俺だってこんな綺麗な子を逃がしたくはない
あらすじ
つまらない毎日を過ごしていた俺とぶつかった少女。
彼女は突然告白をしてきたのであった。
突然の告白に俺はあっけにとられる。
マスターでさえもぎょっとしている。
志樹「ちょっと待て、天乃川と俺は初対面だよな?」
そういうと、彼女は、なぜか照れる。
友紀「顔を見られちゃったので・・・。」
志樹「マスターもみてるじゃないか。」
友紀「18の誕生日に最初に顔を見られた人と結婚しなきゃなんです。」
どうやら家のしきたりらしい。
それにしても飛躍しすぎている。
いきなり結婚だなんて。
今までの俺なら何ともなしに断っていたはずだ。
だが、何故か俺はこれを断ろうとしなかった。
志樹「まぁ・・・友達からなら・・・」
そう、友達から。
友紀「やったぁ!よろしくおねがいします!」
彼女はとても嬉しそうだ。
何故だろう俺も嬉しく思えてくる。
こんな感情はもう無くなっていたと思っていたのに。
すると、マスターが口を挟んでくる。
マスター「志樹に友達ができただと・・・明日は土砂降りだな・・・」
うるさい。
俺はただ、その美しい髪に魅入られただけなのだ。
その時はそう思っていた。
とりあえず、コーヒーを飲み干し、裏葉柳から出ることにした。
マスターは御代はいいからとかいってニコニコしながら手を振っていた。
ありがたいがなんだか不気味だ。
友紀「マスターはいつもあんな感じなんですか?」
志樹「ああ、そうだ。」
いつも世話になってるしな。
志樹「そういや、俺とぶつかる前までどこにいこうとしてたんだ?」
率直な疑問をぶつける。
彼女は口ごもりながらも、教えてくれた。
友紀「父がこのしきたりを利用して、取引先の息子と結婚させようとしていたんです。
でもその人、生理的に受け付けなくて・・・。夜中に抜け出して逃げてたんです。」
なるほど。そんなふうにも使われてしまうのかしきたりは。
志樹「それでそっからどうするつもりだったんだ?」
そういうと頬を赤らめた。
志樹「何も考えていなかったのか?」
友紀「はい・・・」
まさか天然なのか?
いままで出会ったことのないタイプの人間だ。
ま、なんとかなるだろ。
気楽に歩を進める。
突然、彼女が腕を絡ませてくる。
ぎょっと彼女のほうを見るとなんだか怯えている。
志樹「どうしたんだ?」
友紀「お父さんとお母さん、それに・・・変態です。」
前を良く見ると数人並んで立っている。
その中のいかにも気持ち悪い奴が喋る。
変態「友紀さん。探しましたよ。さあ結婚しましょう。」
すると彼女は震え上がり、
友紀「軽々しく名前を呼ばないでください!変態!」
彼女の父だろうか、俺のほうに喋りかけてくる。
友紀父「君はだれだね?」
彼女の方を見ると、話を合わせてというオーラが伝わってくる。
仕方ない。
俺だって多少は認めてしまったんだ。
俺はその集団に向かって叫ぶ。
志樹「俺はこの天乃川友紀と結婚する、橡志樹だ。よろしく。」
場が凍りつく。
唯一友紀だけが顔を真っ赤にしながら、喜んでいた。
どうも緋吹 楓です。
読んでいただきありがとうございました。
志樹くん勇気ありますよね。
頑張って男前にしていきますよ。
次回もよろしくおねがいします。