追憶の第32話 再び、第7話? 反省? 吹き出す? 懐かしい? 心から、想ってくれる人? 予感? 同情? 寂しく、悲しそうな? 一人でも平気? この先の恋愛? 暗殺用ナイフ? 驚愕の真実?
タツヤは、不思議そうに、
「話しておきたいこと?」
と、聞いて、思い出したように、
「あっ、そうだ!! 忘れてた!! どうして、『魔法制御道具』の場所を教えた? それと、どうして、パトロールから戻ってこなかった?」
と、聞く。
ジェシカは、
「今まで、話せなくて、もどかしかった……!! やっと、話せる時がきた……!!」
と、言って、続けて、
「順を追って、話すわね」
と、言った。
※※※※※※※※※※
時間は遡る。
【第7話 暗い酒場に行って、水を注文してやるぜ!! 飲まなきゃやってられないぜ!! そして、急転直下の選択だぜ!! ~ジェシカ編~】
酒場の話が弾み、夜も更けてゆき、タツヤとジェシカは、マルコの家へと泊まることになった。
マルコは結婚しており、妻と二人暮らしで、息子がいたが、『レッドブラッド教団』に殺されていた。
その死んだ息子の部屋を、タツヤとジェシカの寝床として、使うことになった。
ジェシカは、
「私、パトロールがあるから。帰ったら、宿屋の件、ちゃんと説明してもらうから」
と、言って、部屋から出て行こうとする。
タツヤは、
「ああ。わかったよ。行ってらっしゃい」
と、言って、見送る。
ジェシカは、振り返って、
「ねぇ、日本って、どんな所? 私、ちょっと行ってみたくなった」
と、言った。
タツヤは、
「いい所だよ。帰ったら、いろいろと聞かせてやるよ」
と、言った。
ジェシカは、
「それは楽しみだわ」
と、言って、部屋から出て行く。
外の景色は、静寂な闇に包まれていた。
道は、街灯の明りが、うっすらと、灯っている程度で、暗くて、見えにくい。
営業している店も、屋内照明が、僅かに灯っているだけで、中の様子が、暗くて、見えにくい。
民家も、蝋燭の火が、僅かに灯っているだけで、暗くて、見えにくい。
ー『フランシス王国騎士団』の制服じゃないけど、しょうがない。このまま、やるか……。
ジェシカは、苦笑して、パトロールを開始する。
いつもは、『フランシス王国騎士団』の制服を着て、パトロールをしており、私服でのパトロールは、初めてであった。
どうにも、馴染めず、パトロールに身が入らない。
飲酒でのパトロールも、初めてであった。
真面目なジェシカは、他の『フランシス王国騎士団』のメンバーと違って、いつも、飲酒など、仕事に支障をきたすようなことは、控えていた。
だが、今日は、ワイン一杯のつもりが、三杯も飲んでしまっていた。
ーうっかり、気が緩んでしまった。次は、こんなことが、ないようにしないと……!!
ジェシカは、反省する。
パトロールは、順調に進み、特に何も起きなかった。
あらかじめ決めておいた、終着点の『フランシス王宮広場』を、パトロールする。
ジェシカは、
「よし。これで、終わりね」
と、呟いて、ホッとした。
ー何も起きなくて、良かった。
ジェシカは、安心して、マルコの家へと、戻ることにする。
タツヤの顔が浮かぶ。
ータツヤは、なんで、あんなに必死に、宿屋の窓から、逃げようとしたのかな?
思い出してたら、おかしくなって、ジェシカは、思わず、吹き出してしまった。
ジェシカは、夜空を見上げながら、
「日本かぁ……」
と、呟く。
ータツヤみたいな、変な人ばかりなのかな?
ジェシカは、また、吹き出してしまった。
ふと、『占いの館』が、目に留まる。
ー占いかぁ。クリスティーナと一緒に、よく通ったなぁー。
ジェシカは、懐かしそうに、『占いの館』を見る。
いつもは、気にも留めないのに、今日は、何故か、気になった。
ー久し振りに、行ってみようかな。
ジェシカは、『占いの館』の出入り口の扉を開けて、中へと入る。
中は、薄暗く、天井にピンクの照明がついていた。
中央には、巨大な『黒い壺』があり、中の水が、光り輝いている。
その横には、丸い黒色のテーブルがあり、その上に、『水晶玉』が置かれ、『黒い壺』の水と同じように、光り輝いている。
その『黒い壺』と『水晶玉』を、囲むようにして、複数の紫のソファーが置かれている。
ー懐かしい。昔と変わってない。
ジェシカは、『黒い壺』の光り輝く水の中に、手を突っ込んで、
「フォーチュン・テリング(占い)」
と、言った。
部屋全体が、真っ白な空間へと変わる。
そして、目の前に、黒いフードをかぶり、全身を黒いマントで包んだ、老婆が現れた。
その姿は、魔女を彷彿とさせる。
黒い魔女は、
「おや、誰かと思えば、ジェシカじゃないの」
と、言って、続けて、懐かしそうに、
「久し振りだねぇー」
と、言った。
ジェシカも、懐かしそうに、
「そうですね。久し振りですね、占い魔女さん」
と、言った。
占い魔女は、
「何を占うんだい?」
と、聞く。
ジェシカは、
「あっ、特に決めてなかったわ」
と、言って、苦笑する。
占い魔女は、
「それなら、恋愛にしておくかね? 今、彼氏とか、好きな人は、いるのかね?」
と、聞く。
ジェシカは、
「いないわ」
と、答える。
占い魔女は、不思議そうに、
「いない!? こんなに、美人なのにねぇー。男が、放っておくはずがないと、思うんだけどねぇー。不思議だねぇー」
と、言った。
ジェシカは、
「デートのお誘いなら、たくさんくるけど、断ってるの。いまいち、気が乗らなくて。今、忙しいし。それに、私のこと、心から、想ってくれてないような気がするし」
と、言って、続けて、
「でも、何故かは、わからないけど、最近、私のこと、心から、想ってくれる人が、現れる気がするの……!! 私、その人と、恋に落ちるんじゃないかって……!! 変かな?」
と、言った。
占い魔女は、
「変ではないよ。あなたには、幸せになってもらいたいわ。家族も、クリスティーナも失って、一人ぼっちは、悲しいものね」
と、同情するように、言った。
ジェシカは、寂しく、悲しそうな表情を浮かべながら、
「大丈夫よ。私は一人でも、平気だから……」
と、言った。
占い魔女は、両手を叩く!!
子供のレッドドラゴンが現れて、白いテーブルと、白い椅子と、お菓子のタルトやビスケットを、セットする。
占い魔女は、
「座って」
と、指示する。
ジェシカは、椅子に座る。
占い魔女は、
「昔みたいに、タロットカードにする? それとも、他の占いにする?」
と、聞く。
ジェシカは、お菓子のビスケットをつまみながら、
「他の占いって、何がありました?」
と、逆に聞く。
占い魔女は、
「星占い、トランプ、夢占い、水晶玉占い、などよ」
と、答える。
ジェシカは、
「う~ん……どれにしようかな……?」
と、迷いながら、
「久し振りだし、とりあえず、タロットカードにする」
と、言った。
占い魔女は、
「この先の恋愛を占うで、いいかい?」
と、聞く。
ジェシカは、
「うん」
と、頷く。
占い魔女は、
「料金は、十ゴールドね」
と、言った。
ジェシカは、十ゴールドを差し出す。
占い魔女は、ジェシカに、タロットカードを、シャッフルから始めて、テーブルに、三枚並べさせるところまで、やらせた。
ジェシカは、
「どうですか?」
と、聞く。
占い魔女は、
「断言はできないけど、この先、現れるわよ。あなたが、予感している人が」
と、言って、続けて、
「その人は、この国の人間じゃなく、何処か、遠い国の人間よ。ただ、それで、あなたが、幸せになれるかは、わからないわね」
と、言った。
ジェシカは、黙って、タツヤの顔を思い浮かべる。
占い魔女は、
「おや? 心当たりがあるのかい?」
と、聞く。
ジェシカは、
「ええ。一応、思い当たる人が」
と、答える。
占い魔女は、
「なら、今度、その人を連れてきなさい。その人と、幸せになれるか、どうか、一緒に、占ってあげるわ」
と、言った。
ジェシカは、
「わかった。今度、連れてくる」
と、承諾する。
占い魔女は、
「これで、終わりだけど、いいかね? 他にも、希望があれば、占うよ」
と、聞く。
ジェシカは、
「待たせてる人がいるし、これでいいわ」
と、言って、席を立つ。
占い魔女は、両手を叩く!!
再び、子供のレッドドラゴンが、現れて、出口へと案内する。
ジェシカは、真っ白な空間の部屋から、出る。
そして、そのまま、『占いの館』の、外の出入り口の扉の前へと、出た。
ー私が予感してた相手って、タツヤなの?
何故かは、わからないが、タツヤに、無性に会いたくなった。
ジェシカは、タツヤが待っている、マルコの家へと、足早に戻ろうとする。
その時だった!!
後ろから、
「こんな遅くまで、パトロールか。大変だな」
と、声をかけられた。
ジェシカは、振り向く。
そこには、全身赤い色で覆われた、『赤魔導士』のデルタがいた!!
ジェシカは、
「えっ!? 嘘!?」
と、言って、驚く!!
デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべている。
ジェシカは、驚きながら、
「赤魔導士!? ってことは、もしかして、あなた、『レッドブラッド教団』の幹部、デルタ?」
と、確認する。
デルタは、「クククッ」と不気味な笑みを浮かべながら、
「そうだ。よく、知ってるな」
と、答えた。
ジェシカは、
「私を殺しにきたのね?」
と、確認すると同時に、懐から、暗殺用ナイフを取り出し、右手で握る。
デルタは、
「待て!! 何故、おまえが、それを持っている?」
と、言って、驚く。
ジェシカは、
「何? これが、どうかしたの?」
と、言って、暗殺用ナイフを見る。
デルタは、
「何処で、それを手に入れた?」
と、聞く。
ジェシカは、
「覚えてない。子供の頃から、身を守る道具として、常に持っていたけど?」
と、言った。
デルタは、
「それは、我がデルタ一族が、代々受け継いできた、世界にひとつしかない、ナイフだ。私が、最後に受け継いで、生き別れた妹に渡した」
と、説明する。
ジェシカは、予想外のことに、
「えっ!?」
と、言って、戸惑う。
デルタは、
「それを持ってるってことは、つまりー」
と、言って、続けて、
「おまえは、私の生き別れた妹ってことになる……!!」
と、言った。
ジェシカは、
「嘘、嘘よ!! 私が、あなたの妹だなんて……!! そんなの、ありえない……!!」
と、言って、取り乱す。
デルタは、
「嘘ではない。そのナイフが証拠だ。おまえは、私の妹!! そして、私は、おまえの兄だ!!」
と、言って、念を押す。
ジェシカは、
「黙れ!!」
と、言って、斬りかかった!!




