小さな出会い
三題噺もどき―きゅうじゅう。
お題:天使・青目・花壇
照らす太陽の下。
学校にある、小さな花壇。
そこに咲く花達は、一身にその光を浴びている。
僕は、そこに水をかけてやって、水分補給をさせてやる。
雫がキラキラと光り、綺麗だった。
(……あれ?)
そんな中に、一つだけ見たことのない、まだ蕾の花があった。
その色が今まで見たことのないほど綺麗な青色でつい、意識がそちらへ向いた。
(こんなの咲いてたっけ?)
誰かが、勝手に植えたのか。
しかし、そんなことをする必要がない。
というか、する意味が分からない。
「ん〜?」
そもそも、青色の花というのが不思議だし、なんとなく、目が離せないでいた。
すると、
「あ、」
蕾がゆっくりと開き出した。
(なんで、突然……!?)
驚きはあったものの、好奇心が勝り、じーっと眺めていた。
「……ふぁ……」
「!?」
花の中から小さな声が聞こえた。
花が咲いたと同時に起きたような眠たげな声。
気のせいかとも思ったけれど、確かにそこから聞こえると確信が何となくあった。
その花が開ききるのを見守る。
「……あっ!」
花の中から現れたのは、小さな天使のような子だった。
「ん…」
ぐっと、伸びをしながら、動き出す。
美しい花と同じように綺麗な青目と、同じ色の美しい髪の女の子。
その瞳が、ほんの少し濡れているように見えた。
あくびでもしたのかな…?
背中には白い羽が、ふわりとその体を覆っていた。
パチ―
目が合った。
「きゃぁぁぁ!?」
「!????」
瞬間、こちらの耳が壊れるのかと思うくらいの大音量で叫ばれた。
小さいのに、こんなに声が出るとは。
「な、ななな、何ですか!私は、たべても、お、おいしく、無いですよ!!?」
あわあわと涙目になりながら訴える彼女に呆気に取られてしまう。
―そして、つい、笑ってしまった。
「な、何ですか!何を笑ってるんですか!」
「い、いや、面白いなぁって。」
「面白いって……!!」
「べつに、食べたりしないよ。こんな所に咲いていたから気になっただけ。」
そういった途端、彼女は何かを思い出したかのようにバッ―!と顔を上げた。
「そ、そうでした!私、こんな所で油を売っている暇はないのです!」
おもむろに花の中から降りたかと思うと、今まで寝ていた花を当然のように畳んでいく。
「え、何それ!たためんの!?」
「はい、これは、テントみたいな物ですからね。」
「へぇ〜」
関心していると、片付けが終わったのか、出かける準備の様なものをしていた。
「では、名も知らないお方。先程は失礼しました。また、会えることを。」
そう言って飛び去っていった。
(結局何だったんだろ……)
飛び去る小さな背を眺めながら思う。
キーンコーンカーンコーン
「あ、やば!」