なんて可愛い生物なの
あらすじ
ヘアゴムを無くしたら、友紀が昼ごはんを作ったことが分かってしまった。
森の探索から大体1週間経った今日。
俺と友紀は街へと繰り出していた。
この間、ヘアゴムをもらった事へのお返しがしたいと思っていたのだ。
それにマスターにも会っておきたい。
ちなみに街へは紗瑠さんに送ってもらった。
紗瑠さんに降ろしてもらったこの場所の名前は兎草通りだ。
この通りにはデパートを中心に、沢山の小洒落た店が立ち並ぶ。
但し、脇道に入った途端、そこは迷宮となる。
地元の人間でないと抜け出すのは不可能だろう・・・と言ったものの、デパートの方向に進めばなんとかなるものだ。
俺の見解では裏葉柳はこの迷宮にある所為で客が集まらないのだと思っている。
まあ、そんなことは今はおいておく。
今一番気になるのは、隣にいる友紀のことだった。
志樹「友紀、今日は一段とすごいな・・・」
隣を歩く友紀の姿はまるで西洋人形のようであった。
ものすごく可愛い・・・のだが、とても目立つ。いや、普通にしていても十分目立つのだが。
友紀「えっと、これは昨日の夜に紗瑠が持ってきてくれたんです。」
そういえば、ここ数日間忙しそうにしていたな。
目に隈が出来てたのはこの服を一から作っていたからだったのか・・・
恐るべし、メイド魂。
友紀「志樹もキマってますね、髪型。」
志樹「ああ、これは紗瑠さんに捕まった結果だよ。」
そう、いつものように適当に結んでいたら、無理矢理髪型を弄られたのだ。
結果、完全にポニーテールになってしまった。
友紀「なかなか可愛いですよ。」
志樹「可愛いか・・・」
まあ、そうなってしまうな。
そんな感じに話しながら、色んな店を回ること1時間。
友紀はペットショップの前で立ち止まった。
そこで、友紀の口から漏れた言葉は「可愛い・・・」だった。
そりゃそうだ、マスコットキャラクターによく使われるくらいだからな。
長い耳を持ち、愛らしい目で語りかけてくる、ウサギだ。
志樹「ウサギに興味あるのか?」
友紀「はい、とっても可愛いです。」
どうやら、もう心を奪われてしまったらしい。
俺自身も小さい頃はウサギを飼いたくて仕方が無かったものだ。
結局、マスターがウサギアレルギーなので飼えなかったが。
しばらくの間、友紀とウサギが見つめあう不思議な光景が見られるのであった。
この街が兎草と言うのは、昔はウサギの食べる草がよく生えていたかららしい。
だからのなのか、緑地公園に行くとあちらこちらで触れ合いスペースが設けられている。
元々、緑地公園には行くつもりだったので、好都合だ。
俺達はそこへ行くことにしたのであった。
どうも緋吹 楓です。
読んでいただきありがとうございました。
物語の中で、前回から1週間が経ちました。
我が家でもウサギを飼っているので、可愛さは表現できると思います。
次回もよろしくおねがいします。