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風邪を引かないように

あらすじ

メイドの恐ろしさを違った表面から味わったぜ。

途中で友紀と別れ、部屋に戻ってくる。

部屋の扉を開け、俺はソファに埋もれる。

志樹「ふわぁぁ・・・」

ついつい欠伸してしまう。

そういや、今日は色んな事があった。

今まで灰色の世界をなんとなく生きていた。

しかし、朝に友紀と出逢って、世界が彩られた。

自分の存在も単色のつまらない者だろうと思っていた。

でも、自分の眼がオッドアイになって色がついた。

何とも不思議な日だ。

まるで夢のように。

これが夢だと言うのなら醒めないで欲しい。

疲れていた俺はふかふかソファに埋もれながら、眠りの世界へ落ちていった。




気がつくと、俺は見知った場所で座っていた。

ここは・・・バー裏葉柳の俺のカウンター席だ。

少し離れた所でマスターが暇そうにしている。

外で雨でも降っているからだろうか。

俺はその光景をなんとなく眺めていた。

しばらくすると、びしょ濡れになった親子が入ってきた。

カッパを着た男の子を父親が連れている。

父親の方は入ってくるなり、喋りだした。

かなりの声量のはずだが何故か聞こえない。

俺は話が聞こえるように顔を近づけた。

その時、正直俺は驚いた。

マスターが父親に頭を下げているのだ。

それを見るなり、親子がこの場所から出て行こうとした。

その時、俺は気づく。

父親に手を引かれている男の子が俺だということに。

俺は察してしまう。

席から立ち上がり走る。

この場所から出て行きそうな親子に向かって。

俺はのどが枯れるほど大きな声で叫ぶ。

しかし、その声は誰にも届くことなく、泡沫のようにこの場所は消えてしまう。




俺は目を開ける。

頭がクラクラする。あれは夢だったのか?

そうだ、俺は、ソファで寝てしまったんだ。

何故か包まっていた毛布を剥ぐ。

その時、声をかけられる。

友紀「あ、大丈夫ですか?志樹さん。」

志樹「え・・・?」

友紀が手鏡を出してくれる。

覗き込むと、俺は涙を流していた。


洗面台で顔を洗ってから、リビングに戻る。

志樹「悪りいな。変なところ見せちまって。」

友紀「いえ、全然。それより、ちゃんとベッドで寝てください!」

志樹「そうだな。次から気をつけるよ。」

そこで、俺はひとつ気になった。

志樹「そういや、どうやって入ったんだ?」

友紀「開けっ放しになってましたよ。紗瑠が教えてくれました。」

眠たくて、そのまま寝てしまったのか俺は。

無用心すぎだろ。

またもうひとつ気になる。

志樹「毛布かけてくれてありがとな。」

友紀「いえ?私が来たときには着ていましたよ。」

どういうことだ?そのまま寝たのでもちろん毛布は着ていない。

友紀じゃないってことは・・・

志樹「優しいんだな。」

友紀はキョトンとしていた。


志樹「友紀もありがとな。コーヒー淹れてくれて。」

俺が洗面台で顔を洗ったりしている時に淹れてくれたのだ。

友紀「このぐらい朝飯前です。いつでも言ってくださいね。」

コーヒーを飲む。これは・・・

志樹「マスターと張り合えるな・・・」

マスターの淹れるコーヒーもうまいが、俺は友紀のコーヒーをとてもうまく感じた。

友紀「照れるじゃないですか・・・」

頬を赤く染めながら、コーヒーを飲んでいる。

俺もコーヒーを静かに飲む。

友紀は俺が泣いていた理由を聞こうとはせず、そっとしておいてくれた。

俺自身、あの夢が何だったのか、分かっていない。

けれど、少しでも前に進めた気がした。

どうも緋吹 楓です。

読んでいただきありがとうございました。

紗瑠さんは優しいんですよ。

友紀は小さい頃にコーヒーの淹れ方を教わっていました。

恐らく天乃川家では、一番上手です。

次回もよろしくおねがいします。


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