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第3話

今回は侍従が主役かな?

バタン…。


アーサーはエドワードの言葉を聞いてショックのあまり、突っ伏してしまいました…。



「アーサー!おい、大丈夫かぁ?」

エドワードが心配そうに声をかけます。



しかし、アーサーはあまりのショックで動きません。


それもそうでしょう。まだ10歳ですが、今まで完璧な王太子としてずっとやってきたのです。

それがあろうことか、いい加減にやっていると思っていた国王であり父親に否定されてしまったのです。




「侍従、悪いが侍女を呼んできてくれ。アーサーを寝室に運ばなくては…。」

エドワードは反応のない息子を心配して侍従に声をかけます。



「畏まりました、陛下。」

侍従が部屋を出て、アーサーを寝室に運ぶ手配を整えました。





そして、寝室に横になったアーサーを側にエドワードが座り、

「少し言い過ぎたか…。」



「そうですね、陛下。王太子さまはきっと大変なショックを受けられたんですよ。お可哀そうに…。」

侍従がそれを受けて答えます。



それを聞いたエドワードは後ろを向いてギロッと侍従を睨みつけ、

「おまえには聞いてないぞ。独り言だ、独り言!」



「え?違うんですか。失礼をいたしました、陛下。」



「そんなことより医者は呼んだのか?」

イライラしながらエドワードが侍従に尋ねます。



「いえ、呼んでおりません。王太子さまは陛下の言葉にショックを受けられただけですから。」

ひょうひょうと侍従は答えます。



「は?何言ってんだ…?僕が悪いって言うのか。」

さらに不機嫌になったエドワードが侍従に言います。



「自覚がないんですか、陛下。私が思いますに王太子さまはいい加減な陛下の王太子になられてからというもの、完璧な王太子、国王にならなくてはと強い気持ちを持って頑張ってこられたんですよ。それが、その陛下に否定されてショックを受けられたんですよ。しかもいい加減だと思ってたのに、上に立つものの心得なんて言われて…。」



それを黙って聞いていたエドワードの機嫌がさらに悪くなり、何かを言おうとしたその時です。




「「おまえが言うな!!」」


見事にエドワードとアーサーの怒鳴り声がハモりました。



横になっていたはずのアーサーが布団を跳ね上げて不機嫌そうに侍従を睨みつけます。



「ほら、陛下。王太子さまは大丈夫じゃないですか。」

涼しい顔で侍従は答えます。



「おまえはだけは…。」

エドワードは仕方なさそうに横目でジロリと睨みつけます。



「なあ、アーサー。物は相談だか、この侍従を側近にしてみたくはないか?」

エドワードはなんとも言えない表情でアーサーに尋ねます。



「え…?何言っているんですか。冗談はたいがいにして下さいよ。」

嫌そうな顔でアーサーが答えます。



「冗談じゃないぞ、本気だ!もう手に負えないからな。」

苦笑しながらエドワードが言います。



「なお、悪いですよ。父君に手に負えないのに、僕がどうにか出来るわけないじゃないですか?運命だと思って、あきらめて下さい。」

しんみりとアーサーが言って父親の肩をポンと叩きます。



「それもそうだな…。」




「へ、陛下、それに王太子さま!何をおっしゃっているんですか。私はお二人のためと思えばこそ無礼を顧みずに申し上げましたのに…。」

侍従は二人を窺うように必死で弁解に努めます。




「お二人のためね…。侍従、僕たちのために何でもする覚悟はあるか?」

エドワードは侍従をふんと睨みつけて、試すように聞きます。



「もちろんでございます、陛下。この侍従、陛下にお仕えしたその日から何でもする覚悟は出来ております。」

侍従はそう言うと膝をついて臣下の礼をしました。



「そうか。では早速頼もうか。王太子アーサーを隣国に1年留学させようと思う。隣国に行ってその手筈を整えてこい。」

ニヤリと笑ってエドワードは侍従に言い付けました。




「ええ~!陛下、私がで、ございますか。無理ですよ、外交官でもないのに…。」

侍従が無理だというように体で表情して拒否をします。



「心配をするな、侍従。おまえは実行部隊だ。確かおまえの父は外務大臣だっただろう?仲良く二人で行って来てくれ。」



「はぁ~!無理ですよ。陛下、あの父ですよ。本当に勘弁下さい~。」

侍従は泣きそうな顔でエドワードに訴えます。


侍従は恐れるのも無理はありません。侍従の父の外務大臣はにこやかな顔の下でものすごいことをやってのける凄腕大臣なのです。


侍従は次男なので、長男と違って爵位の跡継ぎのスパルタ教育は受けていないのですがそれを目の当たりにした侍従は極度に父を恐れています。


侍従はエドワードが何を考えてこんなことを命じたのかわけが分かりません。


嫌がらせ?

いや…。

まさか…。


もしかして、ていよく侍従をやめさせようと?


しかし、父君ならともかく陛下がこんなことするとは思えないしな…。



「おい、侍従。おまえ、変なことを考えてないか?」

不審そうにエドワードが尋ねます。



「いいえ、とんでもない。嫌がらせなんてそんなことは思ってませんよ。」



チッとエドワードが舌打ちをして、

「おまえという奴は…。一言多いからいつまでも侍従なんじゃないか?」



「陛下!人が気にしていることをおっしゃらないで下さい。」

侍従が真っ赤な顔をして怒り出します。



「気にはしてるのか…。悪かった、侍従。」

エドワードがすまなそうに謝ります。

「しかし、この仕事はしてもらうからな。明日、大臣と出発だ、いいな。」



侍従は不満そうでしたが、さきほど何でもすると言った手前仕方なく、

「畏まりました、陛下。この侍従、王太子さまの留学の件、無事整えて参ります。」

そう言って礼をして準備のため部屋を出て行きました。





「父君、よかったのですか?」

アーサーが心配そうに尋ねます。


「何がだ?」

エドワードが怪訝そうに聞き返します。



「侍従のことですよ。僕は別にフェンシングが出来れば留学までは…?」



「本当にこの国にいて出来ると思うのか?」

エドワードがめずらしく真剣な表情でアーサーに尋ねます。



アーサーは、うっと詰まりながら、

「た、たぶん大丈夫ですよ。」



「無理だな。」

一言でエドワードは、ばっさりと言い切りました。



「え…。」

不安そうな表情でアーサーがエドワードを見つめます。



「よく考えてみろ?フェンシングをするのすら、してもいいのか悩んでいたのだぞ。出来るわけないだろう。」



「で、でも…。それは父君のお考えが分からなかったからで…。」



「仮にしたとしても、周りに遠慮して、あまり出来ないだろう。なにしろアーサーは完璧な王太子だからな。」

ニヤリと笑ってエドワードが尋ねます。



「それは…。」

痛いところをつかれてアーサーは言葉を濁します。



「だからな、隣国に1年ばかり留学しておもいっきりフェンシングしてくればいいんだ、わかったか。」

エドワードがここぞとばかりに言い放ちます。



「しかし父君、それでは王太子教育はどうなるのですか?」

アーサーがアーサーらしい疑問を父にぶつけます。



「ん?そんなことか。たかが1年じゃないか、たいしたことはない。このままぼんやりしているより、隣国に行って見聞を広めてくるものいいと思わないか?」



お気に入り登録、読んでいただいた方ありがとうございます。


あれ?恋愛じゃなくなってきたかな…。

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