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一言だけ伝えてくれる?

あらすじ

桜にたどり着いた俺達は京慈さんの姉である桜子さんに出会う。

しかし、桜子さんは15年前に亡くなっているらしい。

なら今目の前にいるのは誰なんだ?幽霊?

亡くなっているはずの桜子さんが今ここに居る事はこの際置いておいて、俺達は昼食を取ることにした。

謎を究明するにしても、腹が減っては戦は出来ずだ。

桜子さんと協力して、シートを敷く。

物に触れるってことは少なくとも実体はあるのか。

友紀が持ってきていた籠バッグから恐らく自分で作ってくれたのであろうサンドウィッチが出てくる。

桜子『おお~美味しそうね~、1つもらっていい?』

志樹「え?食べられるんですか?」

桜子『え?私、サンドウィッチ大好きよ?』

いや、そういうことじゃなくて・・・

友紀「いいですよ、おひとつどうぞ。」

桜子『ありがとね~、じゃあいただきま~す。』

桜子さんがサンドウィッチを頬張る。

・・・普通に食べてる。

桜子『ん~~、瑞々しいわね!野菜の甘みも出てるわぁ~。」

・・・食感から味まで分かるのか。

幽霊になっても五感は失わないのか。

桜子『志樹君どうしたの~?不思議そうな顔して~?』

志樹「い、いや、何でもないっす。」

・・・幽霊になっても勘が働くのか。

そんなことを考えながら、友紀のお手製サンドウィッチを味わっていた。



訪れた時には満開だった桜も、今ではもう大分散ってしまっていた。

桜子『・・・そろそろ時間かしらね。』

友紀「時間ってなんですか?」

桜子『私が私でいられる時間。』

桜が咲いている間活動出来る桜子さんの最後の時間ってことか。

桜子『何か聞きたいなら今の内よ~。』

このタイミングを逃せば、また来年になってしまうのだろう。

志樹「なら、ひとつだけ聞いておいていいですか。」

桜子『なぁに?』

志樹「京慈さんのこの桜の思い出って、なんですか?」

桜子さんは少し考えた後、語り始めた。

桜子『この桜は京慈と天乃川ちゃんがいつも出逢っていた場所よ。そして私が最期に見た桜。』

ん?てことは・・・

志樹「桜子さんはここで殺されたんですか?」

桜子『いいえ、私はこの川の上流で殺されたの。私は秘密を知ってしまったから。』

志樹「秘密って?」

桜子『天乃川家の呪い・・・あなたの眼の呪いの秘密よ。』

・・・!!

桜子さんはこの眼の呪いを知っているのか。

志樹「その呪いについて教えてもらえないですか?」

この呪いについて知ることが出来ればまた一歩前進できる。

しかし、現実はそう甘くない。

桜子『それは私の口からは言えないわ。私と同じような人は増やしたくはないもの。』

志樹「そんな・・・」

桜子『秘密を知った私は呪いに殺されたの。ジャーナリスト魂が悪さをしちゃったのよ。私はあなた達を死なんかで引き裂きたくはないわ。』

志樹「そうですか・・・」

桜子『でもあなたはいずれ必ず秘密を知ることになるわ。でも、その時はきっと呪いが解ける時よ。』

そう、いつか自分の手でこの呪いを解いてみせる。

桜子さんの言葉で俺はそう誓うことができたんだ。



桜から最後の1輪が散ろうとしている。


桜子『京慈へ一言だけ伝えてくれる?』


桜子『いつもありがとうって。』


桜の花びらが視界を覆い尽くす。


舞が収まった時には桜子さんの姿は消え、桜は青々と繁っていた。




京慈は仕事机に立てている写真立てを眺める。

そこには二人の姉弟が写っている。

京慈「姉さん・・・」

ガタガタと窓が鳴る。

ん?と疑問に思う京慈。

今日は窓が鳴るほど風は強くなかったはずだ。

窓の様子を見る。

桜の花びらが一枚だけ張り付いている。

京慈「姉さん、会いにきてくれたのか。」

京慈は花びらを取る為に窓を開く。

すると・・・・

京慈「どぅわ!」

大量の桜の花びらが窓から入り込んできたではないか!

京慈「姉さん・・・昔から人の部屋を荒らすのが得意だな・・・」

頭の上に被った花びらを掴み、声を掛ける。


京慈「姉さん・・・ありがとう・・・」


どうも緋吹 楓です。

読んでいただきありがとうございました。

幻の桜編、これにて終了です。

京慈の話でありました。

次は何を書きましょうか、考えておきます。

次回もよろしくおねがいします。

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