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蛍火を弾丸と共に撃て  作者: 藍谷紬
生命のプロトコル
16/30

第16話「開戦。」

準備をし始めたときに古場が疑問を口にした。

「金田さん、引火爆発はすごいと思うんですけど、それだけじゃ引火しきらない可能性があるんじゃ、、」

と言いかけたところで棚を運ぶ時のことを思い出して床を見た。

「、、、金田さん、まさかここまで考えて?」

「いや、半分は偶然だ。まぁ正確に言うとそれからアイディアを得た。もしかしたら床に広がってる油で転んでくれるかもしれないってな。」

金田はにやりと笑う。

確かに発火点まで持っていき、水をなんとか入れたとして爆発させることに成功しても引火するかどうかはやってみないと何とも言えない、しかし、その確率を上げる要因が床にあったという訳だ。

そもそも感染者達は普通の道路でさえも何かにぶつかって転ぶことがあるほどに歩行能力が低下しているため、油の敷いた、健常者でも転びそうな床ならば簡単に転んでくれると金田は読んでいたのだ。

そうして何とか金田の誘導したフードコート付近の通路までこれたとしてもその時には既に体中に燃えてくれる材料を塗りたくっている訳である。

であるならば普通より遥かに引火しやすくなっているだろう。

しかしここで問題になるのは数とタイミングである。

「金田さん、でも感染者はそこそこ人数がいるんですよ?一発でどうにかできるとは思えないんですけど」

「確かに、それも考えた。しかしこの状況でその問題を爆発のみで処理するのは危険だな。この爆発システムはかなり賭けに近いものがある。そもそも水を安全に確実に入れる方法は見つかってない。」

「え、考えてないんすか?」

金田は頭をポリポリとかく。

「5メートルから10メートル離れたところからあの鍋に水を入れるのは結構メンドクサイな。まぁ作戦の第一案としてはフードコートの真ん中に置いて、お前は南通路で待機。俺はラーメン屋のカウンターの下に隠れて、近づいてきた瞬間に水をかける、とかだな。」

「それでうまくいくんですかね、、?」

古場は先刻と打って変わってあきれ顔で言う。

「なんか、音出す壊れてもいいもの持ってない?笛、ラジオ、とか、、。」

古場は首をひねりながらカバンを見て小さく声を上げる。

「これ、どうです?」

そういって古場が取り出したのは黒色の目覚まし時計だった。

その時計は古場が大学に入った時にオークションで500円程度で買ったかなりの大音量が鳴る代物だった。

「いいのか?多分焼け焦げて壊れるぞ?」

「いいですよ、今これを使うタイミングなんて今後ないでしょうしね。」

時計を受け取った金田はタイマーを10分後にセットし、鍋の1メートルほど横に置いた。

金田は油を熱し始めた。

油を熱する間に南通路側に退路を一応確保し、そこにもう二つ鍋を置いておく。

「これは保険だ。もし油の爆発がうまくいかなかったらこれを使う。まぁ爆発じゃなくても最悪無理やり部にでも感染者にぶっかけて他のものでとどめを刺す。」

そして油がジワリジワリと温度を上げてきた頃合いに金田は古場にそう言った。

「あの、、。」

と古場は金田に話しかけた。

「あそこの会議室なんですけど、、。」

と言って南側通路先の会議室へ繋がるドアを指さした。

「ん?どうした?」

「なんか、様子が変なんですよ。何故か食事の匂いがするし、下から温かい空気が漏れてるんです。」

それを聞いて金田は目を細めてドアを見た。

「そうか、、。今すぐ確認したいがあれをどうにかしないと動けない。とりあえずこのまま作戦を実行する、もう時間が無いしな。その後にあいつらも読んでから確認しよう。」


ラーメン屋のカウンターの前に立ち、そして休憩スペースからこちらが見える、音の通りが良さそうな場所で金田は準備を整えた。

静かに息を吸い込み休憩スペースにいる感染者達の中の一人に狙いを定める。

「距離20メートル、風なし。」


そう呟いて引き金を引いた。


辺りに爆発にも近い音が響いた。

南側通路で既に待機している古場の耳にも勿論届き、古場は反射的に目を閉じ耳をふさぐ。

微かな耳鳴りがある中で目を開き古場はひっそりと休憩スペースの様子をうかがう。

感染者の1人は倒れており、血が飛び散っていた。

そして次の瞬間______

先ほどまで何処を見ているかもわからなかった感染者達ほぼ全員が、金田の発砲した位置を急に振り返ったのだ。

20人ほどの得体のしれない病気に感染したおぞましい風貌をした者たちが一斉に同じところを振り返る。

このことは古場に寒気だけではなくこの上ない恐怖感を与えるには十分な光景だった。

______そして感染者達は同時に歩き出した。


この小説現在ではレアな戦闘シーン。書くのは苦手だけど頑張ります。

そして次回か、その次では、、、、。





もう一人。

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