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おっさん、魔王の玉座になる -幼女魔王と一緒に座っているだけでレベルMAX!-  作者: 椎名 富比路
第三部 今度は、スタンプラリーだ! ワケあり悪役令嬢とのデットヒート! 3-1 次なるライバルは、悪役令嬢!

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悪役令嬢 クク・ブリリストリッシュⅣ世

 カリダカの当日を迎えた。


 決戦当日まで、ボクは慣らし運転しかしていない。

 しかし、ボクはうまく運転できる確信はあった。

 トレーニングに付き添ってくれたオンコからも、太鼓判を押されている。


 今まで運転されてなくて、ひょっとするとハチシャクは錆びついている可能性があった。

 けれど、一度魔力を流し込んだら、往年の走りを見せてくれたのである。

 今まで倉庫の隅で眠っていたなんて、ウソだったかのように。


「落ち着いていこうよ。カリダカは、レクリエーションだからね」

 今日のオンコは、服装もメカニックらしい。全体の色合いが、地味目のベージュだ。ショートパンツのポケットには、スパナが収まっている。


「分かってる。でも緊張するー」

 ハンドルを握る手が汗ばんできた。

 こんな序盤でプレッシャーに押しつぶされてどうする?


「あら、ダイキじゃない!」

 ブルンブルンと、バイク音が鳴り響く。


「マミちゃん!」


 案の定、スーパーサブを手に入れたのはマミちゃんだった。

 マミちゃんはケイスさんの運転で、サイドカーに乗っている。


「このバイクすごいわ! サイドカーからでも運転できるのよ!」

「お言葉ですが、マミ様。運転はこちらでいたしますので、計器類を触るのはご勘弁を」


「あなたは口を挟まないでよね、ケイス!」

 マミちゃんが、何かのスイッチを押した。


「ウブブウブ!」

 シートが振動し、ケイスさんの表情が蕩けだす。


 スタンプラリーでも、相変わらずのようだ。


「ウフフ、こんにちは。お久しぶりね」

「トシコさん、ネウロータくんも」


 上条(カミジョウ) トシコさんが、ボクの左に車を止めた。マミちゃんとボクの車両を挟み込むように。


「アメ車ですか?」


 トシコさんの運転する車は、コンバーチブルのアメ車だ。車体が、ブルーに輝く。


「そうなの! かっこいい車を探していたら、これがビビッときて」


 幌がついていて、雨の日も安心である。


「ぼくくらいになると、これくらいでないとな」

 助手席のネウロータくんが、ふんぞり返った。


「地球産の映画を一緒に見た影響じゃない」


「ば、トシコさんバラさないでよ!」

 顔を真っ赤にして、ネウロータくんが焦りだす。


「どんな映画を見たんです?」


「普通の女性二人が、殺人罪で警察から追われる映画よ」


 ボクもその映画は見た。

 オープンカーに乗って逃げるんだっけ。


 他の車両も個性的である。ドラゴンに乗っている魔王。トゥクトゥクなんて用意している魔王までいた。


 中でもすごかったのは……。


「オーッホッホッ!」

 リムジンの天井に仁王立ちしながら、高笑いをする少女が。

 いわゆるゴスロリという衣装で、袖にもロングスカートにも、フリルがついていた。暑そう。


「優勝はこのアタクシ、クク・ブリリストリッシュⅣ世がいただきますわ! 愚民ども、このクク様の前にひれ伏しなさい!」

 また、ククというお嬢様が高笑いする。


 あんな笑い方をする悪役令嬢なんて、生ではじめて見た。


「チサちゃん、あの子は誰?」


 やけに偉そうだけど。


「クク・ブリリストリッシュⅣ世。偉大なる吸血鬼の末裔」


 吸血鬼? ってことは。


「チサちゃんはサキュバスだよね? となると、ライバル関係?」


「かもしれない」


 恐ろしい敵の予感がするのに、チサちゃんはノンキである。


「あら、そこにいるのは、チサ・ス・ギルじゃありませんこと?」


 ククという令嬢が、ボクたちのところにまで歩いてきた。チサちゃんに向かって、ビシッと指をさす。


「今日という今日は負けませんわよ! 今まで直接的な対決はありませんでしたけど、ワタクシはあなたをずっとライバルだと思っていましたわ! 偉大なるヴァンパイアが、同類のサキュバスに遅れを取るわけにはいきませんもの!」


 その割には、かなり上から目線だけど。


「覚悟なさい。最後に笑うのはこのクク様だってことを! オーホッホッ!」


「ククお嬢様、挑発はそれまでになさってくださいませ」


 リムジンの運転席が開き、一人の少年が飛び出してきた。

 短い髪を一本に結び、中性的な声をしている。背はトシコさんより高い。


「お嬢様が失礼をいたしました。さぞ無礼を働いたことでしょう。不詳、この玉座であるヨアンめがお詫び致します。どうぞ、ご勘弁を」

 丁寧な口調で、ヨアンさんという少年執事が頭を下げた。


「キミが、玉座なんだ」


「はい。ヨアンと申します。ラリー中は、ご面倒をおかけすると思いますが、何卒ご容赦を」


「ダイキです。チサちゃんの玉座をしています」


「存じ上げております。我と同じ、地球人だとか」


 ボクの他に、地球人が?


「またも、地球人の玉座か。ライバル出現ね」

「そうですね、トシコさん」


 このヨアンくんという子も、強いんだろうな。


「ちょっとヨアン、他の魔王にヘーコラなさらないの! 品格が落ちますでしょ⁉」

 ククちゃんが、ボクたちの会話を遮った。


「はは、失礼しました。ククお嬢様。それでは、お話はラリー中にでも」


「わたくしの配下に鞍替えなさるのでしたら、今のうちですわよ!」

 ボクらを指差して、ククちゃんが挑発を行う。


「ククお嬢様。決着はラリーでつけます。それまで闘志は温めておくべきかと」


「それもそうですわ! では、ごきげんよう!」

 高笑いをしながら、ククちゃんは去っていく。

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