブラッド教団』を辞めて、仲間になれってことか?」
と、確認する。
ジェシカは、デルタの反応を観察しながら、
「そうよ、お兄ちゃん。妹の一生に一度のお願いよ。聞いてくれるよね?」
と、言った。
デルタは、流血している首をおさえながら、
「妹の一生に一度のお願いか……」
と、言って、考える素振りをして、
「いいだろう。王を暗殺できたのなら、『レッドブラッド教団』を辞めて、仲間になってやる」
と、言った。




