GWコント その3
研究員 博士、遅刻してすみません!って、誰もいないじゃん。誤って損した。紅茶入ってる、いただきます!
(研究員、テーブルの上のカップに入った液体を飲む)
研究員 ん……?なんか眠くなってきた……
研究員 よく寝た~。あれ、ここどこ?たしか研究室にいたはずなのに……すごく広い空間にきちゃった。まだ夢みてるのかな……なんか太い柱みたいなのがあるし……四角い椅子もある。家かな……?
(研究員、白い立方体に座る)
研究員 あれ?これ椅子じゃない!
(立方体を触る)
研究員 角砂糖だ!どういうこと?なんで角砂糖がこんなに大きいの?この柱もよく見たらテーブルの脚じゃん!
(見上げる)
研究員 角砂糖が大きいんじゃない……体がちっちゃくなってるんだ!わかった!あの紅茶は博士の発明だったんだな~!紛らわしい仕舞い方するなっていつも言ってるのに~!
研究員 おーい!博士!博士!いない。それもそうか、いたらすぐ気づくよね……で、また『ちょうどよく人体実験ができたわ!大成功よ!』とか言うんだ。あのポンコツマッドサイエンティストめ……
研究員 あ、ちっちゃくなったってことは声も聞こえないだろうし、悪口言い放題じゃん。博士が返ってこないと戻り方もわかんないし、ちょうどいいから日ごろの恨みをぶつけてやろ。博士の机に向かって……やーい!博士のアホ!給料上げろ!いつもこき使いやがって!ボーナス出せ!博士の分も寄越せ!博士の金で旅行に行かせろ!寿司おごれ!焼肉も食べたい!
研究員 最後のほう、ただの願望になっちゃったな。せっかく小さくなったし、ちょっと探検してみよっと
(研究員、歩く)
研究員 いつもの研究室も、小さくなると違ってみえるなあ。床に直置きの本が階段みたいになってる。ページの大きさって実はきっちり揃ってないんだよね。ちょうどいい足場みたい……
研究員 クライミングできそうだな。しおり紐につかまってと……
(研究員、本を登る)
研究員 いけるいける。小さいのもけっこう楽しいな!
研究員 高いところに来たぞ。この一冊を登り切れば、博士の机への道を完全制覇だ!なんかSAS〇KEみたいだな。よし、登るぞ~
研究員 いっそSAS〇KEも挑戦者ごと小さくしたらいいよね。そしたらコストカットできるしいろんなステージ作れるし。あとはピタゴ〇スイッチと共同開発でステージ作ってみるとか。博士、これでテレビ局に売り込んだら大儲けできるのにな。悪事のことしか考えてないんだから……と言ってるうちにもう頂上だ!よいしょ……やりました!SAS〇KE改め小スケ、完全制覇!
博士 ずいぶん楽しそうね
研究員 この声は博士!あのー、テーブルにあった紅茶っぽい薬を飲んじゃったんですけど、元に戻してくださーい!
博士 もう、あなたはホントにドジね!あれは私がやっとの思いで開発した、体を小さくする薬よ!
研究員 それはもうわかります!
博士 それを飲むなんて、このばか!あんぽんたん!
研究員 博士が紛らわしい置き方してるからですよ!ていうか博士、いつのまに帰ってきたんですか?どこにいるんです?博士?
博士 ……ここよ
(博士、本の陰から出てくる)
研究員 博士も小さくなってるじゃないですか!
博士 研究中に喉乾いて……薬をティーカップに入れたの忘れてて……
研究員 なにしてんですか!よく私をバカにできましたね、このバカセ!
博士 なによ!助手ならサポートしなさいよ!
研究員 ……
博士 なに、もう言い返せなくなったのかしら?
研究員 博士、後ろ……
博士 え?
(博士が振り向くと、後ろにゴキブリがいる)
二人 ギャー!!
(ゴキブリ、近づいてくる)
博士 ひい……ゴキブリでかい……
研究員 同じサイズじゃ勝てませんよ!逃げましょう!
博士 足がすくんで動けない……私を置いてあなただけ逃げなさい……
研究員 そんなことできません!ポンコツだしむかつくこともあるけど、私はいつも研究に真っすぐな博士を尊敬してるんです!博士と一緒に死にます!
博士 助手……!ありがとう……
研究員 博士……
(二人、抱き合って震える)
(ゴキブリが飛び立つ)
二人 ……
博士 なにくっついてるのよ!
研究員 博士がくっついてきたんでしょ、セクハラで訴えますよ
博士 可愛くないやつ!あんたをゴキブリに差し出せばよかったわ!
研究員 ゴキブリはもう別の獲物を見つけてますよ。早く元の大きさに戻りましょう。はっ、まさか戻る方法がないなんてことは……
博士 それくらい考えてるわよ!テーブルの上の角砂糖みたいな塊が、もとに戻る薬よ
研究員 また紛らわしい置き方して~!でもテーブルなら二人で力を合わせれば、すぐにたどり着けそうですね……あ!
博士 今度はなによ?
研究員 角砂糖の上にゴキブリがとまってます……
博士 ……もう少し、小さいままでいましょう
研究員 ですね……
コントというより漫画っぽい。コントとしてやるなら小道具などかなり工夫するか、音声のみのラジオコントとしてもいいかもしれない。今日はほぼ書きながら展開を考えたが、なんかラブコメっぽくなった。昨日も述べたシリーズの一つですが、研究員と博士の性別ははっきりしてません。