お嬢様、メロンからスイカになりたい理由が分からないです。
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(声の主はこいつか・・・、どおりで聞き覚えがあると思った)
「っは、そうか。入口の湯気はサボりがバレないための煙幕か。って、あんた女でしょう!何で男湯いるの。っは、まさか話声聞こえたけど先輩達と入ってるってこと?」
「いやぁ?俺一人だよ?」
「一人?でもハスキ、誰かに話してたじゃない」
「ああ、あはは。話聞かれてたの。そう、そこの彫刻のウンディーネの胸見てでけーなって思ってさ~」
ハスキは豪快に口をあけて笑いながらお湯の湧き出る先の巨乳ウンディーネの彫刻を指差す。その周りには精霊や神の獣を象った彫刻達が数体いて、アヤメはこれを人影と勘違いしたのだった。アヤメはその事実をしってしばらく放心していた。その姿をみたハスキはなにやら納得した様子で口を開いた
「お、そうかそうだよな、アヤメだってあのウンディーネみたく胸でかくなりたいよな」
アヤメはウンディーネの彫像の胸とハスキの胸を見比べて口を開いた
「ハスキ、それ以上でかくなってどうするの、何故メロンからスイカになりたいの・・・」
「デカイっていいじゃねーか。こう、威厳ってやつ?」
アヤメは思った。デカイにも限度と加減があるだろうっと。
(影の正体はこの彫刻か・・・。紛らわしいにもほどがあるわ。この女は昔から悪気無く私の恋路を邪魔し続けた天然の悪魔。早めに退散するにこしたことはない。ん・・・?あれ?あれれ?)
アヤメはこの時気づいた、ハスキが一人で使ったにしては使用感たっぷりな散らかりっぷり。きちんと置かれているはずの桶が散乱し、ところどころぬれている蛇口。そして、排水溝にはハスキの青い髪とは違う黒や茶色の髪が何本も落ちている。
「それよりアヤメこんなところで何しとるん?もしかしてユタカ坊ちゃん達と風呂入りたくてきたんかー?あはは。じゃあ悪いことしたな。俺がサボるためにこっちきたらみんな赤い顔してでてっちまったんだよ」
悪気なく話すハスキの姿にアヤメは拳を握り締め思った、このアマァ・・・っと。
「俺はそのままでいいぞ~っていったんだけどよ~。あはは」
(イケシャアシャア、すでにもう天然のお邪魔虫を・・・。)
この時アヤメの脳裏に”報復”この二文字が思い浮かぶ
一人しゃべっているハスキを気にせずアヤメは入り口の方に向かって歩き始めた
「お、アヤメも入ってけばいいのに」
「いえ、お気になさらず」
微笑みながら返事をするアヤメ。微妙におしとやかな口調が不気味である。入り口に着いたアヤメはハスキのほうを向きもう一度微笑む。その顔の裏に阿修羅が垣間見える
アヤメは入り口に備え付けられている内線電話の受話器をもち、もう一つの手で鼻を抑え声色準備ok
「あ、コールドマイアですか。ハスキさんが男湯でサボってます」
「おいいいい、アヤメエエエ」
サボリを通報。それはささいな復讐。っが、人を呪わば穴二つ。
通報と同時に激しい警報と共に防災シャッターがいきよいよくしまり。アヤメは呆気にとられていたため風呂場から逃げ遅れ、ハスキと一緒に閉じ込められた。
その後ハスキと一緒に捕らえられマイアの部屋に逆戻りしたのは言うまでもない。