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第1話 異世界行ったら、滅亡していたぜ!!

 高校二年生の火村達也(ひむらたつや)は、『異世界』に憧れていた。

 部屋には、『異世界』物語に関連している、ゲームやアニメや漫画やライトノベルばかり。

 彼女はおらず、『異世界』の女に恋をしていた。


「タツヤ、テストどうなの? 留年しないよね?」

 今日も母親が、ノックもせずに、部屋に入って来て、口うるさく言ってくる。

 次も、赤点だったら、留年決定のようだ。

「うるせえな」

 タツヤは、部屋から出て、玄関へと向かう。

「タツヤ、こんな夜中に何処へ行くの? 明日、テストでしょ。勉強はいいの?」

 後ろから母親の声がしたが、シカトして、家を出る。


 ー勉強、勉強うるせーな。学校なんか、なくなりやがれ。


 タツヤは、夜中の散歩でもするかのように、ゆっくり、夏の夜中の風景を眺めながら歩く。

 神社へと着いて、今日もお願いをする。


 ー今日こそ、『異世界』に行けますように。


 タツヤはそう言って、神社の入り口へと戻ろうとする。



 その時だった。


 タツヤを『赤い光』が包み込む。


「えっ、何だ? この光?」

 タツヤは驚く。


 そして、タツヤは地上から消えた。



 気付いたら、そこは暗黒に包まれた『異世界』だった。


 周りを見渡せば、人間の死体だらけ。


 大火災。


 (いた)る所で爆発。

 

 黒煙。

 

 有害な煙。

 

 崩壊した建物。

 

 瓦礫(がれき)の山。


 まるで、核戦争でも起きたかのようであった。


「は? 何だよ、これ?」

 タツヤは、呆然(ぼうぜん)と立ち尽くす。


 近くで爆発音が響き、タツヤは吹き飛ばされた。


 崩壊した瓦礫に背中が強く当たり、タツヤの背中に激痛が走る。

 さらに、強烈な匂いをした有害な煙が、鼻へと入り込む。

「ゲホッ、ゲホッ」と、タツヤは()き込む。


「クソッ、何だよ、これ。何処だよ? ここは?」

 タツヤは座り込んで、頭を整理しようとする。

 その時、また、爆発音が響いて、タツヤは爆風で吹き飛ばされそうになる。


 ー駄目だ。何も考えられないっ…!!


 タツヤはウロウロと歩き回る。


 崩壊した教会らしき建物の瓦礫に、青く光り輝く『指輪』を見つけた。


 タツヤは、その青く光り輝く『指輪』を手に取り、眺める。


 ー不思議な『指輪』だな。


 タツヤは、その青く光り輝く『指輪』を、ポケットにしまい込む。


 ーとりあえず、生存者を探そう。


「おーい、誰か、生きてる人はいませんか?」

 タツヤは叫ぶ。

 

 返答は全然なし。

 

 爆発音だけが響く。


 ーここって、まさか、『異世界』じゃないよな?


 タツヤは周りを見渡す。


 崩壊した瓦礫の教会。

 

 崩壊した瓦礫の城。

 

 崩壊した瓦礫の塔。

 

 崩壊した瓦礫の城下町の店や家。


「…これって、『異世界』だよな? 嘘だろ? そんな…」

 タツヤは絶句する。


「『異世界』滅亡(めつぼう)してるじゃねぇかよぉぉぉぉ!!」

 タツヤは絶望の叫び声をあげた。


 夢にまで見た、タツヤの『異世界』転移は、こうして幕を開けた。

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