月の兎が吐く1度だけの嘘
今回は特別編です。
ナァー。
だんだんと春の陽気を感じられるようになる季節。
そして、別れの月から出会いの月になった今日。
鳥の囀りを聞きながら、俺はソファでボーっとしていた。
正直、こうしてボケーとしていることはとても幸せな事だと思っている。
思ってはいるが、今はただ暇なのだ。
志樹「・・・れもんちーでも飲みに行くか。」
俺はそう独り言を呟いて、重々しく体を持ち上げた。
勿論、向かうのは食堂。
食堂の扉を重々しく開け、中に入る。
志樹「すいませーん。」
??「きゃ!!」
いつも聞き覚えのある声が響く。
それは、部屋の中央から。
志樹「ん?」
そこには何故か、着替え中の・・・
友紀と詩瑠さんがいた。
志樹「す、すんませんしたー!」
バタンッ!!
勢いよく扉を閉め、そさくさと立ち去ろうとする。
でも・・・
??「お待ちください。」
という声と共に、腕をガシッと掴まれる。
志樹「な、なんすか、紗瑠さん・・・」
紗瑠「今、食堂に入られましたね?」
ドキッ。
志樹「い、いや、俺は何も見てないっす。」
紗瑠「いえ、別に着替え中に突撃した事はどうでもいいのです。」
バレてるー!?
志樹「じゃあ、何で呼び止めたんすか。」
紗瑠「折角のエイプリルフールなので、遊ぼうではありませんか。」
あ、そういや、今日はエイプリルフールだったな・・・
志樹「でも、面倒事に巻き込まれるのは嫌なんですけど・・・」
紗瑠「食堂の彼女らもエイプリルフールだからはしゃいでいるのですよ。」
紗瑠さんの目が本気だ。
何だか嫌な予感がするな・・・・
今までの経験からそう思いつつも、紗瑠さんの引き摺る力には叶わないのであった。
詩瑠「本当によろしいのですか?」
友紀「ええ、折角のエイプリルフールですから!」
そう、今日はエイプリルフールなんです。
だから今日だけはメイドになります!
詩瑠「でも、友紀様だけ働かせるわけには・・・」
友紀「いいの!今日は詩瑠は休んでていいんですよ。」
いつも私が着ている服を詩瑠に着せて、私の椅子に座らせてます。
そうです、今日は私と詩瑠が入れ替わっているんです。
今日は精一杯頑張ります!
マスターからもらっていたコーヒーを飲みながら女子トーク。
詩瑠「・・・けど、着替え中に志樹様が飛び込んで来られた時は驚きましたね。」
そういえば、あの後志樹はどうしたのでしょう。
詩瑠「あの時の志樹様真っ赤でしたね~。」
友紀「見られちゃったかなぁ。」
顔が火照ってる。
詩瑠「どうですかね~。」
その時、また食堂の扉が開く。
??「私達も混ぜてくださいな。」
そこに居たのは、執事姿の紗瑠と・・・メイド姿の志樹だった。
どうも緋吹 楓です。
読んでいただきありがとうございました。
さあ、まさかの前後編!
続いてしまいました。
後編もよろしくおねがいします。