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夢で逢いましょう

作者: 鳴海昌平

道の両側に、茫々とした夏草が繁っている。はるか彼方、まっすぐに伸びる郊外の道。 遠くの方に、 茶の色をした巨大なホテルが、陽炎のようにゆらめいている…


殺風景な景色が広がるその道端で、私は素っ裸になって、タオル一枚で体を洗っていた。すると遠くの方から、着物を着た曙がノシノシ近づいてきた。私はニコニコしながら『おつかれっすー!』と声をかけた。


すると曙は私に、『昨日、二次会でバラバラになっちゃったんだけどー、みんなちゃんと集まってるか調べといてくれるかなー?』と申しつけた。私が、『あ、それなら大丈夫っすー!』と適当に答えたら、『そっか〜』と、一瞥もくれぬまま、右手を上げて、歩いてどこかに消えてった…


再び体を洗いはじめたら、道路の脇から、なにやら神輿のロボット?らしきものと、数人の若者連を乗せた2トントラックが走ってきた。道端に座って洗体している私が荷台を見上げると、以前働いていた某運送屋の、北九州便のおっかないニキビづらの先輩ものっかってた。私はすぐさま立ち上がり、素っ裸のまま元気よく、『おつかれっすー!』と挨拶した。しかしなにやらとても急いでいるようで、私の存在に気づくことなく、あっという間に走り去っていってしまった…


私はタオルにボディソープをタップリにじませ、洗体を再開した。すると今度は、派手な僧侶の着物を着た渡哲也と、水色の農協の帽子に、土の付いた白のポロシャツを着た、年輩の男性が歩いてきた。後ろに数人の人影も見える。


彼らに全く面識はなかったが、私は泡だらけの体でご陽気に、『おつかれっすー!』と声をかけたが、完全に無視された…

どういうわけだか二人は、私を間に挟んだ形で世間話を始めた。大変居心地が悪い状態で体を洗い続けていたら、フッとある事に気付いた。


いつのまにか、私もきらびやかな派手な僧侶の着物を着ていたのである。私は、『あっ!やべえ!、着物きたまま体洗っちゃったよ!』と、叫んだのにもかかわらず、二人はまるで、私がこの世に存在していないかのように、完璧に私をシカトし、世間話に満開の花を咲かせ続けたのである。


私はこの二人の残酷な仕打ちに、とてもいたたまれない気持ちになり、突如として睡眠から目覚めたのである。


…睡眠中の夢ってなんだろうか?体は休んでいるのに、夢の中は日常と同じくらい、常に非常事態であり、緊張しまくりで、ちっとも休めてはいないのである。私はいつ、心の底から休めるのだろうか?


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