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根来寺の怪

作者: ツヨシ

お寺は清らかな空間域であるべきだ。

しかし現実にはそうはなっていない場合もある。

お寺自体が心霊スポットと認識されていることがあるからだ。

四国八十八か所の八十二番目の根来寺がそれにあたる。

牛鬼伝説のあるこの寺には、いろいろな怪異がささやかれている。

中でも門の横にある公衆電話にはその手の話が多い。

電話ボックスの中に男の幽霊が出る。

公衆電話を使うと死者とつながる。

公衆電話の電話が突然鳴り、出ると呪われる。

だから俺は今日、わざわざ夜に根来寺にやって来た。

公衆電話が取り壊されるという話を聞いたからだ。

だったらその前に噂の検証が必要というものだ。

そんなのは人として当然のことだろう。  

お寺に着くと公衆電話はすぐに見つかった。

門の横にあるし、山の中にあるお寺の夜はほとんど真っ暗なのだから。

四六時中明るい公衆電話は、闇の中に浮かび上がり嫌でもよく目立つ。

俺はさっそく足を進めた。

外から見たところ、中には幽霊どころか誰の姿もない。

しばらく眺めた後に、公衆電話に入った。

そして待つ。

電話が鳴ることを期待したのだ。

そのまま待ったが、残念なことに一向に鳴る気配がない。

そこで俺は小銭を持って受話器を手にした。

どこか適当なところにかけるために。

すると鳴った。

公衆電話ではなく、俺のスマホがだ。

出ると相手は矢島だった。

矢島は強く言った。

「その電話に触るな!」

俺は慌てふためき、スマホも放り投げて、その場を走り去った。

なぜなら矢島は、十日前に死んでいるのだから。


       終

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― 新着の感想 ―
[良い点] ふっ、ははは。公衆電話に注目させたのちの最後のオチが面白いです。電話は電話でも、公衆電話じゃなくてスマートフォンっ、そっちかい。矢島ー!! 変化球で狙ってくる技が良いですね。予想斜め横を逝…
[良い点] ∀・)話の繋がりが見事に絡まってオチにハマっていく感じ。つまり起承転結が非常に良く為されているというところでしょうか。 [気になる点] ∀・)根来寺って実際にある寺ですっけ? [一言] ∀…
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