プロローグ
「俺達、離れちまっても...見てる空は同じだから。」
いつもの様に星空を眺めながら彼は笑顔で私にこう告げて、その後ゆっくりと目を閉じ、私の背中にもたれ掛かった。
また一緒に..見たいな。
見れねえけどさ..
小さく悲しげに聞こえたその言葉が彼の最後の言葉だった
その後彼は私にもたれかかったまま一言も喋らなくなって力なく滑り落ちるように身体が倒れていった。
「ね、ねえ..大丈夫?しっかりして」
突然のできごとに驚いて慌ててその身体を支えて、声をかけるが返事がない。そんなまさか、そう思って視線を合わせると状況にも似合わず彼の表情は幸せそうに笑ってるようにも見えたがしかし、頬には目尻から溢れた涙が一筋、伝っていた。
やだ、いやだ..そんなはずない。
出来事を否定するように頭を横にぶんぶんと振った。
眠ってるだけ、彼は死んでない。そう思いたくて星が綺麗だね。とかね、見える?とか話しかけてたけど答えてくれない彼に、動かない彼にだんだん悲しくなってきて、目に一杯の涙を溜めてボロボロと泣き崩れた
そしてようやく私は彼が本当に亡くなったことを理解した
「またいつか、約束だよ...一緒に座って同じ空を見れるといいな」
願いが叶うように、そんな思いで最後に彼にそう告げて私は寄り添ったままゆっくりと目を閉じた。