3 実は私
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楽しんで頂けたら幸いです。
魔王城に着き、まずお兄様に回復魔法(噛み跡が綺麗さっぱり消えた。)と魔力を分けて貰い身体のだるさが激減した。
その後は侍女さん達に手伝って貰い身体をゴシゴシ洗う。何なら痛くなる程に。早くあの感覚を忘れたいのだ。その後は薄桃色のネグリジェを着せられベットに入れられた。
慣れない人間の体の為、体も心も疲れ切っており泥の様に眠ってしまった。
***
鳥の囀りで目を覚ます。
肌に触れる布は滑らかで安心する。
うっすら開く瞼を頑張って持ち上げ天蓋付きベットの天井を捉えた。
ゴロンと寝返りを打つと。
「あ、起きた?おはようセシル。」
其処には椅子に腰掛け優しく微笑む神いやお兄様、いや、魔王だし神であながち間違っていない。がベットの横で本を片手に座っていた。
「おはようございます。お兄様。」
身体を起こしお兄様に向き直る。あぁ、この感じ。平和。素晴らしいわ。
「体調の方は大丈夫かい?三日もの間眠っていたんだよ。まだ、その体に慣れていないんだろうね。魔法のコントロールの仕方も前とは違うし。」
三日…⁉︎そんなにも眠っていたのか。
「朝ごはんを用意させるよ、ちょっと待ってね。」
そう言うとベルを鳴らした。すると直ぐに侍女さん達が現れ皆一様に私とお兄様に礼をする。
「おはようございます。魔王様、姫様。魔王様、竜王様がお越しです。」
口を開いたのは侍女長のダリア。彼女は魔人だ。と言うかこの魔王国の国民の大半が魔人だ。ついでに魔人族ですが皆様角は有りません。そのかわり爪が赤黒いんです。
「えぇ、エリオット今日も来ているのかい?はぁ、セシルの朝の準備と朝食を。じゃぁちょっと行ってくるね。セシル後でね。」
私はコクと頷き手を振ってお兄様が出て行くのを見守った。
その後は侍女の方々の出番です。この部屋の隣室は衣装部屋になっており其処でドレスを選ぶ。基本的に身軽な物を選んでもらっている。今日は白生地に金の刺繍の入ったAラインのもの、ワンピースに近い感じ。
その衣装部屋の更に隣室は私の生活スペース。ここで朝食やら刺繍やらする。
と言うことでその部屋に入ると既に朝食が並べられている。病み上がりだから消化に良いものを選んでくれたらしく、お粥や果物が並んでいる。
この後魔王城を散策する時作ってくれた人にお礼を言おう。
侍女さん達に眺められながらモグモグ朝ごはんを減らして行く。最後に侍女さんが入れてくれた紅茶を飲みご馳走様でした。
侍女長さん以外が食器をかたずけ侍女長さんは今日の予定を確認する。
簡潔に今日は城内散策と言っておいた。本当は城下も行ってみたいけど今日じゃなくても良い。
その時扉が鳴った。侍女さんかなと思い“どうぞ”と言ったら、入ってきた人は想像していた侍女さんではなかった。其処には、黒髪の高身長美男子エリオットが居た。
「セシル嬢朝早くからすまない。体調は大丈夫か?良ければ今から話さないかっ…」
ドシャ…
「やぁ…エリオット。急に消えたと思えばやはりここに来ていたか。ダメだぞ。セシルはまだ男が怖いんだ。お前の様な奴はセシルの視界に入れてたまるものか。」
お兄様がエリオット様を押し倒し馬乗りをなさっている!。…お兄様はこんなに元気な方だったかしら?
仲がよろしいのね!
「お兄様、大丈夫ですよ。エリオット様は恩人であり、お兄様のお友達。怖がる要素が御座いません。だから大丈夫です。さぁ、お二人ともお入りになって。」
そう言い長椅子の方を手で示す。私も長椅子の方に座り直した。エリオット様はお兄様をジッと見つめお兄様もまた見つめ返す。これは意思疎通の魔法か何か かしら?
お兄様が溜息を吐き立ち上がり私の横を陣取った。そして正面にエリオット様が座る。
「セシル嬢、まずは自己紹介をさせて欲しい。俺は、竜王国の竜王、エリオット・アレクシスだ。突然だが君は俺の番なんだ。お嫁さんになってくれないか?勿論成人してからで良い。」
お兄様、そんなに殺気を放ってどうなされたの?にしても、まぁ、竜王様だったのか。確かにすっごい美形だと思いました。竜人は強ければ強いほど見目が美しくなるとは本当の様ですね。
それにしても、一つ引っかかる事がありましたね…
「竜王様であられましたか。私、魔王エドワードの妹のセシル・アリステルと申します。」
「これは一般常識だけど私は魔素を司る神そしてこれはあまり言わないで欲しいんだけど、」
エドワードが結界を張った。防音、視界遮断の結界をセシル、エドワード、エリオットだけを入れて張られている。
「セシルは慈愛と創造の神、つまり我が母上、神の王。創造の神レディーシアの唯一後を継ぐ女神なんだ。」
そう、実は私たち神様なんですよ。
「あと、私体の見た目は人間族ですので身長は小さいですけどこないだ15歳を迎え成人しているんですよ。」
そう言い手を腰に当て胸を張る。
身長は小さいけど(152センチ)女神として胸は豊満なんです。なんせ慈愛と創造の神ですから。貧相ではダメだとお母様が言っておりました。
「…えっ!!」