先が読めない第23話 逮捕? 今度は、私と一緒に? ラフレシアの恥ずかしいお願い? ジェシカのことで、頭一杯? 明日、玉座の間? 謎の女の部屋? 下着泥棒?
ジェシカが、『カジノ』の出入り口から、他の場所の警備へと行き、タツヤは、『カジノ』の中をウロウロしていた。
ーコインもないし、『カジノ』から出るか。
スライムレース、スロットマシン、ポーカー、ルーレットと負け続けて、さすがに、また、やろうという気力が起きなかった。
タツヤは、『カジノ』の出入り口へと向かう。
警備をしている、ホワイトレミーが、やってきて、
「もう行くの?」
と、聞く。
タツヤは、
「ああ。コインもないし、ジェシカも、他の所へ行っちゃったし、ここにいても、しょうがないだろ」
と、答える。
ホワイトレミーは、「アハハッ」と笑いながら、
「負けたのね?」
と、聞く。
タツヤは、ムッとして、
「そうだよ。負けたよ。一回も勝てなかった」
と、答えた。
ホワイトレミ―は、笑みを浮かべて、
「ジェシカは? 勝ったの? 負けたの?」
と、聞く。
タツヤは、
「勝ったよ。全部、勝った」
と、答える。
ホワイトレミ―は、
「全部!? 全部のゲーム、勝ったの!?」
と、言って、驚く!!
タツヤは、訂正するように、
「全部のゲームじゃない。プレイしたゲームは、全部、勝ったってこと」
と、言った。
ホワイトレミ―は、
「まぎらわしいわよ。やっぱり、アホのタツヤね。どのゲームをプレイしたの?」
と、聞く。
タツヤは、不快な様子で、
「アホは余計だろ。スライムレース、スロットマシン、ポーカー、ルーレットだよ」
と、答える。
ホワイトレミ―は、
「へぇー。そのゲームで、アホのタツヤは負けて、ジェシカは、勝ったってことね?」
と、確認する。
タツヤは、不快な様子で、
「そうだよ。アホのレミ―様」
と、答える。
ホワイトレミ―は、カッとなった様子で、
「なんですって!? もう一回、言ってみなさい!!」
と、言った。
タツヤは、からかうように、
「何回だって、言ってやる。アホのレミー様」
と、言った。
ホワイトレミ―は、
「『フランシス王国騎士団』の、この私を侮辱した罪で、逮捕するわ!!」
と、言って、タツヤを捕まえようとする!!
タツヤは、
「おいおい、待てよ。そっちが、アホのタツヤって、言ってくるからだろ?」
と、言って、慌てる。
ホワイトレミ―は、立ち止まって、
「アホそうな顔してるから、そう言っただけよ!! 悪い?」
と、当然のことのように言った。
タツヤは、
「じゃあ、俺も、ホワイトレミ―が、アホそうな顔してるから、アホのレミー様って呼んだだけ。悪いか?」
と、真似するように言った。
ホワイトレミーは、
「もう許さないわ!! 今すぐ、逮捕よ!!」
と、言って、再び、タツヤを捕まえようとする!!
タツヤは、慌てふためいて、
「ちょっと、待てよ!! マジかよ!? わかったよ!! 俺が悪かった!! すまん!!」
と、言って、逃げ出そうとする。
ホワイトレミ―は、再び、立ち止まり、
「わかればいいのよ。まったく!! アホは、これだから困るわ!!」
と、落ち着きを取り戻す。
ーもう、さっさと、この場を離れよう。
タツヤは、再び、『カジノ』の出入り口へ。
ホワイトレミ―は、
「あっ、ちょっと、待ちなさい」
と、言って、タツヤを引き留める。
タツヤは、振り向いて、めんどくさそうに、
「何だよ? 何か用か? レミー様」
と、言った。
ホワイトレミ―は、急に照れた様子になり、
「……夕方、この仕事が終わるの。だから、その……カジノゲーム、今度は、私と……」
と、言いかけた時、『カジノ』の客が、困った様子で、やってきて、
「すみません!! 今、誰かに、お金盗まれました!! 来てください!!」
と、急かすように言った。
ホワイトレミ―は、顔つきが変わって、
「今、行くわ!! 何処で盗まれたの?」
と、言って、『カジノ』の客と一緒に、その場を離れる。
ー何だよ? よく、わかんねぇー。まぁ、いいや。
タツヤは、『カジノ』から出た。
ホワイトレミーは、途中で立ち止まって、『カジノ』から出て行く、タツヤの後ろ姿を、じっと見ていた。
カジノから出たタツヤは、当てもなく、ウロウロと廊下を歩く。
ジェシカが指定した、夕方の、待ち合わせ場所の『占いの館』まで、まだ時間がありそうだった。
ーそういえば、こんな、のんびりとした気持ちで、過ごす時間は、初めてだな。
『異世界召喚』されてから、今に至るまで、ジェットコースターみたいに、進んできただけに、今、この何気ない瞬間の喜びを、噛み締める。
廊下の向こう側から、ラフレシアが、屈強な三人の剣士達を携えて、やってくる!!
中世ヨーロッパの上流階級が着そうな、優雅な黒のロングドレス姿で、頭にかぶっている、金色の王冠が目立つ。
ラフレシアは、
「タツヤ、目が覚めたのね」
と、声を掛ける。
タツヤは、嬉しそうに、
「ラフレシアさん!! いや、ラフレシア女王!! 生きていて、良かった……!!」
と、言った。
ラフレシアは、
「前みたいに、ラフレシアさんでいいわ」
と、言って、
護衛の剣士達に、
「ちょっと、二人にして」
と、命令する。
護衛の剣士達は、了解して、引き下がる。
ラフレシアは、急に恥ずかしそうに、
「『専属警備員』のこと、考えてくれた?」
と、聞く。
タツヤは、ハッとして、思い出す。
ーそうだった……!! 『専属警備員』になれば、俺を、『異世界召喚』したと思われる、ミネイロ・リッチに、会えるんだった……!!
ラフレシアは、恥ずかしそうにしながら、
「どうなの?」
と、答えを待っている。
タツヤは、申し訳なさそうに、
「もうちょっとだけ、待ってもらえませんか? 夕方、『占いの館』の前で、ジェシカと待ち合わせをしていて、そっちのことで、頭一杯なんですよ」
と、正直に言った。
ラフレシアは、笑みを浮かべて、
「正直なのね。タツヤのそういうところが、信頼できるの。いいわ。待ってあげる」
と、言った。
タツヤは、申し訳なさそうに、
「すみません!!」
と、頭を下げて、続けて、
「あの、そのために、ここまで?」
と、聞く。
ラフレシアは、
「いいえ、違うわ。ここで、タツヤに会ったのは偶然よ。最近、『玉座の間』に、ずっといるから、久し振りに、外の空気を吸おうと思って」
と、答える。
タツヤは、同情するかのように、
「大変ですね」
と、言った。
ラフレシアは、
「そうなのよ……!! 本当、大変なのよ……!! 女王になってから、もう、精神的ストレスと疲労で、押しつぶされそう」
と、言って、溜め息をつく。
タツヤは、同情するかのように、
「俺で良かったら、愚痴とか聞きますよ」
と、言った。
ラフレシアは、
「ありがとう。やっぱり、タツヤには、『専属警備員』になってもらいたいわ」
と、言って、思い出したかのように、
「あっ、そういえば、カルロスの看護をしている人から、お願いされたんだけどー」
と、言いかける。
タツヤは、不思議そうに、
「何をお願いされたんですか?」
と、聞く。
ラフレシアは、
「今、言うのは止めておくわ。ジェシカさんとの待ち合わせで、頭一杯なんでしょ? 明日、『玉座の間』に来て」
と、言った。
タツヤは、不思議そうにしながら、
「えっ、あっ、はい。別に、今、言ってくれても、大丈夫だと思いますけど」
と、言った。
ラフレシアは、優しく諭すように、
「今は、ジェシカさんに集中して。ジェシカさんが、何を言っても、ちゃんと受け止めてあげてね」
と、言った。
タツヤは、
「ラフレシアさんは、知ってるんですよね? ジェシカが、『魔法制御道具』の場所を、教えた理由を」
と、確認する。
ラフレシアは、
「ええ。知ってるわ。最初は驚いたけど、今は、同情してる」
と、答えて、
「そろそろ行くわね。護衛の剣士達を、長く待たせたくないし。また、明日ね」
と、言って、護衛の剣士達を呼んで、立ち去る。
タツヤは、黙って、それを見送った後、自分が、寝ていた部屋へと、戻ることにした。
タツヤは、ベットに寝転んで、天井を見上げる。
ー女王の『専属警備員』か……。そういえば、俺、無職で、一文無しだった。この先、誰かに、おごってもらったり、お金を借りたりするのは、まずいよな。住む場所だって、探さないとだし。
タツヤは、
「なろうかなー……『専属警備員』」
と、呟く。
ーそれで、ミネイロ・リッチに会って、その後、マルコさんが言ってた、俺と同じく、日本から異世界召喚された女を探すか? その後はー……。
「そこまで、考えなくていいか」
タツヤは目をつぶる。
しばらくして、ガチャッと、部屋の扉を開ける音が、聞こえた。
浅い眠りに入っていた、タツヤは目を覚まし、部屋の扉の方へ視線を向ける。
部屋の扉の外から、長い黒髪を結んだ、若い女が現れる。
見た目は、二十歳ぐらい。
髪型は、ロングヘア(胸の下くらいまでの長さ)で、それをヘアゴムで結んで、後ろに伸ばしている。
バランスが良く、整った顔立ちで、冷静で落ち着きのある、クリスと同じ、知性的な、中世ヨーロッパの美女という印象を受ける。
服装は、中世ヨーロッパの上流階級が着るような、水色のブラウス(女性用シャツ)と、青色のドレス。
タツヤは、驚いて、起き上がり、
「えっ? 誰?」
と、言って、その謎の女を、じっと観察する。
謎の女は、
「誰って……それ、こっちのセリフなんですけど」
と、言った。
タツヤは、
「は?」
と、わけがわかんない様子で、再び、謎の女をじっと観察する。
謎の女は、
「ここ、私の部屋なんですけど。部屋、間違えてませんか? それとも、不法侵入者ですか? 最近、噂の下着泥棒さん?」
と、言って、警戒しながら、タツヤを見る。
タツヤは、
「部屋、間違えた? そんな馬鹿な……!?」
と、言って、混乱した。




