これは湖ではなく池だ
あらすじ
兎草の街にお買い物に来たのであった。
この緑地公園は思ったより大きい。
どのくらいかと言うと、バチカンより大きい。
この街がここまで発展を遂げたのもこの公園のお陰だろう。
この公園には元々牧場で、ウサギの食べる牧草がわんさか生えている。
実際に牧場でもウサギを育てていたらしく、牧場が取り壊された後もウサギ達は残された。
そこで、昔の偉い人がウサギを自由にさせつつ、管理することに決めた。
そして、現代になると人が集まってきて観光スポットになった。
次々と店が立ち並び、今この街がある。
そのことに関する昔話もあるが、また今度だ。
何故だって?第一ウサギを見つけた瞬間に友紀が飛んでいってしまったからだ。
ウサギはどうかというと、急に向かってきた友紀から逃げるように公園の奥へと走っていった。
しかし、友紀は夢中だ。
友紀「あ、待ってください~!」
と言いながら、ウサギを追いかけていってしまった。
その時に一瞬でも目を離してしまった為に友紀を見失ってしまった。
まあ、元気なことはいいことだ。
とりあえず、友紀を見つけなければ。
・・・やってしまった。
ウサギに夢中になっていたら、迷子になってしまった。
結局、追いかけていたウサギも見失ってしまった。
志樹と合流しなくちゃ。
そう思って振り返る。しかし・・・
友紀「道が・・・ふたつ・・・」
どこへ行ったか分からないから、とりあえず聞き込みをしてみる。
すぐそばのベンチで新聞を読んでいるおじさんに声を掛ける。
志樹「すいません、天色の髪の女の子見ませんでした?」
友紀の特徴はとても伝わりやすいと思う。
おじさん「ああ、その子なら、兎草池の方に走ってたねぇ。」
兎草池。この緑地公園のど真ん中に位置する直径1kmの巨大な池だ。
断じて湖ではない。深くないからな。
おじさんに礼を言ってその方角に向かう。
私は後悔した。
なんでスマホを持ってないんだろうと。
公衆電話から掛けようにも、番号を覚えていない。
周りにも人がいないし・・・
なんとかたどり着いた池を眺めながら考える。
どうやって合流しよう・・・
迷っていたその時であった。
とりあえず、みずう・・・池の周りを回ることにする。
いつかは見つかるだろう。
目的は思ったよりも早く達成された。
少し離れた先に友紀がいた。
見つけたことに安堵しつつ、他の人影を見て俺は焦る。
友紀がナンパされているのだ。
俺はダッシュで向かう。
友紀が池の淵の手すりまで追いやられる。
友紀、待ってろ!
眼が熱く感じられる。
角を曲がり、叫ぶ。
志樹「友紀!大丈夫か・・・?」
俺はついつい足を止めてしまう。
何故って?
ナンパしていた男が宙を舞っていたんだ。
どうやって?
友紀が掴んで投げていたからだ・・・
ナンパ男はバッシャーン!と音を立てながら、みずう・・・池に落ちる。
同時に友紀が駆け寄ってくる。
友紀「ごめんなさい、志樹、私、迷子になっちゃって・・・」
志樹「こうやって見つかったんだから、いいじゃないか。」
今にも泣きそうな友紀の頭を撫でる。
志樹「もう大丈夫だ。泣くことないさ。」
俺は何もしていないが。
どうも緋吹 楓です。
読んでいただきありがとうございました。
友紀はある程度の護身術を教わっています。
志樹ぐらいならあっというまに負けるんじゃないでしょうか。
次回もよろしくおねがいします。