4月19日
前回を閲覧してくださった方々、ありがとうございました。こんな小説ですがこれからもよろしくお願いします。
一人の男の一人飯 4月19日
「ただーいま」
今日も大学から帰るといつものセリフを一つ。
今日は昨日と違って一限から四限までびっしり講義。疲労度は昨日の四倍(当社比)増しだ。へろへろに疲れた私はリュックを下していつものようにベッドにジャンプ&ダイブ。今日は「とうっ!」と掛け声を付けてみた。ギシッとベッドが鳴った。今度からやめよう。
「あー今日の晩飯何しよ。何つくろ」
とりあえずリュックのポケットからスマホを取り出し、電源を付ける。講義中に鳴るといけないので私はいつも講義を受ける前にはスマホの電源を切っている。そして大体家に帰るまでそのままなのだ。
スマホで適当に料理のレシピを漁っていく。確か冷蔵庫の中にキャベツが一玉あったはずだ。
「キャベツの味噌炒めか…うまそうやなーでもなー豚肉ないからなぁ」
そう、今の冷蔵庫の中身はほぼスッカラカン。あんまり物が入っていないのだ。
「とりあえず先に米しかけとこ」
米がなくては始まらない。私は昨日の夜からそのままになっていた炊飯釜を洗い、米びつから2合ほど量って米を研いでいく。この作業は私が小学校のころからやっているので慣れたものだ。3回ほど水を変えて研ぎ終わると炊飯釜の2合の目盛りに水量を合わせる。
「ちょっと少ないな。水足そ」
水平なところ(IHの上)に炊飯釜を置き、水量を見る。大体1.5くらいだろうか。少し少ない。さらに水を足す。
「んー、こんなもんかな」
2合分の水を量り終えたら炊飯器の中に入れ、蓋をする。コンセントを挿して『炊飯』を押すと炊飯を開始する電子メロディが鳴り、54分の文字が出る。
さて、54分の間に何を作ろうか。
「晩御飯何つくろ」
本日何度目になるかわからないつぶやきが口から出た。母がいつも「晩御飯何がいい?」と訊いてくる心境がよーくわかった気がする。
冷蔵庫の前で胡坐をかいて中身を確認。ニンジン半分。ピーマン3個、キャベツ一玉、もやし一袋、ウィンナー1本、べーコン4枚入りパックが2つ、マーガリン、果実入りヨーグルト、牛乳、野菜ジュース。その他調味料。以上。
「材料が少なすぎる!」
今からスーパーまで野菜を買いに行くか? いや待て、待つんだ私。せめて明後日まで待つんだ。そうすれば今買うよりも野菜が安くなる。具体的にはピーマンが10個108円で買えるくらいに。
「えーい、こうなりゃヤツを作るしかあるまいて!」
立ち上がり、冷蔵庫から取り出したるはニンジン、ピーマン2個、キャベツ、ベーコン1パック、ウィンナー1本。
いつものようにまな板と包丁を軽く水洗いしてからその上でキャベツの外側の葉をめくっていく。3枚ほどめくり水で軽く洗ってからザックザックと四角形に切っていく。硬い芯は半分にスライスしておく。切り終わったらボウルの中にイン。次はニンジンだ。ヘタを切り落としてからそのヘタを蓋つきごみ箱にポイ。ニンジンは皮のついたまま薄く短冊切りにしていく。薄くとはいっても厚さはバラバラだ。いい具合の薄さもあればそれよりも分厚いものもある。ここは要修行だ。
全部切り終わったらまな板の端に寄せ、ピーマンを切っていく。二個とも最初に半分にカットしてから手でヘタと中のタネを取り除く。取れたら縦に細く切っていく。切れたらニンジンと同じように端に寄せる。
次はベーコンとウィンナー。4枚すべてを短冊状に切り、ウィンナーは斜めに切る。
材料をいくらか切り終わったところで炊飯器を確認。炊きあがるまでにあと31分。
「よし、お鍋とーじょー」
片手鍋をフライパンと同じように熱し、そこに切った野菜とベーコン、ウィンナーを投入。投入した先から食材たちがジューといい音を立てる。鍋の中で具材を炒め、いい匂いがしてきたところでボウルの中のキャベツを投下し、一気に混ぜていく。
少し火を弱めて蓋をする。その間に食器棚からお椀を取り出し、その中に一杯分の水をくむ。鍋の蓋を開け、中にお椀の中の水を投入して蓋をする。
くつくつと具材が煮られる音を聞きながら残りのキャベツに手を付ける。包丁でキャベツを真っ二つにカットし、半分を袋に入れて冷蔵庫に入れる。
「行くぜ、キャベツ千切りの舞!」
日曜朝にやっていそうな特撮ヒーローのようなポーズをとり、若干キメ顔で言う。一人だから恥ずかしくないもんねーん。
ザック、ザック、ザック、ザック、ザック、ザック、ザック……
千切りの舞という割にはゆっくりな包丁の音。素早くできるほど私はまだ包丁の扱いがうまくないのだ!
千切りキャベツをある程度切ったら鍋に投入。残りのキャベツを千切りにしていく。これを三回繰り返すころにはまな板の上からキャベツが無くなっていた。
鍋の中でしんなりして色が鮮やかになった野菜をお玉で混ぜる。それから野菜がしっかり沈むくらいの水を入れてまた煮る。ぐつぐつと沸騰する前くらいまで火にかけると顆粒のコンソメを振り入れる。
「なんか金魚にエサやってるみたい」
そんな感想を抱きながら。入れては混ぜ、味見をする。
「ん、コンソメはこんなもんかな」
最後に塩コショウで味を整えたら完成。
「でーきた。キャベツたっぷりコンソメスープ」
鍋敷きをテーブルの上に出し、その上に鍋を置く。炊飯器を確認するとあと2分を示していた。せっかくなのでちゃちゃっと簡単なものでもう一品作ろう。
というわけで昨日に引き続き半熟オムレツを作ることにした。
フライパンを熱している間にキャベツを入れていたボウルに玉子、牛乳を入れて混ぜる。フライパンがあったまったころに油を引き、熱する。箸の先についた玉子をチョンと落とすとすぐに固まった。そこにとき玉子を投下する。フライ返しで混ぜながら形を整えつつ固めていけば完成だ。
「うし、こんなもんかな」
完成する少し前に炊飯器が炊きあげを知らせる電子メロディを鳴らす。タイミングもいい感じだ。
本日の夕食は白飯と半熟オムレツ、キャベツたっぷりコンソメスープ。
エプロンを脱いで席に着く。
「いただきます」
野菜とベーコンの旨みが染み出したスープはなかなかうまかった。大量に作ったからしばらくはスープと野菜不足の心配はいらないだろう。
「あ、このスープにもやし入れとけばよかった」
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。