登場人物・用語一覧
<荒野の支配者>
碧石の国で最も有名な賞金稼ぎグループ。盗賊・魔物退治を得意としている。結成から十数年経った、近年の活動は、依頼料の高騰化もあり、鈍化している。
*荒野の支配者のメンバー*
◎ガラムレッド・ダイダイン (呼び名:ガラン)
ドワーフ小人。戦の神ケオールの神官であり戦士でもある。荒野の支配者へは、防壁としての戦士の役割と、治療魔法の使い手として貢献している。故郷のドワーフコミュニティで、若者の指導者としての役割を与えられ、荒野の支配者の拠点としている王都を去る。
◎ウェイ
地方の町出身。痩身の美青年。レイピア(細剣)使い。子供時代にエルフから様々な事を学んだ。その影響で、感性が一般とはかなりずれている。そのずれの一つが女性への甘さで、仲間を何度ももめ事に巻き込んでしまっている。平時は、食客として貴族の館を転々とし、伝承歌や冒険譚を語って暮らしている。
◎アリ
プルサスの町の生まれ。元ストリートチルドレン。物乞い、かっぱらい、すり、盗みを行って、生き延びてきた。荒野の支配者の一員としては、潜入や罠の設置・解除などを担当している。読み書きを学習中だが、なかなか身につかない。平時は、ほとんど働かずに、なじみの酒場に入り浸っている。末の弟トーリをかわいがっている。
◎パース
地方の村出身。仲間の中で一番若く、マコウの欠員後に加入した。体が大きく力が強い。頭を使うことは得意ではなく、読み書きはできない。仲間のドワーフ、ガラムレッドを慕っており、平時はケオールの神殿の番兵として働いている。
◎ペイルトン・イーギエ
プルサルの町の生まれ。王都の魔道士ギルド「月光の塔」のフロアマスター。ドワーフを除くと、荒野の支配者の中では最年長。仲間のウェイとはそりが合わない。魔法の技だけでなく、知識を仲間へと役立てている。近年、賢者として大きな業績を残した。
◎マコウ・ノウヘン(故人)
荒野の支配者の発起人。元行商人。盗賊に襲われて財産を失ったのを契機に、仲間を募って盗賊退治を始めた。見ず知らずの者同士をまとめ上げた有能なリーダーだったが、隊商護衛任務中に、盗賊に襲われて命を落とした。
<渦越え号>
港町ハイマーと王都を行き来する交易船。人と荷物を運ぶ。客室は、二人部屋にベッドと鍵付き箱が備えられており、一日二食付き。これは、この世界では高級な方の扱いになる。
*渦越え号の乗客*
◎オレトレ・テオ
一見、労働者風の男。実は、巡察騎士で「闇夜の悪魔」と呼ばれる連続殺人鬼を追っていた。
◎オーウェン・ストンウェル
渦越え号の常連客。家具商人。
◎アツゴウ
旅の傭兵。両手剣使い。
◎ビルゴ・ベショ
魔導師。プルサスの町の魔道士ギルド「銀盤の水鏡」所属。
◎スールゥ・ネロン (呼び名:スー)
港町ハイマー出身の若い女。所持金が少ない身で、渦越え号に乗ってきた。
*渦越え号の乗組員*
◎(呼び名:船長)
曲刀を振るい、部下をおどしつけて働かせている。密輸に関わっている可能性がある。
◎チェイ(呼び名:甲板長)
船長の片腕。船員への実際の指示は、この甲板長が取り仕切っている。
◎(呼び名:航海士)
船の針路や行程を管理する幹部。甲板長と違って、船長からはやや距離を置いている。
◎(呼び名:サンボンアシ、ドウカ、ウシ)
一般乗組員。一日目の夜の見張りをしていた者たち。ドウカが年長者。
◎(呼び名:サンカク)
臨時乗組員。吃音。一日目の夜の見張りをしていた。
<その他の人名>
◎トーリ
アリの末弟。アリとは親子ほどの年の差がある。イーギエのコネで、読み書きの学習を始めている。
◎(アリの母親)
元娼婦。男性関係にだらしなく、多くの異父子を産んでいる。その時の同棲相手に言われるがまま、アリを見捨てた。男が変わったことで、アリを一旦引き取ったが、その男と別れて別の男ができたことで、またアリとは離れて生活するようになった。最後は、交際相手に殴られて前歯を失い、「商売」もできなくなったところで、ウェイのすすめに渋々従ったアリに連れられて、王都で生活している。
◎マーグ・イーギエ(イーギエの母親)(故人)
元プルサスの魔導士ギルドのクラスマスター。魔法薬の専門家。引退後、プルサスの町で静かに暮らしていたが、病没した。
◎リュリュエリゼ(呼び名:リュウ)
ある時、ウェイの育った町の外れの森に現れたはぐれエルフ。訪れる子供に、読み書きや様々な知識を授けた。特にウェイは多大な影響を受けた。ある事件をきっかけに、また旅に出る。
◎(公爵夫人)
ウェイの主な支援者。五十代。聡明で美しく、かつて、夫と共に、ジン・ヨウに赴き外交活動を行ったこともある。その時「碧石の精髄」と呼ばれ、もてはやされた。以来、夫とは別に独自の政治力を持つことになった。
◎ルック・チャラール
ジン・ヨウの高名な幻術使い。かなりの高齢で、実体はもう死んでおり、動いているのは幻だという噂がある。
<地名>
◎碧石の国
舞台となる国の名前。小さな王国で、その名由来となったサファイアが特産品。周辺国から何度か侵略を受けた過去があるが、防御に適した地形と、ドワーフの力で撃退した。ドワーフの数は周辺国より多く、地位も高い。サファイアの産出もドワーフの力によるところが大きい。
◎ジン・ヨウ
はるか東の大国。既知世界で最大の国家であり、経済、技術でも抜きんでている。作中、英語表記されている単語は、ジン・ヨウ語で語られていることを示している。
◎王都
王城の城下町。国で一番の規模を誇る町。多くの人口を抱えているわりには、わりと整備されている。
◎プルサス
公爵の城下町。国で二番目の規模、と言われているが、正確に測られてはいないので、一番だとも言われている。王都に比べて混沌とした部分が多いが、それは活気を反映しているせいでもある。
◎ハイマー
国で一番の港町。国内最大のドワーフの町「鉄の卵」からの物流の拠点。
◎鉄の卵
国内最大のドワーフの町。荒野の支配者の一員であるガラムレッドの出身地でもある。隣接して、ドルエンバッハと呼ばれる大陸人が住む町もあるのだが、そちらを含めて「鉄の卵」と呼ばれることが多い。
◎鉄のねじれ髭
鉄の卵の一区画の名称。そこに住む者同士はある程度の血縁関係もあり、部族名としての側面も有している。荒野の支配者の一人、ドワーフのガラムレッドの出身地。
<その他の用語>
◎魔道士
魔法使いたちの自称。狭義には、魔道士と魔導師を含む。(魔道士)見習いを含める場合もある。一般の者は、魔法使い、魔術師などと呼び、魔道士と呼ぶことはまれ。
◎魔導師
一人前として認められる魔道士の位から、指導的立場になることを認められた者の地位。日本語では同じ「まどうし」という発音だが、向こうの世界の言葉では発音が異なるので、混同されることはない。
◎闇夜の悪魔
プルサスの町で噂になっている連続殺人鬼。その犯行は、闇夜に集中している。ただし、闇夜の悪魔の犯行の証拠が何なのかは、世間には、様々な説が流れて、はっきりしていない。