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蛍火を弾丸と共に撃て  作者: 藍谷紬
生命のプロトコル
13/30

第13話「作戦失敗。テイク2始動。」

「で、こうなってしまったわけですが。」

古場はうんざり半分、焦り半分で売店のレジの下の彼の隣に座る金田に言った。

「まぁ、そう慌てるな。たかがちょいと人が多いだけじゃないか。」

「ちょっとって、そんなわけないでしょう。結構いらっしゃいますよ?少ないって言ってませんでした?」

「あー、それはー、、、。」



_____20分前。

「調べるんだよ。」

「は?、調べるって、空港内を?」

「勿論だ。このまままともな防護が無い所に1日2日いる訳にもいかんだろう。」

「だからって空港内を調べるのはさすがに、、、。」

古場はもちろん山中も気は進まなかった。

内部の状況を確認しに行くということは死の危険が伴うことを意味している。

「いいか。危険は承知だ。しかし恐らく内部の感染者の人数は少ないと、俺は睨んでいる。」

「どうして?」

「車の数を見てみろ。あってもせいぜい50、60台。そして滑走路に相当の人数が集まっている。人の数には限りがあるんだから、そのことを考えれば人数はそんなに多くないはずだ。」

金田はリボルバーに腰から出した銃弾をこめ、一度ホルダーへと押し込んだ。

古場はため息をつきながら頭を掻きむしり

「分かりましたよ、じゃあ俺と金田さんで行きましょう。」

「え?じゃあ俺はどうすんだよ?」

山中はきょとんとして古場を見上げている。

「下田さんに何かあったらまずいだろ?そん時は助けておいてくれ。」

「ボディガードとしては俺は向いてないような気がするが、まぁ分かった。で?作戦行動時間は?」

金田は車の屋根から降り、捲っていた袖を下ろした。

「現時刻、11時25分。じゃあ現時点から30分だ。30分の間に行って戻ってきて、どうするか判断する。」

古場も山中も同時に時計を確認すし、下田は金田たちの事を車の中から見ている。

「、、、分かりました。じゃあ頼みますよ、亮も。頼むぞ。」

古場は黙って頷き、歩き出した金田の後ろについていった。


______そして今。

「いやぁ、感染者にドアを開ける能力などないと高をくくったのが間違いだったかな?」

「つまり、ドアが開いてなかったから外部から入ってなかったと、そう思ってたんですね?」

実際、正面玄関とロビーにはほぼ感染者の姿は見当たらなかった。

そして上からの景色を確認するべく、電力供給が停止したエレベーターを登ったところまでは良かった。

しかし上って左の休憩スペースに、20人ほどの感染者がいた。

古場は声を上げそうになるのを抑え右手の売店のレジに隠れた、という訳だ。

「最近人数を数えるのがやけに得意になった気がしますよ。」

皮肉めいた口調で古場は言う。

「人数は今内部には確認できるだけで約20.しかし単独で行動している感染者だっているはずだ。そう考えるとまだ数名はいてもおかしくない。」

「どうするんです?あれ始末するんですか?」

金田はリボルバーのシリンダーを回しながら考えているようだった。

「可能ならば、排除したい。だが、リスクが大きいな。」

「リスク?」

「例えば銃で殺すなら弾を使いすぎる上に消費が激しくなる。一発で逝ってくれなきゃ無駄が多い。

こういう場合の優先順位は、

ひとつ、逃げる。これが最善だ。

ふたつ、遠距離で戦う。

みっつ、接近戦で戦う。

そうすればそうするだけ危険が大きくなっていくのは当たり前だ、必ずまだ手は打てる。そうだな。ここにはいろいろな品がある。ここらへんに何か使えるものは、、。」

「使えるものって、、?」

「音を出して気を引ける、または身動きを止めることが出来る、あとは瞬間的で奴らを始末する、とか。」

「相手を無力化することが目的。身動きをとれなくする方法といえば、バリケード、足を切る、縄で縛る?やっぱり無効化は無理ですよ。」

金田は土産屋の商品を見ている。

「視覚は機能していない、そして痛覚も機能していないはず。機能している感覚は、聴覚、嗅覚、触覚か、となると、強烈な爆発音か、臭いで集めるか。となると、、、。」

そういって金田は店にあった棚の商品をどかし始めた。

「何してるんですか?」

「一時的にバリケードにする。お前は休憩スペースを見張っててくれ。」

レジから休憩スペースをうかがうと感染者達はなぜか休憩スペースからでてこようとはせずそこの場でうろうろしているだけであった。

「いったい何をしてるんだ?」

しかし駐車場では感染者から聞こえていたうめき声のようなものがこちらでは全く聞こえない。

隔てる壁のようなものも無い為発していれば聞こえるはずだと古場は首をかしげる。

「よし、オーケーだ。亮、少しずつ、あのエレベーターの近くまで持っていくぞ。」

「ま、マジすか?」

古場達のいる場所からエレベーターのところまでは大理石のような床でおよそ15メートル。

「でもその木の棚はこの床じゃ音が酷くなりますよ?」

そういうと金田はさらっと答える。

「そこのフードコートには調味料とかで油くらいあるだろ。」

金田はまるで忍者のように店の角から続くフードコートのラーメン屋に忍び込みかなり大きい油の入ったガラス瓶を持ってきて、それを棚の下にこすりつけた。

そしてゆっくりと古場と金田は棚を押していき、エレベーター付近で停止した。

「いいか、亮。俺には一応作戦がある。それは後で伝えるから作戦時間を30分延長するとあいつらに伝えてこい。可能な限り早くいって、戻ってこい。二人はまだ車に残らせておけ。」

古場は一瞬驚いたような顔をし、すぐに頷いた。

エレベーターを静かに駆け下り、正面玄関を開けて、古場は車に戻った。

「亮!どうだ?」

古場の姿が見えると山中はすぐに駆け寄った。

「中には20から25くらいいると思う。それで金田さんが案を思いついたらしい。だからあと30分延長してその後に合流することになった。そっちはどうなんだ?」

「特に問題はない。しいて言えばうめき声があっちの方から聞こえてきてうんざりし始めたところだ。んでさっき車の上から眺めたときにまた感染者が、ばらつき始めてこっちに来そうだったから40メートルくらい先の車を何回かバットで叩いておいた。」

そう言われて古場は車に上りすぐに確認する。

「おお、本当だ。つーかお前すげぇなおい。」

「正直滅茶苦茶怖かったけどな。多分あと30分くらいなら大丈夫だ。俺は行かなくていいのか?」

「ああ、二人は車に残ってくれ、とさ。」

山中はため息をついて古場を見る。

「気をつけろよ?太一さんはかなり危ないことするからな。」

「ああ、まぁ大丈夫だ。あの人はなんだかんだで凄いからな。」

そういって再び古場は空港内に戻った。


どんな滅茶苦茶な作戦をするつもりなのだ!

金田くんよ!

油で滑らすのは無理ないだろうか。

というか今更だが、滑ったとしたら勝手に棚動きそうじゃない、、、?

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