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2お兄様が迎えに来てくれたみたいです

ブクマ有難うございます!!

「…見つけた。我が番。」

黒髪の男の方はとても聞き取れない小さな声で何か呟いた。


暫く見つめられ目を離した。気不味くなったのと、先程までの恐怖から少し男の方が怖いと思ったから。

ハッと息を飲んだ黒髪の男が乗っかっている男を引き剥がし少女に手を差し出すも手枷がはめられていた事と服が破れていた事、少女が震えていた事で引っ込めた。

少女に自分のマントを破りそれを肌が隠れる様に巻かせて手枷や足枷に繋がっている鎖を黒髪の男は剣で切りゆっくりと近づき手枷を壊した。少女はビクッとして、手枷を素手で破壊した男を見た。

黒い騎士っぽい服だけどどこか王子様っぽい服に赤色の片掛けマント(は、少女の身を包むため引きちぎられた。)。所々返り血を浴びている所に驚いた。

膨よかな男の方を見ると背中をズバッと切られた様だ。


「お嬢さんを此処から連れ出しても大丈夫か?」

男はベットの前に膝をつき視線を合わせて聞いてきた。

大丈夫かなんて少女も何故此処に居るのか分からないから答えられない。

ただ、此処から出して欲しいとも思った。

だから。


「分からない、です。けど何もかも分からないから。貴方にお任せします。」

全てをこの人に委ねることにした。

そういうと黒髪の男は優しげに微笑んだ。その少しの揺れに凄く長くはないが短くはないサラサラな髪を揺らした。それが綺麗だと思った。


その後足枷も破壊した男は、そっと震える少女を怖がらせない様に優しく抱き上げる。少女は腰が抜けていたので致し方なかった。姫抱っこの意味は分からなかったが。

余りにも震えていたため黒髪の男は不憫に思いながらも牢屋から出た。

この牢屋は塔だったため階段を下に下に降りて行くと黒髪の男の側近と言う者がいた。少女のことを不審げに見るも黒髪の男が後で話すと言うと大人しく後ろについて来た。

外に出ると空に多くの竜や人がいる。

ボーと見てると後ろ上空から見知った声が聞こえた。


「セシル!どこだセシル!」

その声を聞いた瞬間安心感が広がる。最早怖さの余り止まっていた涙はまた沢山流れ出した。

男もこの声に覚えがあるのか振り返り声をかけた。


「エドワード!」

そう呼ばれたのは長い白金の髪に碧眼の瞳の美しい人。


「なんだエリオット!私は今我が天使を探すことで手いっ…ぱ…い…おのれぇぇぇぇええええ!!!」


エドワードは上空から急降下して来たかと思えば途轍もない形相で此方に向かって降りてくる。


彼は…


「私の天使に!我が愛する妹に!触れるんじゃねぇぇぇぇえええ!!!」


この少女の『お兄様』だった。



「エドワードお兄様!」

「「「お兄様⁉︎」」」


エリオットや側近たちが声を揃えて驚いた。

鬼の形相で近ずいて来たエドワードは少女ことセシルをエリオットから奪い取りお姫様抱っこのまま強く抱き締めた。顔を上げた時には酷く苦しそうな顔をしていた。

歪む視界の中やっと会えたお兄様に手を伸ばす。すると力強く手を握りしめ、そのまま手にキスを落とした。それは、あの膨よかな男の舐める様なキスではなく本当に優しく安心するものであった。


「…お兄様…私、まだ、大切な、何かは、奪われてないよね?まだ、きっと、綺麗なままだよね?」

涙はとめどなく溢れ、行き場をなくし落ちて行く。

お兄様はそんな酷く感情の入り混じった顔をした、けれどやはり美しいままの妹を思い涙を零した。

この何処までも愛らしく美しい者に一体何にがあったのか、想像することなど出来ない。


「っ大丈夫。セシルは綺麗なままだ。何も奪われてなんか居ない。我らが母、この世界を作った創造の神レディーア様に誓うよ。」

周囲にざわめきが起こる。滅多に表情を表さない、かの魔王国の王『魔王』が泣いて、そして子をあやす様に笑ったから。

お兄様は優しく頭を撫でると鋭い視線をエリオットに向けた。


「エリオット、君がやった訳じゃないよね?もし君がやったと言うなら私は魔王軍総出で竜王国を潰しに行くけど。説明お願いするよ。」

エリオットの側近が慌て出す。エリオットをかばう様に立ちエリオットの出方を伺っている。


「俺じゃない。俺が何となくこの塔に引き寄せられる様に入るとこの国の王が彼女を犯そうとしていた。国王は邪魔な存在だったから背を切った。そしたら拘束された彼女が出て来た。」

「あ、あの時は助けて頂き有難うございました。」


そう、あの時エリオットが来ていなかったらセシルのファーストキスは奪われていた事だろう。

お兄様はジッとエリオットを見つめ、その後私を優しく撫でエリオットにもう一度向き直った。


「エリオット、セシルを助けてくれて有難う。聞きたい事がまだ沢山有るけど早くセシルを休ませてあげたいんだ。竜王国と人間国の戦争を少しだけ荒らしてしまったがのちの請求などがあったら使いを出してくれ。」

「別に気にせん。と言うか、お礼は言わないでほしい。俺は今からお前を怒らすことを言う。」


お兄様の空気がピリッとしたものに変わる。不穏な気配だ…


「セシル嬢を嫁に欲しい。彼女は俺の番だ。」

「魔王軍撤収ぅぅぅぅぅうううう!!!」

「あ、ちょ、待て!」

「待たん!『転移』!」


気付いたら、魔王城の中にいた。


エドワードは細身(スラッとしてるけど細過ぎるわけでもない)の高身長です。(180センチ)優しげで穏やかそうな見た目。だが、いつも部下に見せる顔は冷たい笑顔か真顔。

エリオットは細マッチョ。高身長(186センチ)クール系な顔で余り表情筋が機能しない。

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