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4気を失うまでの経緯

 

「…そうか、成人していたのか!それは嬉しいな。そう言えば、どうしてシリリア王国に居たんだ?エドワードが居るし攫われたわけじゃないだろう。あ、話したくなかったら話さなくていいんだが…」


 そう言うエリオットは甘く優しい眼差しでセシルを見つめる。その眼差しが気にくわないエドワードは殺気ビシビシだがそんな事にセシルはきずかない。


「いえ、大丈夫ですよ。そうですね、何処から話しましょうか…」

 悩んでいるとエドワードが話し始めた。


「僕が話すよ。折角だしセシルの始まりから話そうかな。僕が見ていない裏話は他の方から聞いた話もあるけどね。」

 そしてエドワードは大切な宝物を触るようにセシルの髪をすくい口付けた。

 その行為に今度はエリオットが殺気ビシビシだがエドワードは完全に無視。セシルは気付かない…



 そして語られる、セシルの始まりを…




 ***




 天界は空の上の空間の歪んだ所から神と精霊の魂だけが通れる扉を通り行ける。


 天界は一面に色とりどりの花が咲き誇り、輝く滝や鮮やかな森など様々な精霊が創り出した美が溢れている。

 そんな中、中心にそびえ建つは神の王。女神レディーシアが作った白亜の城。

 その城ではレディーシアが作り出した様々な神が自由気ままに仕事をしている。

 それが当たり前な毎日に、レディーシアが皆を呼び告げたのだ。


「私もそろそろ隠居したいのだ。だから、私の後を継ぐ女神を作り出すことにした。今からその女神を作るので皆、大切にするよう。

 ここに!女神セシルの誕生を宣言する!」


 レディーシアは両手を上に掲げ魔力を集める。集まった神々はその光景を唾を飲み見つめた。

 女神とは、王の証。実際に天界でも女神はレディーシアしか存在しなかった。その為、時期王の誕生を神々は心を踊らせ見つめる。


 そしてレディーシアの掲げていた手に直視できないほどの輝きが産まれた。その輝きは天界中に広がり、誰もが心を暖めた。

 古株の神は感じた。こんなに眩しく美しい誕生の光は見たことがないと。間違いなくこの姫君は神の王となる尊い存在なのだと。

 光が収まり誰もがレディーシアのうでのなかを見た。レディーシアと同じ白金の髪の幼子。紅の瞳。余りにも美しく造られた顔。毎日浮世離れした自分の顔を見ている神々ですら溜息が出るほど美しいと思う程だった。その幼子の額にレディーシアが触れた。するとセシルは開けていた瞳を閉じた。


「貴方達も早くこの子と話したいでしょう。なのでこの子の記憶に『言葉』を覚えさせました。しかしこの魔法は産まれたばかりのこの魂には負担が多く眠ってしまったようですね。皆目覚めたらこの子に様々な事を教えてあげなさい。この子には15年後地界に降り千年の修行の後、天界にて千年私の仕事の補佐その後、後を継がせます。」

 そう宣言すると天界は歓声で包まれた。だが、それもレディーシアが片手をあげるとすぐに静まる。


「エドワード。貴方は地界で仕事をしていますよね?」

 エドワードは神の中でも年長組に入る魔素の神。地界にて魔族の保護などを魔王となり行なっている。

 その彼は返事をし、レディーシアを見つめ返す。

「貴方は15年後この子の兄としてしっかりと守りなさい。しかしちゃんと世界を見せるのですよ。人間の体はこちらで用意をしておきます。」

「分かりました。しかし、人間の体なのですか?」

「えぇ、見た目だけね。生命期間は全然違いますが。貴方が地界で使っているのと同じ構造です。」

「あぁ、了解しました。」

 こうしてセシルは産まれたのだった。




 ***




 セシルは努力家だった。城の中にある、真実が綴られた本がある図書館によく通い10歳の頃には全て制覇していた。だが毎日増えるのでそれ以降も通ったのだが。

 そんなセシルを周りの神々は仕事の合間を縫い見に来ていた。見ているだけの時もあれば、話しかける事もある。皆がセシルを愛していた。

 だからセシルが15歳になった日誰もが泣き、皆がエドワードを羨んだ。

 せめてと思い、神達はセシルの為になればと思い加護を授け未来の王に忠誠を誓った。



 ***



 その頃魔王城の玉座では魔王ことエドワードが途轍もなく細かい魔法陣を書きレディーシアからセシルを召喚される時を今か今かとと待っていた。そんな様子をエドワードに「私には愛する妹がいるのです。」と振られた令嬢と早く結婚してほしい臣下などが驚いて見ていた。あんなに嬉しそうな顔ができたのか、と。


 そして召喚された時、誰もが息を飲んだ。

 白金の髪、紅の瞳、浮世離れした美しい顔にワンピース越しにわかる華奢な体躯。誰がなんと言おうがエドワード陛下の妹君。この様な少女を知っていれば確かに一般的な美人は不細工に見えるかも知れない。


 その儚げな少女は下げていた視線を上げ周りの人の多さに驚いたのか少し震えた後エドワードを捉えると。パッと花が綻ぶように笑い既に玉座から立ち上がりかけ出していたエドワードに答えるように駆け出したその時、



 ツルッ



「セシル!!!」



 エドワードが手を伸ばしたが間に合わず、セシルは後頭部からこけ魔力が暴走し、この場から消えてしまった。きっと何処かに転移してしまったようだ。

 エドワードは真っ白になった頭を必死に動かし先ほどまでセシルがいたところの魔力痕跡を調べどこに転移したか調べた。が、魔力が暴走していたのもあり国までしかわからなかった。


「セ…セシル…セシルがぁぁぁああ!!!」


 エドワードが崩れ落ちた。こんなにも感情をあらわにするエドワードを見たことがなかったこの場の者達は動揺したが、エドワードの纏う空気が変わった事にきずき玉座は静まり返る。

 ゆらりと立ち上がったエドワードには誰もが固まった事だ。


「我が愛しき妹セシルが気を失い魔力が暴走しシリリア王国に転移してしまった。正確な位置情報が分からないが、あの国は今竜王国と戦争中。つまり途轍もなく危険だ。……諸君。私が何を言いたいか、分かるな?」


 途端、セシルを召喚した魔法陣は消え新しい魔法陣が描かれる。


「この転移魔法陣でそれぞれ部下を連れ飛んで来るんだ。戦力にならないものは来るな。セシルを見つけ出せ…何が何でも!!もしシリリア王国の者に何かされていたら…殺せ。場合によっては俺が国を滅ぼしてやる…私は先に行く。待っていて…セシルゥゥゥゥゥウウウ!!!!!」


 そして魔王軍は人間国シリリア王国に攻め込んだ。


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