3.
とりあえずクローゼット、デスク、バッグの中を見て分かったことがある。
このヒロイン、ゲームでの描かれ方と現実が違いすぎる!!!
ゲームの中でのマリアは、可憐でか弱いビジュアルに、貴族社会に縛られない自由な言動でヒーローたちの心を奪っていった。
その破壊力は「マリアの前でだけ僕は自由でいられる。」というなんとも胸キュンな台詞をほぼ全ての攻略対象者に言わしめ素敵スチルを量産するほどである。
ヒロインの行動の選択肢はゲームを操作してる自分が決めている訳だし、乙ゲーのメインは攻略対象であって正直ヒロインの細かいところは気にしていなかった。
そう、例えば服装とか。
クローゼットに入っているのは数着のワンピース。
どれも白やパステルカラーの可愛らしい色合いだ。
街着のようなカジュアルなものからドレスワンピースのようなものまであり、パッと見清楚な印象を与えるのだが…
「いやいや、これどういう服よ…。」
ワンピースを手に取って目を疑った。胸元が異常に開いているのだ。
ハリウッドセレブののイブニングドレスか?レッドカーペットか?というくらい開いている。
とは言っても襟元がスクエアにカットされているので、絶妙に下品にならないデザインになっている。
ほかのワンピースも首が詰まったデザインは胸元がレースで透けたり、ロングタイプは際どいスリットが入っていたり。
清楚系に見せかけているが、完全に「狙っている服」だ。
少なくとも清楚な女が着る服ではない。
極めつけは日記である。
そこ書かれている内容はというと、
観劇に来る貴族たちを見るため劇場前で待ち伏せし、貴族らしい振る舞いを研究したり。
教会の神父様から領主様が視察に来る日程を事前に聞き出したり。
そして、昨日の日付の内容に至ってはこれだ。
『明日からはついに学院生♡
ようやく貴族社会とお近付きになれるんだから、恋人の1人や2人作って将来に備えないと。
絶対に卒業までに婚約して、どこかの貴族に嫁ぐの!
できれば伯爵家以上がいいな。貴族になってまで下層地位なんて嫌だもん。
それに第2王子殿下も同じ学年みたい。
王子様なんて素敵だよね。おとぎ話みたい!
婚約者がいるみたいだけど、どうせ政略結婚でしょ?
愛なんてないだろうし、頑張れば奪えちゃうかも。
でも公務とかめんどくさそう~いっそ愛人枠でもいいかな?
公妾ってお金も自由にできそうだし最高♡
あ~明日が楽しみだなあ!
貴族のお坊ちゃま達なんてきっとウブよ。
透けた下着と胸の谷間見せたら一発じゃない?男爵だってそうだったんだから。
はやくチヤホヤされて素敵な生活がしたい~。』
いや、絶句である。
そして清楚系セクシーワンピースの謎も解けてしまった。
ふと自分の着ている制服を確かめる。
一見普通の白の制服なのだが…やけに身体にフィットする。これサイズ間違えてんじゃないの?
改めて鏡で確認すると身体のラインが丸見え+屈むと胸元がチラ見え状態だった。
なるほど、なかなかグラマラスなボディである。けしからん。
しかしこれで1日過ごしていたかと思うと絶望的な気持ちだ…ヒロインは清楚系ビッチだけど私は違うんだよ…
とりあえず制服を脱いで部屋着らしきものに着替え(これもなんだかあざとい系である)、ゲームのシナリオを思い出すことにした。